米ケンタッキーが“カーネルおじさん”のレトロ風ゲームをリリース! ゲームで売り上げ回復なるか?

2015.05.29

カーネルクエスト・プレイ画面「Colonel Sanders」公式HPより。

 昨今、さまざまな企業や組織がネットを活用した広報や活動アピールに熱心に取り組んでいるが、先頃、あのファストフード大手のケンタッキーフライドチキンからレトロ風ゲームがリリースされて話題を呼んでいる。

■カーネル・サンダースの波瀾万丈の人生がゲームに

 ケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)からレトロ風ブラウザゲーム『ColonelQuest(カーネルクエスト)』が公開されている。80年代のアタリのゲームを彷彿とさせるこのゲームは、KFCの創業者にして企業アイコンであるカーネル・サンダース氏の人生を“歴史的に正しく”体験できるゲームということだ。

 さっそくPCでアクセスしてみると、カーネル氏のあの威厳のある“おじさん人形”のイメージとは随分違ったポップで親しみやすいゲームキャラクターになって、少年時代の設定からゲームが始まるようになっている。

 ゲームの最初のミッション(レベル1)は、カーネル少年がうまく学校の教室を逃げ出すことだ。この背景には、6歳のときに父親が亡くなり、幼い弟と妹を養うためにサンダース少年は10歳の頃から働いていたという涙ぐましい生い立ちがある。この頃のサンダース少年はなるべく早く学校を抜け出して、農場で働かなくてはならなかったのだ。

 ……と、少年時代の苦境を物語るシリアスな実話を基にしてはいるものの、ゲームのほうは至ってポップで軽妙だ。キーボードのZキーが青ボタン(左)、Mキーが赤ボタン(右)とそれぞれ割り当てられ、椅子や机、先生のチョーク投げ攻撃を、スライディングして潜り抜けたり飛び越えたりしながら教室から脱走を図るのだ。

 その後の人生で“闇産科医”だったカーネル青年が落ちてくる赤ちゃんをトランポリンで受け止めて救うゲームや、ガソリンスタンド経営を始めたカーネル氏が商売敵と銃撃戦を繰り広げるゲームなど、波瀾万丈の人生に基づいていながらもハチャメチャでコミカルなゲームが5種類もあり、手軽にプレイできるだけにけっこう時を忘れて熱中してしまう。一度プレイすれば、カーネル・サンダース氏のイメージが良くも悪くもガラリと変わり、身近に感じられるようになるかもしれない。もちろんそれが、このゲームの狙いではあるが……。

■KFCの大胆な“再ブランディング”計画

 ゲーム好きにはうれしいこのゲームだが、カーネル・サンダース氏の“イメチェン”には、目下、経営刷新計画の真っただ中にあるKFCの実情が反映されているのだ。

 ここ数年、アジア各国での出店が相次ぎ拡大を続けているKFCだが、実はこの10年間、本国アメリカで売り上げの落ち込みが続いている。この現状を何とか打開しようとして打ち出されたのが、KFCの大胆な“再ブランディング”計画だ。

 これまで人々がカーネル・サンダース氏に抱いていたイメージを覆すような新たなキャラクターで生まれ変わらせることも計画の大きな柱となっており、その一環で、このゲームがリリースされたのだ。新しいテレビCMシリーズも5月25日からオンエアされ、これに合わせて店舗の模様替えやスタッフの新ユニフォーム、包装のデザインチェンジ、独自開発のシーズニングによる新たな味付けと、大がかりなKFCの“イメチェン”作戦が始まったばかりなのだ。かつてないKFCの大規模な刷新計画、はたして成功するのか今後に注目だ。

 ちなみに、日本KFCでも昨今はさまざまなイメージ戦略が試みられており、先日登場したばかりの新キャラクター「骨抜き嫁(本名:トリ肌ムネ子)」がセクシーすぎる(!?)と海外メディアの「The Daily Dot」や「Cosmopolitan」などでも評判だ。それにしても日本の場合は、もはやカーネル・サンダース氏が“サブキャラ”扱いな感も……。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Eater
http://www.eater.com/2015/5/19/8625069/kfc-brand-makeover-colonel-quest-game-fried-chicken-hipsters

・BuzzFeed
http://www.buzzfeed.com/venessawong/kfc-confronts-its-lost-decade-in-america?utm_term=.tp3DbV5gZ#.ge1qv6kYJ1

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