「マンガを通じて、日本人は感性を育んできた」…大物マンガ家も出席 “出版物への軽減税率適用”院内集会が開催

2015.06.04

 今月3日、衆議院第一議員会館にて「出版物への軽減税率の適用を求める集い」が公益財団法人 文字・活字文化推進機構の主催で開催され、300人余りが集まった。

 冒頭、挨拶に立った活字文化議員連盟会長の自民党・細田博之幹事長代行は、基本的に生活に関する物には軽減税率が適用されるとした上で、次のように語る。

「与党間、自民・公明の間で協議が行われているが、特に公明党から軽減税率が強く要求されています。各党の間では今年中に大枠を決めていかなくてはならないが、議連では皆様の要望をかなえる形で進めていく」

 各党からは、自民党より丹羽雄哉衆議院議員、公明党より浮島智子衆議院議員、民主党より笠浩史衆議院議員、維新の党より石関貴史衆議院議員が挨拶を述べた。このほか、子どもの未来を考える議員連盟会長の河村健夫衆院議員(自民党)らも出席した。

 このうち丹羽衆議院議員は「ヨーロッパでは、ほぼすべての国で活字文化への軽減税率を実施。韓国ではゼロ税率を実施している。まさにこの国の民度が問われている。新聞・活字文化への軽減税率は、長い目で見て国のあり方を決する問題」として、出版物への軽減税率を求めていく方針を示した。

 各界からの意見表明では、作家・浅田次郎氏、マンガ家・里中満智子氏、BPO理事長・濱田純一氏らが発言。里中氏は、次のように語った。

「マンガも出版物。たかがマンガと言われるが、海外の人にも日本人の感性を知ってもらえるメディア。出版物を通して、疑似体験で日本人は感性を育んできた。軽減税率の導入にはコストがかかるという話もありますが、手間を惜しんではいけない」

 集会は各界からの発言のみで、一時間で終了。閉会後、先般より当サイトでも報じているアダルトを扱う出版物を軽減税率から除外する案について、里中氏に尋ねてみたが「さまざまな話が出ているようだが、それについては聞いていない」という。

 また別の出版関係者からは「12月頃に与党との話し合いで、そうした考えを提示されてはいるが、具体化はしていない」といった話も。

 出版業界でも、いわゆるエロ本が各国で軽減税率の対象になっているかどうかを調査中だという。そもそもの前提として、ポルノが出版物ではなく物品として扱われている国もあるそうで、実態調査には時間がかかっているようだ。

 出版物への軽減税率適用を求める動き自体、まだ具体化していないのが現状。先行きはまったく不透明だ。
(文/昼間 たかし)

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