“大都会”岡山をコスプレイヤーが闊歩する!? 手弁当の新たなオタクイベント「もん★へす」爆誕の理由を直撃！

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「したまちポップカルチャー もん★へす」公式HPより。

“大都会”岡山で、新たなオタクイベントが始動する。6月14日に開催が予定されている「したまちポップカルチャー もん★へす」が、それだ。会場は、奉還町商店街。岡山の市街地には、いくつかの商店街がある。その中でも奉還町商店街は下町感が溢れるスポットだ。

　そんな鄙びた商店街で、コスプレファッションショーのほか、『宇宙刑事ギャバン』の俳優・大葉健二氏が来場。かと思えば、ガイナックスの赤井孝美氏と、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』や『ウルトラマンX』の監督としても話題となっている田口清隆氏のトークショーも開催と――なんでもアリな雰囲気の企画が次々と投入されているのである。

「最初は、コスプレファッションショーをやりたいなというアイデアから始まったんです」

　そう話す、実行委員会スタッフ。最初に企画が立ち上がったのは、市内で3年以上前から開催されている「おかやまマンガ読書会」からだという。

　これは、参加者が持ち時間10分で自分の持ってきたマンガをプレゼンするというビブリオバトル的な集いである。そんな場所に集まるマンガ・アニメ・特撮ファンらが“濃い”のは当然。最初の「コスプレファッションショー」というアイデアがどんどん膨らみ、町おこしを目指したものへと持ち上がっていったのだという。

　実行委員会のメンバーは、スタッフも含めて10人ほど。にもかかわらず、イベントの企画数は多い。これは、それぞれが自分のやりたいアイデアを実現するために奔走した成果なのだ。

「どこで開催しようかということになり、いくつかの商店街などに話を持ちかけたところ、快諾してくれたのが奉還町商店街だったんです。出演していただく赤井さんとか大葉さんにも、知り合いのつながりを頼ったりしてお願いしました」（同）

　この実行委員会スタッフによれば、実行委員会メンバーがイメージしたのは「マチ★アソビ」や「ニコニコ超会議」をリスペクトしたようなイベントだという。経費は手弁当だというのに、自分たちの理想の祭りを立ち上げ、多くの人に楽しんでもらいたいという熱量の高さには驚くばかりだ。

　公式サイトでは、さまざまな企画が発表されているが、中でも注目したいのは会場の奉還町商店街をコスプレで歩き回れることだ。単に歩き回るだけでなく、コスプレで来店すれば、ラーメンに煮卵サービスから商品の割引販売など、さまざまな特典も準備されている。

　岡山でコスプレといえば、4月の「おかやま桃太郎まつり」で桃太郎と鬼が街を練り歩くくらいだったのに……岡山県出身かつ『これでいいのか岡山県』（マイクロマガジン社）という本も執筆した筆者としては、別の角度から胸アツである。

　今、岡山市内のオタクカルチャーには、大きな変化が起きている。これまで市内で最も規模の大きい表町商店街にあったアニメイト岡山店（正確には1階がアニメイトで、2階にメロンブックスとらしんばんが入居）が、今年3月、岡山駅前に店舗を移転したのだ。昨年末、岡山駅前に超巨大店舗・イオン岡山店が誕生。これによって、周辺商店街の人の流れは激変した。アニメイトの移転もこの変化に対応したものだといわれるが、それまでアニメイト周辺に広がっていた岡山のオタク系店舗は、この移転により大きな岐路に立たされることとなった。

　そこに颯爽と登場した「もん★へす」。会場となる奉還町商店街も、ほかの地域と同じく空き店舗が目立つようになっていたのは紛れもない事実である。しかし、注目したいのは、この“濃い”催しを受け入れる度量の広さである。もしかして、このイベントが奉還町商店街がオタクタウンへと変化していくきっかけになるのではないか、と期待してやまない。

　なお、『妖怪ウォッチ』の大ヒットに乗っかろうと、最近では「もんげー岡山！」というキャッチコピーを打ち出している岡山県。“すごい”という表現については、奉還町あたりでは「もんげー」なんて言葉は使わず、「でーれー」か「ぼっけえ」ではないかという質問には、

「最近は行政が『もんげー』を推してるので、それにあやかって……」（同）

　とりあえず、ロックと保守性が混在する岡山らしい発言であった。
（取材・文／昼間 たかし）

■したまちポップカルチャー もん★へす
http://monfes.com/