定職についた“バカボンのパパ”に、ソニーがらみで改名した『魔法使いサリー』…アニメ化にまつわる“大人の事情”

2015.06.09

 マンガが映像化される際に設定や登場人物が変更となるのは、ままあることだ。昨年10月に放送されたドラマ『地獄先生ぬ~べ~』(日本テレビ)では物語の舞台が小学校から高校に変わったことが原作ファンの批判の対象となり、今年に入ってからも映画『寄生獣』のストーリー変更が物議を醸した。こうした設定変更は監督の考えや演出の都合などによることも多いだろうが、中にはやむにやまれない“大人の事情”で設定が変更となる場合も多いのだ。

 6月8日に放送された『大人も知らない大人の事情』(テレビ東京)では、そんな世の中にあるさまざまな“大人の事情”を取り上げ、その理由などを紹介していた。番組が取り上げたさまざまな“大人の事情”の中には、『魔法使いサリー』と『天才バカボン』アニメ化にまつわる裏話も。

 もともと、『魔法使いサリー』は『魔法使いサニー』として、「りぼん」(共に集英社)でマンガ連載されていた。テレビアニメ化が決まり、グッズ展開などのために「サニー」を商標登録しようとしたところ、家電メーカーの「SONY(ソニー)」が類似品対策として「サニー」という名前も商標登録していることが判明したのだった。そこで、主人公の名前を“サニー”から“サリー”へと変更。この名前の変更について、当時の誌面ではサニー(サリー)が「みなさん こんどわたしがテレビにでることになりました テレビとのかんけいで名まえがちょっとかわり 今月から『魔法使いサリー』となります よろしくね!」と、直々に説明。なんともあけすけだが、連載していた1966年当時のおおらかさもわかるエピソードだろう。

 また、『天才バカボン』(講談社)ではアニメ化に当たり、バカボンのパパの“定職につかない”設定が変更されている。同作を担当したアニメの大御所脚本家・雪室俊一氏に、設定変更の理由を聞くと「スポンサーの要望ですね。『この一家がなんで生活しているのか』と疑問が出た」のだという。いわく、「定職についていないのはよくない」とスポンサーが判断したそう。結果としてアニメで、バカボンのパパは植木屋となった。これについては、「会社だと決まったところに行かないといけないが、植木屋はいろんな家に出入りして話が膨らむんじゃないかということで(植木屋に)なったと思う」と、雪室氏は語っていた。

 映像化に当たり、内容が改変されると不満に思うファンも多い。確かに原作の良さを消してしまうような改変は勘弁してほしいものだが、中にはこういった“大人の事情”も多々あるのだろう……。

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