ロシア軍の新型戦車の操縦桿は、プレイステーションのコントローラにそっくり!? 近づきつつある“ゲーム”と“実戦”

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操縦桿がプレイステーションのゲームパッド風だという戦車「Kurganets-25」。
画像はCCライセンスに基づき、Vitaly V. Kuzminより。

　ロシア陸軍の最新鋭の戦闘車両「Kurganets-25」はプレイステーションのゲームパッド風のコントローラで操縦することがロシア政府系メディア「Sputnik」で明らかにされた。

■ロシア陸軍の最新鋭戦車はゲーマー向けの設計？

　この戦車の製造メーカーの副社長、アルバート・バコフ氏は「この新しい歩兵戦闘車『Kurganets-25』の操縦桿はプレイステーションのゲームパッドに似ているんです」と取材に応えている。

「（ゲームに慣れた）若い兵士が車両の操縦を簡単に習得できるように車両デザイナーを説得し、開発に2年を費やしてプレイステーションのゲームパッド風の操縦システムを実現しました」（アルバート・バコフ氏）

　またバコフ氏は、左右の動きの連携に優れたプレイステーションのコントローラは完成の域に達した機器であり、車両の操縦にとても適していると力説。しかも、従来のステアリングに比べて安全で、車両の狭い操縦室の省スペース化にも叶っているということだ。

「これまでのステアリングは車両が揺れたときに操縦手の胸に激しくぶつかったり、急いで車両から脱出する際に邪魔になったりしましたが、このコントローラなら省スペースにも貢献し、なんの問題も生じません」（アルバート・バコフ氏）

　この最新鋭歩兵戦闘車・Kurganets-25は現在、ロシア陸軍による試験運用が行われており、2016年から大量生産される予定だという。車両の詳細なスペックはもちろん軍事機密であろうが、今後は操縦室などの内観も徐々に明らかになってくるかもしれない。

■ゲーマーの優れたコマンド入力技能を軍事利用!?

　若者が慣れしたんだゲームパッドで戦車を操縦するというバコフ氏のアイディアは素晴らしいが、実は同じようなことを考えた者はほかにもまだまだいるようだ。

　遡ること2012年のニュースだが、当時から内戦が続いているシリアでは、反政府軍の“手作り戦車”の砲塔の操縦にプレイステーションのコントローラ（サードパーティー社製）が使われていたことが当時話題になった。液晶ディスプレイに映し出した車外の映象を見ながら操作する点も、まさにビデオゲーム感覚である。

　分厚い鉄板を溶接して組み立てた角ばった車体は実に“DIY感”が漂うのだが、戦闘システムはなかなか趣向が凝らされているといえそうだ。しかしながら混迷を深めるシリア情勢の中でこの“手作り戦車”が活躍していないことを望むばかりだが……。

　またイギリス陸軍は防衛計画の中で、今後保有する戦車をすべて「Scout SV」などの指揮操作系統がデジタル化された“スマート戦車”へ入れ替えることを推し進めており、その一環でFPSの『Call of Duty』といったゲームなどに長けた“ゲーマー兵士”を広く募っているということだ。これはもちろん“スマート戦車”の実際の操縦がビデオゲームに似ているからにほかならないだろう。

　ハイテク化が進む軍事分野で、ゲーマーの優れたコマンド入力技能が注目を集めているようだ。しかし、もちろん“実戦”はゲームの世界（と訓練シミュレーター）の中だけであってほしいものである。
（文／仲田しんじ）

【参考】
・Sputnik
http://sputniknews.com/science/20150508/1021883796.html

・The Japan Times
http://www.japantimes.co.jp/news/2012/12/12/world/politics-diplomacy-world/rebels-debut-playstation-controlled-diy-tank/#.VVmCmPntlHx

・IBTimes
http://www.ibtimes.co.uk/scout-sv-british-armys-smart-tank-future-be-driven-by-videogamers-1471457