『僕らの最大公約数』若さゆえの暴走や焦り、不安…それらがエッチシーンのやりとりに詰まっている

『僕らの最大公約数』若さゆえの暴走や焦り、不安…それらがエッチシーンのやりとりに詰まっているの画像1僕らの最大公約数』(著:嘉島 ちあき /海王社)

 5月に発売されたBLマンガ家・嘉島ちあき氏の最新刊『僕らの最大公約数』は、同氏のデビューコミックス『花とうさぎ』(共に海王社)に収録されている短編読切の連載版だ。幼馴染の南隆史と水戸翔平は恋人同士。いつでもどこでも甘えてきて「好きー」と言ってくる翔平に、隆史は「人に知られたくない」と突き放すが、バカで天然な翔平には通じない。エッチの時は翔平が攻めで3回もヤッちゃうもんだから、隆史は疲れて身体がもたない。だいたいなんでお前が突っ込む側なんだ?! 物語はそんなところから始まる。

 本作の見どころは、エッチ中のやりとりにある。若さゆえの暴走や焦り、不安がありつつ、文句を言いながらも感じちゃう“受け”立場の隆史。普段は天然バカなのに、エッチの時だけは強引に攻めてくる翔平に、クールなはずの隆史は翻弄されまくり。だからなんで俺が突っ込まれる側なんだってば!? 普段の学生生活とは上下関係が逆なところが、エッチシーンの中でみずみずしくコメディタッチで表現されている。これはギャップ萌えか?

 まずはいざ初エッチという際、なにぶん男同士でのエッチは初めてなので、ケツの穴の負担を考えて、ちんこの小さいほうが入れる側にしよう、と提案する隆史。自慢じゃないが、自分は小さいほうと自覚している。しかし実際見せられた翔平のちんこはもっと小さくて、結局隆史が入れられる側となってしまう。ところが、勃つに従って巨大になる翔平のちんこ! おまけに翔平はなかなか満足しない絶倫だったのだ! 隆史は翔平にされるがままで、終わった頃にはヘトヘトに。

 そんな関係が続き、このままでは一生童貞じゃねーか! と焦った隆史は、「俺にハメさせろ」と翔平に提案する。翔平が1回ヤッたあと、イかされた隆史は「童貞卒業!」と目が燃えているのだが、まだそこでイッていない翔平は、素股でいいからと上になったまま。それはそれで、やだもう、なにこれ気持ちいい! 隆史は結局疲労困憊してしまい、結局、とても上下の交代をできる状態ではないのだった。自分が突っ込むことができなかった隆史。エッチのたびに次こそは次こそは……と願う隆史だったが、そのまま高校2年生を終え、3年生になり、翔平とクラスが離れてしまう──。

 高校生の話の間には、中学生の頃の2人の様子も描かれていて、翔平が隆史に告白して付き合うまでの経緯もつまびらかにされる。気がついたら隆史のことが好きだったという翔平は、「たっちゃんのことを考えたらちんこが勃つから!」という認識レベル。隆史は、「ちんこなんか毎日勃つんだよ!」と一蹴するが、自分も翔平のことが気になっていることに気付いていた。これって恋ですか? それとも思春期にありがちな勘違い? 止まらない翔平の暴走と、それに巻き込まれてペースをかき乱される隆史も笑える。

“攻×攻”の攻防戦の果て、どちらが上で決まるのか。隆史は一生童貞で、魔法使いになっちゃう? いやいやそれはかわいそう。でも、翔平から魔法の杖のミニチュアをプレゼントされた隆史が「俺が魔法使いになったらお前のちんこ去勢してやる」なんていうやりとりもかわいい。どっちがハメるか、何回ヤるか、決めてはいても、エッチが始まったらもうそんなの関係ない! もちろんエッチシーンだけでなく、隆史の家庭の事情もはさみ、少しシリアス部分もある本作では、2人の心の絆もきちんと描かれている。やっぱり愛だよ、愛!
(文/桜木尚矢)

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