“着エロ”も18禁扱い、「貧乳」バナーは禁止…アマゾンジャパン“アダルトコンテンツ取り扱い厳格化”資料の中身

2015.06.15

Amazon.co.jpの「DVD アイドル」カテゴリより。

 今月、通販サイト「Amazon」を運営するアマゾンジャパン株式会社がアダルトゲーム/ビデオの倫理団体を招き、7月からのアダルトDVD販売方法に関する説明会を開催していたことが、本サイトの取材でわかった。説明会では、アマゾンジャパンが商品登録にあたってのガイドラインを通知していることも判明。同社はこれまで商品のガイドラインについて「コンプライアンスに準じて対応している」とするのみで、一切の取材を無視してきた。今回、初めてその一端が明らかになったことになる。

 今回の説明会では、アマゾンジャパン側から同社映像事業部・音楽事業部コンテンツ管理部の担当部長が出席。「Amazon」ではアダルトゲーム/ビデオについて、コンピュータソフトウェア倫理機構事務局(ソフ倫)・日本映像倫理審査機構(日映審)・コンテンツ・ソフト共同組合(CSA)・ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)・日本映像ソフト制作・販売倫理機構(制販倫)・全日本ビデオ倫理審査会(AJCS)の6団体の審査を受けた商品だけを登録可能とすることを通知した。

 また関係者の話では、口頭で「外部から犯罪や児童ポルノに関する削除の要請があった場合、対応せざるをえない」との説明がなされたという。これに加えて、着エロ系のアイドルDVDについてもアダルトカテゴリーでの登録を必須とし、アマゾンジャパン側がアイドルカテゴリでの販売が可能か否かを判断するとのこと。アイドルDVDの制作会社に対しては、前述の6団体で審査を受けることを推奨しているという。

 配布された商品登録に関する資料には「アダルトメディア商品に関するガイドライン」が記載されているが、ここでは次のような項目も存在する。

・Amazon.co.jpは、以下の基準に基づき、極めて不適切と見なされるアダルト商品を当サイト上から削除します。:(a)主たるテーマとして、同意のない性交渉が、極めて暴力的(または虐待的)および写実的に描写されている作品、および、(b)主たるテーマとして、獣姦が描写されている商品。

・Amazon.co.jpは、学術的、芸術的、政治的または科学的価値のあるコンテンツと見なされる商品については、当サイト上での販売を継続します。


 同様に配布された「アダルトDVD・ブルーレイ バナー・メール掲載規定」という資料は、アダルトストアでのバナー掲載やユーザーが任意で購読できるデリバーズメールについて説明するものだが、ここでは「Amazon.co.jpが掲載NGとしている一例」も記されている。NG事例のうち、「テキスト・表現方法」については次のように示される。

暴力的表現(レイプ・拷問など)、最大級表現(最大・世界一など)、誹謗中傷(変態など)、精神的圧力、差別、欠点の訴求(貧乳など)、犯罪行為(痴漢・売春・監禁など)の助長など、お客様に不快感を及ぼす恐れがある表現を含む商品タイトルやコピーは掲載不可。


 説明会では担当者から「アマゾンとしては、新作の売上を重視しており、マーケットプレイスの商品について、規約違反の商品を削除する等、対応している」との説明もあったという。アマゾンジャパンでのメーカー新作とマーケットプレイスの売り上げ割合は、2015年現在でマーケットプレイスが42%を占めている状況とされた。特にアダルトDVDの売り上げのうち、55%は中古(旧作)販売とのことだ。

 同社は今年1月、児童ポルノにあたる出品を放置していたとして家宅捜索を受けており、これを契機として各団体の審査を必須にすることで、安全かつ利幅の大きい販売方法へのシフトを検討したものと考えられる。

 また前述の「削除の要請があった場合、対応せざるをえない」という説明に見られるように、各団体の審査を受けた商品でも任意に削除される可能性があることを示唆している。これは、販売前の審査を行わない雑誌・書籍にも対応すると見られ、現に今年5月末頃には雨蘭氏のマンガ『無邪気の楽園』(白泉社)が「Amazon」から一斉に削除されている。

 もはや、なくてはならない販売ルートとなった「Amazon」。ガイドラインに従っても削除されうるという厳しい状況が明らかとなった。
(取材・文/昼間 たかし)

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