宮脇社長は“クールジャパン”にもチクリ! 業界をリードする海洋堂・造型師が明かしたフィギュア制作の極意

1506_kaiyoudou_bakumon.jpg株式会社 海洋堂公式サイトより。

 6月3日、『探検バクモン』(NHK総合)にて、特集「フィギュアはおきらいですか?」が放送された。番組では、進行役の爆笑問題らが世界的フィギュアメーカー・海洋堂の宮脇修一社長と共に、同社の工房を訪問。3人の有名原型師がフィギュア製作の秘訣などを語っていた。

 最初に登場したのは、ミクロな造形を得意とする寺岡邦明氏。これまで「旭山動物園シリーズ」などのヒット作を手掛けており、現在は芋虫シリーズを作成中だ。図鑑や写真などの資料を入念にチェックし、蚕一体の原型制作にかかる日数は約10日間。石粉粘土で大まかに成形し、デザインナイフで細部を作り上げていく。また、生命感を表現するために、そのまま再現するのではなく、一部をデフォルメし、特徴を際立たせることで“絵画的な模型”を実現しているという。「旭山動物園ヴィネット」や「サンシャイン水族館 フィギュアコレクション」など、生物系フィギュアにも定評のある海洋堂の奥深さが伺える。ちなみに、「(原型を作るときに)いつもどんなことを考えているんですか?」との質問には、「締め切り」と答える一幕も。

 続いて登場したのは、同社のヒット商品「リボルテック」シリーズなどで知られる造形作家・山口勝久氏。ダイナミックなポージングを可能にする手法は「ヤマグチマジック」と呼ばれている。この躍動感があってアニメらしく「かっこよく動く」秘密のカギは、“関節の位置”と“関節の角度”にあるとのこと。肩の関節を実際の人体よりも内側(首側)にしたり、関節の角度もトライ・アンド・エラーを繰り返し、少ない関節でかっこいいポースを実現。例えば、「リボルテックヤマグチ」シリーズの『劇場版TRIGUN ヴァッシュ・ザ・スタンピード』では、コートの裾に関節を導入することで、迫力のあるポージングを可能にしている。宮脇社長によれば、このセンスこそが山口氏の作家性なのだという。

 3人目は、美少女フィギュアの原型師・BOME(ボーメ)氏だ。同氏は、現代芸術家・村上隆がヴェルサイユ宮殿で展覧会を行った際にも注目を浴びた等身大フィギュア『Miss Ko2』を手がけたことでも知られている。そんなボーメ氏、もともとは50年前に海洋堂が模型店だった頃のお客さんで、少年時代の“帽子とメガネ”という出で立ちから“ボーメ”という名前になったそう。そんな氏が現在、原型制作に取り組んでいるのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの式波・アスカ・ラングレー。ミケランジェロの彫刻などを参照しながら、髪を二種類に分けて作ることで動きや軽さを表現。マンガとリアルの間、“2.8次元”を実現している。今でこそ美少女フィギュアの第一人者であるボーメ氏。実は不器用で、宮脇社長も「こいつだけは入れたら(入社させたら)アカン」と言うほどだったと、意外なエピソードも飛び出していた。

 そのほか、爆笑問題との座談会で宮脇社長は、フィギュアを取り巻く現状として、オタクに対する偏見についても言及。「まだまだオタクという言葉に対する(偏見がある)。何か事件が起こってもアキバ系とか……何かあると『それ見たことか!』と言われるんですが……」「“クールジャパン”とか、あんなとってつけたような、俺にとっては『嘘つけ!』と思ってるような……」「何がクールじゃ、っていうのがある」と、チクリと苦言を呈していた。

 今回の放送で明かされた、海洋堂が誇る原型師の技。自宅のフィギュアを見直してみれば、そこかしこに潜む技術やアイディアに改めて感嘆してしまうはずだ。

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