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“架空の続編企画”に激レアガレージキットも…!“怪作”『クーロンズ・ゲート』18年の時を経た原画展レポ

2015.06.26

『クーロンズ・ゲート』のキャラクターデザイナー・井上幸喜氏

 この日は初日ということで、展示されている原画の描き手『クーロンズ・ゲート』のキャラクターデザイナーである井上幸喜氏も来場。話を聞くことができた。

「この奇妙な作品には、一回触れると一生おつきあいしていただかざるを得なくなってしまうような(笑)、そんな味わい深さがあるように思います。設定資料集のお話をいただいたときは正直『売れるのかな?』と思ったのですが、おかげさまでいい反響の中、発売まで至りました。今回展示している作品は当時、人に見せる予定なく自分のために描いていた絵ばかりなので、こうやって大勢の方にご覧いただく機会に恵まれてうれしいです。18年という長い歳月を経ての展示ですので、ファンの方はもちろんですが、新しいプレイヤーの方にもゲームの歴史を振り返るような気持ちでご覧いただければ、ゲームに携わるクリエイターとしてこんなに幸いなことはありません」(井上氏)

『クーロンズ・ゲート』は、PSが発売された1994年以前から広告を打っていた、“鳴り物入り”ソフトのひとつである。朝日新聞に掲載された見開き広告を見ても、当時のソニーがこの商品にどれだけ力を入れていたかわかるだろう。

朝日新聞の見開き広告

 しかし、発売当時はそこまで大きな話題にはならなかった。何しろ1997年といえば、先日PS4でのリメイクが発表されたばかりの超大ヒットRPG『ファイナルファンタジー VII』が発売された年だ。PS文化黎明期であったこの頃、ディープな雰囲気を醸し出す『クーロンズ・ゲート』は、並みいるビッグタイトルの影に若干隠れていたのである。

 が、世の中には筆者を含め、「奇妙なゲームが大好き」という人種が大勢いる。そういう人間たちは、『ポポロクロイス物語』や『ファイナルファンタジー VII』で遊びつつ、龍城路(リュウジョウロ/『クーロンズ・ゲート』で最初に主人公が入り込む街)の怪しい暗がりにどうしたって誘われる。そして二度とこの世界が忘れられなくなってしまうのだ。井上氏の言うように、“一生”心にこのゲームを留め続けるファンはきっと密やかに多い。

 今回発売された設定資料集の中身はというと、展示にも使われた主要キャラクターや妄人・鬼律のイラスト、九龍城内の各街の設定画、ムービー絵コンテといったビジュアル資料が満載なのは言うまでもなく、制作のベースとなった初期シナリオ、メインスタッフへのロングインタビューなども掲載した充実の内容。

 中でもファン心をくすぐるのは、架空の続編企画『クーロンズ・ゲートif』だ。監督・木村央志がストーリーを書き下ろし、井上氏がイメージボードを、作曲・蓜島邦明氏がイメージサントラを新たに添えている。どんなストーリーかは、ぜひ購入して確かめてみてほしい。

開場二十分前にはすでに列が。

 原画展の開催期間は7月7日(火)まで。7月5日(日)には、当時のスタッフである木村央志氏(監督・脚本)、井上幸喜氏(キャラクターデザイナー)、武富聖氏(CGデザイナー)、蓜島邦明氏(作曲)、鶴岡泰三氏(サウンドプログラマー)によるサイン会も開催される。

 濃密な魅力で今も人々を吸引し続ける『クーロンズ・ゲート』、その世界の秘密を覗きに行ってみてはいかがだろうか。ただし、後戻りできなくなる可能性にはご注意を。
(文/小池みき)

■「Kowloon’s Gate Archives」発売記念 クーロンズ・ゲート原画展
日程 2015年6月25日(木)~7月7日(火)※水曜定休
時間 12:00~19:00 
会場 pixiv Zingaro
入場料金 無料

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