指原・柏木・渡辺の元チームB対決の背後で……

SKE48ついに第一党へ! AKB48のランクイン数を超えた姉妹グループがその強さを証明したAKB48選抜総選挙

2015.06.07

 ホームリングの闘いに打ち勝った女王の帰還!

 今年で7回目、アイドル界最大のイベントとして行われたAKB48選抜総選挙……272名の立候補者の中から41枚目のシングルの選抜メンバーを決める今回の一戦は、日本武道館から日産スタジアム、味の素スタジアムと会場をスケールアップさせ、今年は遠く九州は福岡ヤフオクドームで開催された。

 投票総数300万票以上、1位の獲得票数が19万票を超える史上最大の選挙戦を制したのは、ドーム隣に劇場を構えるHKT48の支配人・指原莉乃。また上位3人に残ったのが指原、そして柏木由紀・渡辺麻友という、かつてチームBで同じ釜の飯を食った仲間で首位を争う展開となった。「卒業前最後の総選挙出馬」とあって、今回の総選挙の鍵と呼ばれたグループ総監督・高橋みなみは、4位に終わった。

 この日一番の名場面となったのが、そんな高橋みなみのスピーチだ。総選挙で毎回締めの言葉で使っている「努力は必ず報われる」について、こうメンバーにこう語りかけた。

「努力は必ず報われると限らない、そんなのわかってます。その努力がいつ評価されるかわからない道を歩き続けなきゃいけないの、きついけどさ、誰も見てないと思わないでほしい。絶対ファンの人は見ててくれる。これだけは私のAKB人生で本当に一番言い切れることです。だから諦めないで」

 メンバーにとっては苦しくも、ファンとの関係をあらためて認識させられる総選挙。その意義、そしてアイドルのあり方について語る、総監督最後の総選挙にふさわしいメッセージだった。

 1位となった指原莉乃は、頂点を獲ったことについてのスピーチで、まず涙声で「昨日の夜、もし1位じゃなかったらどうやったらワイドショーで取り上げてもらおうかと……」と笑いを取りつつ、

「私のように自分に自信がないみなさん、いじめられてひきこもりになって親に迷惑をかけてしまったみなさん、陽の当たっていない皆さん、私はもう一度1位になることができました。私はおちこぼれで、選ばれた人間ではありません。全国のおちこぼれのみなさん! 私の1位を自信に変えてください! あの日、私に力をくれたアイドルのように、みなさんの力になれることが嬉しいです!」

と、前田敦子にも大島優子にもなれないところから、「逆転力」を発揮しての1位奪還を、かつての自分と同じ境遇にいるファンやその先の人々に発信した。

 さて、近年の総選挙というと、SKE48とHKT48の躍進が目覚ましく、その一方で、握手会では人気のはずのNMB48が選挙では伸び悩むという展開が続いている。さらに、AKB48では世代交代がなかなか進まないというのが課題となっていた。

 その中で、今回ランクインした80名を見て、まず驚かされるのが「SKE48ついに第一党へ」。これまで不動のトップだったAKB48がランクイン数だが、今回AKB48が23名、SKE48が27名(SNH48兼任の宮澤佐江含む)と、ついにランカーの数で抜き去ったのだ。それも、そのうち12人が今回初ランクイン。さらに、初の選抜メンバーに高柳明音・松村香織を送り込んだ。とはいえ、名古屋の総大将・松井珠理奈が5位と、1ランク落としている。そして何より衝撃だったのが、前回10位の須田亜香里がまさかの18位選抜落ちだ。総選挙で奇跡を見せてきた彼女の再起に期待したい。

 今回初の地方開催ということで印象的だったのが「福岡のウェルカム感」と「HKT48推しムード」。街中のあちこちにAKB48総選挙のフラッグが貼られており、自然とメンバーの顔が飛び込んでくる。さらに福岡市の中心地・天神からの西鉄バスには行き先に「AKB48選抜総選挙会場」と書かれ、さらに歴代優勝者の名前まで電光掲示板に出る凝りよう。また会場でもHKT48メンバーの名前が呼ばれる時は、他地方チームより明らかに大きい声で声援が飛んでいた。

 総選挙直前には地元のニュース番組や新聞でも大きく取り上げられており、中には地域への経済効果として20億円という数字を出すところもあった。これを機に毎年地方開催……というのも、米プロレス団体WWEの年一度のビッグマッチ「レッスルマニア」を彷彿とさせ、さらに地元グループを盛り上げるためにも効果的かもしれない。

 それ以外にも、初の神7入り・宮脇咲良の「AKBを壊す」、島崎遥香の「AKB第二章」といったキーワードや、NGT48の北原里英の11位好発進、昨年圏外からジャンプアップした谷真理佳(23位)や渕上舞(31位)、神志那結衣の震えすぎるスピーチなど、今回も見どころに事欠かなかったAKB48総選挙。以前に比べてその求心力が落ちていると言われる48グループだが、今回生まれたストーリーをどう紡ぎ、拡散していくのか。魅力的なサプライズに期待したい。
(大坪ケムタ)

<開票結果(※上位20位まで)>
1位 指原莉乃(HKT48チームH)
2位 柏木由紀(AKB48チームB/NGT48兼任)
3位 渡辺麻友(AKB48チームB)
4位 高橋みなみ(AKB48チームA)
5位 松井珠理奈(SKE48チームS/AKB48チームK兼任)
6位 山本彩(NMB48チームN/AKB48チームK 兼任)
7位 宮脇咲良(HKT48チームKIV/AKB48チームA兼任)
8位 宮澤佐江(SNH48チームSII/SKE48チームS兼任)
9位 島崎遥香(AKB48チームA)
10位 横山由依(AKB48チームA)
11位 北原里英(NGT48)
12位 渡辺美優紀(NMB48チームBII/AKB48チームB兼任)
13位 松村香織(SKE48チームKII)
14位 高柳明音(SKE48チームKII)
15位 柴田阿弥(SKE48チームE)
16位 武藤十夢(AKB48チームK)
17位 兒玉遥(HKT48チームH/AKB48チームK兼任)
18位 須田亜香里(SKE48チームE)
19位 峯岸みなみ(AKB48チームK)
20位 大矢真那(SKE48チームS)

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