宇宙空間をバーチャル体験しながらサバイバルするゲームが登場! 「Oculus Rift」版も開発中

2015.06.22

ADR1FT」公式HPより。

 この7月23~25日の間に打ち上げられる予定のソユーズ宇宙船に日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが乗船することが明らかになり話題を集めている昨今、ゲームの世界からは今までにない宇宙空間体験ができるFPX(First Person Experience)がリリースを控えている。

■宇宙空間サバイバルゲーム『ADR1FT』

 2013年公開の映画『ゼロ・グラビティ(Gravity)』では、宇宙飛行士がパイロットスーツを着ただけの状態で宇宙空間に投げ出されて漂うシーンが多く描かれ、観ているだけで思わず息苦しくなってしまったが(!?)、それとまさに同じ状況下の無重力の宇宙空間を主人公が生き残りをかけて必死にサバイバルするゲームが、この『ADR1FT』だ。

 制作側は本作をゲームというよりもFPX(First Person Experience、一人称体験)と呼んでおり、プレイヤーは宇宙船の事故で宇宙空間に投げ出されてしまった当事者となって、あらゆる手を尽くしなんとかサバイバルしていくのだ。

ADR1FT・最新トレーラー動画

「E3 2015」に向けて公開された最新のトレーラー動画では、宇宙服のヘルメット越しに衛星軌道上の宇宙空間が広がり、事故で粉砕した宇宙船の残骸が次々とこちらへと向かってくる。必死に手で残骸を払い除けるも大きなガレキが激突、宇宙服に異常が発生し絶体絶命! このまま漂流し続けていれば酸素が尽きて死を待つのみであることは明らかだ。動画はここで終わっているが、例えばチューブ状の部品を掴み辿って移動したりしながら、未だ健在な宇宙船の発見をめざすことになるのだろうか……。

『ADR1FT』の開発は米カリフォルニア・サンタモニカを拠点とするデペロッパー「Three One Zero」が担当し、販売を「505 Games」が行なう。今年9月にXbox One版、PlayStation4版、PC版がそれぞれ発売され、来年はVRゲーミングHMD「Oculus Rift」版のリリースも予定されているということだ。一人称視点のバーチャルなゲームだけに、Oculus Riftにはうってつけのタイトルだと言えそうだ。

■『ADR1FT』コミックス展開も始動

 先頃開発元のThree One Zeroが発表したところによると、この『ADR1FT』はコミックス展開も行なわれるということだ。どちらもアメコミを多く手がけている出版社「トップ・カウ・プロダクション」と「イメージ・コミック」が共同で出版する。第一章は現在、トップ・カウ・プロダクションの「ダウンロードサイト」などからPDFファイル版を無料で入手することができるので、英語の勉強を兼ねて(!?)ダウンロードしてみてもよいだろう。

「この『ADR1FT』の世界をコミックスで展開できる夢がついに叶いました。ゲームを超えた『ADR1FT』にとても胸が躍り、この機会を最大限に活用していきたいと思います」とThree One Zeroの共同創設者でクリエイティブディレクターのアダム・オース氏は自社サイトで言及している。

 イメージ・コミックのプロデューサー、マット・ホーキンス氏は「『ADR1FT』のデモ版をプレイしてみてすぐに私はこのコミックスを作りたいと思い、アダムに話しました。この種のストーリーは本当に手がけてみたかったし、アダムも私を信頼して任せてくれて、とても幸せです」と今回のプロジェクトを喜んでいる。

 昨今は何かと宇宙を身近に感じられる話題が多く、昨年には本格的な宇宙SF映画『インターステラー(Interstellar)』が公開されて注目を集めたり、「Mars One」計画で人類最初の火星移住メンバーが募集されたのも記憶に新しい。ホーキンス氏も言うように、リアルな宇宙空間を舞台にした近未来SFドラマは今何かと訴求力が高そうである。この『ADR1FT』のゲーム体験を通じて培った宇宙空間でのサバイバル術が、近い将来役に立つ日が来てしまうのかどうかを考えると、少し怖い気もするが……。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・The Verge
http://www.theverge.com/2015/6/10/8760341/adrift-trailer

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