『ファイナルファンタジー』をはじめ、HDリマスターされるゲームたち…なぜ“リマスター商法”と批判される?

2015.06.13

 近年、過去のゲーム作品をHD画質にしてPS3やPS4に移植した“HDリマスター版”のリリースが後を絶たない。HDリマスター版は名作を高画質で遊べるといった利点があるものの、ネットでは“リマスター商法”と呼ばれ、批判されることも少なくない。なぜ、HDリマスターはゲームユーザーの非難を買うのだろうか、今回はその理由を見ていきたい。

 これまでにHDリマスターされた代表的なシリーズは、『メタルギアソリッド』『ファイナルファンタジー』『キングダムハーツ』『バイオハザード』といった人気&名作ばかり。最近では、5月にPS4専用『ファイナルファンタジーX/X-2 HD リマスター』が発売され、先日には『バイオハザード0 HDリマスター』が2016年に発売されることも発表された。

“HDリマスターの良い点”は、過去に発売された名作をPS3やPS4といった次世代機で遊べることだろう。もともとそのゲームが好きだったファンはもちろん、「古いゲームだから」と敬遠していたユーザーからも興味をもってもらえるきっかけとなる。ゲーム会社からしてみても、“過去にヒットした作品”をリマスター化しているので、新作を出すよりも少ないリスクで販売することができる。実際、2014年発売の『バイオハザード HDリマスター』は今年4月に全世界100万本リリースを達成している。

 だが、HDリマスターのリリースが発表されると、ネットには歓喜の声もあれば「またリマスター商法か」「新作を発売しろ」といった批判の声も上がる。たしかに、“過去の作品を綺麗な画質で遊べる”というのはリマスターゲーム作品の大きな魅力ではあるが、ゲームの内容自体はほとんど変わらないため、リマスター以前のゲームをすでに遊んだファンからすれば新しさを感じず、物足りないゲームとなってしまうことも多いようだ。11年発売の『ICO』『ワンダの巨像』HDリマスター版を手がけたゲームデザイナーの上田文人氏もHDリマスター版をリリースすることがビジネスとして成立してしまうことに対し、「売れてしまえばそれでいいんだろうか」とコメントを残している(外部参照)。クリエイター側もリマスター商法に対して疑問を抱くことがあるようだ。

 また、HDリマスター版の中には致命的なバグが生じる場合もあり、よく見るとキャラのテクスチャが粗いなど、リマスター化することによって元の作品よりゲームとしての完成度を落としてしまうものも。もちろん一部ではあるが、「リマスター作品」の評価を下げる要因の一つであると言えるだろう。

“過去に熱中した作品を高画質な次世代機でプレイできる”という点がメリットでもある一方、ゲームの内容自体に大きな変更がないことから批判もされるHDリマスター。「リマスター版より新作を」という意見も見られるが、ヒットをとばすシリーズもある以上、HDリマスター版のリリースはまだまだ続きそうだ。
(文/日戸裕太)

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング