エロゲー業界全体への影響は!? 同人サークルを装うエロゲー企業の増加に、懸念の声

1506_adlut_dojin.jpgわるきゅ~れ公式HP内に並ぶバナー。「PR」枠として、“同人サークル”「ばるきり屋」の作品を広告のように表示している。(モザイクは当編集部によるもの)

 5月20日に開催されたエロゲーの審査団体・コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の平成27年度賛助会員懇談会。この席上で、クレジットカード会社から是正要求が話されたことは既に報じた参照。これとは別に、議題として大きく取り上げられたのが、賛助会員が取り扱っている同人ソフトの問題だ。5月29日に配布された「ソフ倫ニュース」によれば、ソフ倫事務局側からは「ソフ倫加盟社は全作品について審査を受けている」と前置きした上で「非加盟の企業などが同人を名乗り、自主判断にて販売活動をしている現状について憂慮する声が、加盟会社様から寄せられている」と指摘。また「諸官庁様よりは、多数の作品が審査団体を通さず販売されている状況について、ご懸念をいただいている状況であると報告があった」という発言もなされた。

 これに対して出席した加盟社からは「同人PCソフトを取り扱っている会社の有志が集まり連絡会を設置」してガイドラインを作成しているが、審査団体ではないため各社が自主規制で対応している現状であるという説明がなされたという。

 商業でエロゲーを制作する企業が、同人として作品をリリースするケースは以前より存在していたが、近年では特に増加傾向が見られる。それらの中には、あくまで同人作品であるとしながらも本当に無関係を装いたいのか疑わしい作品も多い。その如実な例が、今年4月にダウンロード専用で発売された『ぷれいぷち!妊』という作品だ。この作品「ばるきり屋」という同人サークルが制作した作品ということになっている。このサークルは、従来は抱き枕の制作を行っており、エロゲーは『ぷれいぷち!妊』が初の試み。そのサイトにはエロゲー企業のブランドである「わるきゅ~れ」を応援する旨と、同社のバナーも掲示されている。

「わるきゅ~れ」は2004年に創設された、低価格かつ独自色の強い実用作品で定評のあるブランドだ。12年にはヒロインが巨デブというニッチな作品を『NEWデブプラス』というタイトルで販売しようとするも、諸般の事情から発売日を延期し、タイトルを変更するという騒動も起こしている。そんな同社で特に人気なのが、現在4作目まで発売されている『プレイ!プレイ!プレイ!』シリーズ。この作品、第一作は『レイプ!レイプ!レイプ!』(06年)というタイトルだったが、さすがに問題だったのか、その後は現行タイトルでシリーズ化している。

 そんなニッチなエロで売る会社を応援するという“同人サークル”の作品『ぷれいぷち!妊』は、オマージュというには、あまりにも『プレイ!プレイ!プレイ!』シリーズに似すぎている。同一主人公なのはともかくとして、CGはないものの『プレイ!プレイ!プレイ!』シリーズの女性キャラも登場。しかも、選択肢によっては『ぷれいぷち!妊』の中で「わるきゅ~れ」の宣伝が始まるのだ。極めつけは、「わるきゅ~れ」公式サイトで「この作品に関しては多くは語れないッ!とにかくクリックッ!!」と『ぷれいぷち!妊』のバナーが「わるきゅ~れ」作品と同じ並びに掲載されている。

 これは、もはや隠す気はゼロ。「ばるきり屋」のHPでは「このサイトは同人グッズサークルのページです。各原作者様は活動に関わってはおりません。」と謳っているが、念のため、業界関係者に確認をとると「同じスタッフが作っているそうですよ」との話。

 エロゲーを制作する企業が、別に同人サークルを立ち上げて作品を販売する理由は何か――。ある業界関係者は語る。

「もともと、『わるきゅ~れ』などが制作しているような“低価格抜きゲー”は、ダウンロード販売の割合が多いんです。同人で販売した場合、パッケージ版であれば商業よりも店頭に並ぶ数は減りますが、ダウンロード販売専用なら痛手はありません。だから、同人で出したほうが売れるんじゃないかとメーカーは判断するんです。ただ、実際に同人のほうが売り上げがよいかは不明です。少なくとも、審査を受けて商業で販売する場合には、アウトになる過激な表現が使えるメリットはあるでしょう」

 商業アダルトゲームでは、ソフ倫か映像倫理機構(旧CSA)のどちらかの審査を受けて販売するのが通例。しかし、そのどちらでもNG表現は存在するし、何がNGになるかも社会の状況との兼ね合いで流動的だ。それに対して、同人作品としてダウンロード販売する場合は、幾分かは規制が緩いのは間違いない。

 とはいえ、まったく無関係を装うのならともかく、前述の例のように隠す気があるのか疑わしい企業があるのも事実。これでは、審査を逃れるためにアンダーグラウンドな市場を利用しているというネガティブな見られ方をしても、致し方ないだろう。 

 こうした行為が、業界に良い影響を及ぼすとは思えない。

 なお、流通方法の問題点とは別に、『ぷれいぷち!妊』が凌辱系タイトルを求めるユーザーにとっては良作なのは疑いもない。また、わるきゅ~れが昨年発売した『永久恋愛みるくクリーム~オナニー×オナニー~』は大自然をオカズにしたオナニーシーンに仰天したと、持ち上げておく。念のため。
(取材・文/特別取材班)

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