『男の娘ミルクせーき』(忍桐ずん)”男の娘”の存在が当たり前!初心者にもオススメ!

 ダライ・ラマ14世が「生まれ変わったら金髪美少女になりたい」と発言したりして、ものすごく世の中が素敵になっていると感じる今日この頃。あとは、“目覚めたら美少女になっている”奇跡を待つだけが、人生の希望である……。

 と、来たるべき美少女化の日までは、その願望はフィクションで補わなければならない。そんな筆者が今回紹介するのは、忍桐ずん氏の『男の娘ミルクせーき』(メディアックス)だ。もともとボーイズラブ出身の忍桐氏だが、前単行本『男の娘女子色』(一水社)よりこちらのジャンルに進出し、徐々に人気を集めている。今回も“男の娘”と“TS(トランスセクシュアル)”をテーマに、さまざまなシチュエーションの短編を収録しており、ページを追うごとに興奮が押し寄せてくる。

 今回、特にオススメするのは“男の娘”を扱う作品のほうだ。忍桐作品の特徴は、作品世界でヒロインである“男の娘”の存在が常識になっていること。あるいは、みんな“男の娘”にあまり驚かない。通例の男の娘作品だと、「男だったのか!」といった驚きからエロへと展開していくものが多い。しかし、忍桐ワールドでは、基本的にすでに“男の娘”が当たり前のものとして存在しているのである。その非日常感が、かえって興奮を煽る。収録作の一編「イルカのお姫様!?に恋した件」では、ヒロインはスク水を着たいから水泳部に所属している“男の娘”という設定。そんなヒロインに先輩が「アイツは男なんだぞ……」と思いながら、興奮してしまうという展開。その前に、“男の娘”をフツーに部活に受け入れているが、「この世界はセクシュアルマイノリティのさまざまな問題が解決している近未来なのか……?」と、勝手に妄想が広がって楽しい。ちなみに、この作品。ヒロインが超ビッチなのもオススメするポイントだ。

 忍桐氏の作品で特にそそるシチュエーションは、男の娘×女の子が絡む作品群。なかでも、2回にわたって描かれる「不感少女×快感少年」は、メイドとしてお屋敷に雇われた“男の娘”が、不感症のお嬢様のために性のオモチャになるというもの。初対面から「入れるのと入れられるのとどっちが好み?」と問われて、結局両方されちゃうのである。また、「ボクのなつやすみ」は、帰郷した男の娘ヒロインが、夏祭りで近所のお姉ちゃんの屋台を手伝った後「疲れたでしょ、ほぐしてあげる」と、おちんちんを女性上位でたっぷりほぐされちゃう物語だ。

 これらの物語においても、前述のように“男の娘”という存在に誰も驚きはしない。もはや“男の娘”が第三の性かのごとく、なっているのである。“男の娘”や“TS”を扱う作品というのは、その存在が異常であることに興奮する仕掛けを施すものが多いと思うが、忍桐氏はそうした要素を用いずに、すんなりとアブノーマルな世界へと誘ってくれる。

 これは、やっぱり“男×男”がなんの疑いもないことが多いボーイズラブ畑出身者ゆえの物語づくりなのだろうか。いずれにしても、過剰に「男なのに」といったテイストを用いないので、このジャンルの初心者にも受け入れやすくなっているのは確かだろう。まだ、この世界に目覚めていない友人知人、家族などに布教するにはぴったりの作品である。
(文/ピーラー・ホラ)

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