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制作秘話からアニメ界の新潮流までを直撃! 神風動画によるオリジナルアニメ『HOME-PATO THE MOVIE』の裏側に迫る

2015.06.18

■“広告アニメーション”をめぐる現状 『HOME-PATO THE MOVIE』の作り方

今後はパーキングエリアなどでも流れるかも? ©TOKYO SMART DRIVER

――今回の『HOME-PATO THE MOVIE』はウェブで公開されましたが、パーキングエリアなどで放映しても、ドライバーの方から反響がありそうです。  いくつかのパーキングエリアにはビジョンがあるので、今後はその枠をもらえるように働きかけています。 ――最近では、ウェブCMや街頭ビジョンなどでもアニメを見ることが増えていますよね。今回の『HOME-PATO THE MOVIE』しかり、それこそ神風動画は多くの“広告アニメーション”を手がけています。実際、“広告アニメーション”の増加は感じますか? 水崎 前例が増えたと思います。CMでアニメが使われることに対して、「こんなことできるんだ、面白いね」という声が上がってきています。  昔は制作側も「CMってどうやって作ればいいんだろう?」と困ってたと思うんです。そこに、うち(神風動画)もそうですけど、Studio 4℃さんとかProduction I.Gさんとか、アニメのテレビCMといった前例が出始めてきた。CMを発注する側も、受け手側も、互いに理解が深まりつつあるのかなと思います。  ただやっぱり、テレビアニメが1話800万~1200万円くらいで制作できるのだから、「15秒の映像だったら40万円ぐらいで出来るでしょ」と発注してくる方もいらっしゃいます(苦笑)。 ――まだまだ誤解もあるということですね。制作費については、最近では「アニメーターの月給が安い」と叫ばれたりもしています。その中で、増加傾向にある“広告アニメーション”がアニメ業界の今の構造を変えていくのかな? とも思うんですが。 水崎 ただ、本数があまりないんですよね……。  でも、これからオリンピックに向けて増える気がします。というのも、オリンピックが決定したあと、次の日から電話がいっぱいかかってきたり(笑)。 青山 神風動画はCGアニメ会社の中でも特殊というか、そういうところにうまく入り込んでる感じがありますよね。 一同 (笑)。 青山 CG会社の中でも、神風動画は元請けに近い仕事が多いイメージです。完全な下請けの案件だと、コンテとかがすでに決まっていて、クリエイティブな感じがしないものもあります。でも、今回の『HOME-PATO THE MOVIE』は、最初から神風動画が構成していく感じがあって、面白そうだなと思いました。 水崎 神風動画では、まず仕事の相談があった時に「うちは言うこと聞かないよ。生意気だし、高いよ。それでもよければ、最高のものを出しますよ」というスタンスを見せるんです。それで連絡が来なくなる方もいれば、「そういう会社、大好きです」って言ってきてくださる奇特な方も(笑)。でも、そういった方には最大限に誠意を返すようにしています。  今回の『HOME-PATO THE MOVIE』でも、気休めとかを言ってもしょうがないので、初めにいろいろお伝えして、「これで駄目だと思ったら、お金は出さないで大事にしたほうがいいです」と。  水崎さんが本音できた時、僕も「この人は信じたほうがいい」と覚悟しました。これで出てくる作品はスゴイんだろうな、と。 水崎 だから、最近は「コンテはこれで」と言ってくる方はだいぶ減りました。“継続は力なり”ですね(笑)。  それで『HOME-PATO THE MOVIE』でも、青山さんと「ロケのベース、どこにしましょうか?」とか相談したり、そういう段階から取り組めたのが良かったです。

小山薫堂さんそっくりな“一般優良ドライバー・K山さん”。
神風動画がデザイン案として提示し、そのまま採用となったそうだ。提供:神風動画

――『HOME-PATO THE MOVIE』は、最初からストーリーがあったわけではないんですか? 水崎 なかったですね。  「ホメパト」を表現するのに、“ウィンカーの出し方を褒める”といったネタをお渡ししているぐらいでした。 水崎 「ホメパト」っていう構想をお聞きして、面白いな、と思って。それで、「どういうターゲット層に差したいのか?」を聞いて。アニメのコアなファン層に向けて「首都高のキャンペーンの映像なのに、えらくクオリティが高い」っていうギャップを狙ったのかな、と。でも、キャラクターの感じとかテイストは、ちゃんと企画に合わせます。 ――逆に、「アニメで何かやりたいけど、どうしたらいいかわからない」というクライアントも相談しやすいかもしれないですね。 水崎 最近はミュージックビデオとか、初めてアニメを使ってみたいという方は多いですね。でも、変にアニメーションの知識があったりする人はやり辛いですね。アニメ業界の金額も知っているので。 ――『HOME-PATO THE MOVIE』の取り組みなどを含め、いろいろ騒がれているアニメ業界の中で、神風動画が今後のひとつの道標になるのかな、と思いました。 水崎 ありがとうございます。僕もそれを意識して生きていると思います。さほど苦しんでいない感じをみんなにアピールして、アニメーション会社がこういう能力を磨いておけば、そんなに搾取されなくてすむんじゃないか? そういうひとつの見本ですね。  もちろん、CGスタジオからテレビアニメに入ってきて成功したポリゴン・ピクチュアズ【編注:アニメ『シドニアの騎士』の制作などで知られる】とか、ほかにもいろんな正解例があると思います。ただ、大正解がない中のひとつとして、この生き方も継続したほうがいいのかなと。 ――なるほど。それでは、最後に改めて『HOME-PATO THE MOVIE』の注目ポイントを教えてください! 青山 リアルさや現実感も残しつつも、アニメっぽいデフォルメも取り入れた、絶妙なバランスの車の動きを見てほしいですね。 水崎 この作品は、首都高をそれなりに把握、理解した上で作っているので、ぜひドライバーさんに見てもらいたいです。「ホメパト」というイベントもやっているので、そこに呼んでいただいて、ドライバーさんのリアクションも見たいですね! ――本日はありがとうございました!! (取材・構成/編集部) ■「東京スマートドライバー」公式HP http://www.smartdriver.jp/

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