「週刊少年ジャンプ」情報レビュー

『ONE PIECE』ギネス記録で復刻した「週刊少年ジャンプ」 “消された”マンガ作品は…!?

2015.06.15

――発行部数約242万部(一般社団法人 日本雑誌協会発表)を誇る最強の少年マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)。そんな「ジャンプ」の最新情報をさまざまな角度からレビュー!

週刊少年ジャンプ公式サイトより。

「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)2015年29号の表紙と巻頭カラーを飾るのは、連載3周年を突破した『斉木楠雄のΨ難』。今回、「ジャンプ」連載中のマンガでは『暗殺教室』に続く形で、実写映画化が発表された。奇しくも、両作は作者が共に埼玉県入間市出身ということで、今年1月に「いるまんじゅう」コラボをしている。“聖地巡礼”を始めとするコンテンツツーリズムが注目を集める中、W実写化でますます盛り上がりを見せそうだ。

 今週の掲載順位は、『斉木楠雄のΨ難』『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』『ブラッククローバー』『食戟のソーマ』……と続く。一方で、巻末連載である『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』を除いた最後尾は『カガミガミ』となった。ここ最近は低調が続く同作だが、次号はセンターカラーを予定。掲載順の浮沈が激しく、今後の動向を注視したい。そのほか、今号では新人作家・森井崇正による読み切り『天狗警察』が掲載されている。

 そして今号の注目は、『ONE PIECE』がギネス世界記録に認定されたというニュースに関連したもの。『ONE PIECE』は今回、最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズとしてギネス世界記録に認定された。これを記念して、本日15日から29日までの間、「ジャンプ」の電子版「ジャンプ+」で、『ONE PIECE』が連載を開始した「ジャンプ」1997年34号のデジタルリマスター版が、期間限定で無料復刻配信されている。

 配信された「ジャンプ」には『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―』(以下、『るろうに剣心』)や『地獄先生ぬ~べ~』など、今でも根強い人気を誇る作品が多く並び、当時の読者にとっては感涙ものだろう。しかし一方、今回のデジタルリマスター版に掲載されていない作品も多い。

 例えば、『ジャングルの王者ターちゃん』などで知られるマンガ家・徳弘正也による『Wrestling with もも子』や、いわずと知れた人気シリーズの『キャプテン翼 ワールドユース編』。現在、両作家は『地獄先生ぬ~べ~ NEO』と並んで「グランドジャンプ」で連載を持っているだけに、過去作を読みたいと思う読者も多いはずだが……。特に、『ONE PIECE』作者の尾田栄一郎は徳弘正也の下でアシスタント経験もあるため、『ONE PIECE』を祝福する同企画で師匠の作品が未掲載なのは残念なところ。

 また、現在、他社で活躍しているマンガ家の作品についても、未掲載が目立つ。続編を日本文芸社のウェブサイト「Webゴラクエッグ」で連載中の『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』。「近代麻雀」で『バード』シリーズ(共に竹書房)が好評を博した山根和俊のプロレスマンガ『JOKER』。数多くのパロディネタでも知られ、現在は「ヤングマガジン」で『喧嘩稼業』(共に講談社)を連載している木多康昭の『幕張』。これらはいずれも未掲載。ほかにも、『ボンボン坂高校演劇部』で有名な高橋ゆたかの『魔女娘ViVian』も掲載されていない。

 今後も同様の企画が行われる際には、ぜひ完全版で復刻してほしいものだ。
(雑誌やマンガ作品に関して、言及のない限り、版元は集英社。文中、敬称略)

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