「りぼん」の発行部数はピークの1/10、『ONE PIECE』担当編集も登場…集英社マンガ誌制作の裏側が注目を集める

2015.05.15

 今月13日に放送された『探検バクモン』(NHK)が集英社を特集し、同社の人気マンガ誌「週刊少年ジャンプ」編集部と「りぼん」編集部の様子や、マンガ雑誌制作に関するエピソードが続々と飛び出した。

 番組では、「週刊少年ジャンプ」編集部にて『ONE PIECE』の若き担当編集者が登場。担当編集者は、『ONE PIECE』作者の尾田栄一郎は、作者と編集者は対等にコミュニケーションを取りたいという思いから、どんなに若い担当者でも「さん」付けで呼び、担当者が「尾田先生」と呼ぶと怒る――など、その人となりがわかるエピソードを披露。尾田は担当編集の意見も積極的に取り入れているそうで、ネーム(マンガの設計図)と、担当編集の意見を取り入れた生原稿とを見比べてみる場面もあった。

 また、「週刊少年ジャンプ」2015年26号から始まる新連載『デビリーマン』の作者・福田健太郎がインタビューに答える一幕も。その作風もさることながら、ネット上では「作者がイケメン」「美形すぎ」などと、その顔立ちが話題となり、思わぬかたちで注目を集めていた。

 続いて、番組は少女マンガ雑誌「りぼん」の編集部をフィーチャー。2015年で創刊60年を迎える同誌だが、最盛期の1993年には255万部を誇っていた発行部数も、今では十分の一以下の20万部にまで落ち込んでいると紹介された。

 そんな「りぼん」は、近年“付録”に力を入れているという。1955年の創刊から付録をつけ続けている「りぼん」だが、2001年に大きなターニングポイントが。それまで、付録は紙かビニール製のみとされていたが、同年の法改正によって、使える素材が緩和。結果、現在の「りぼん」では財布やポーチ、ネイルアートセットなど、さまざまな豪華グッズで読者にアピールしている。なお、雑誌の付録は、景品表示法で定価1000円未満の雑誌にもれなくついてくる付録の仕入れコストは200円までと定められている。こうした制限の中で、「りぼん」編集部は読者世代の子供たちを集めて、付録会議を行うなどして試行錯誤。最近のヒット付録としては、バレンタインに“友チョコ”を作るための「友チョコ&クッキー かんぺきキット」が挙げられた。「りぼん」では5~6年前からバレンタインデーを告白の日ではなく、友達とのコミュニケーションを取る日と位置付けているそうで、時代と共に付録事情も大きく変化しているようだ。

 こうした付録への注力は、なにも集英社に限ったことではない。「ちゃお」(小学館)はデッサン人形やライトボックスなどをまとめた『究極まんが家セット』などを付録にして、ネットで話題をさらった。また、「なかよし」(講談社)も練り香水セット『香りメイクパレット』が付録になったりと、少女マンガ誌の付録は進化を続けている。今年7月には、「りぼん」の付録についてまとめた書籍『りぼんの付録 全部カタログ ~少女漫画誌60年の歴史~』も刊行予定で、今後も話題を呼びそう。過熱する“少女マンガ誌の付録競争”の一端を垣間見ることができた。

『探検バクモン』では、次週放送分を「オトナ編」として、グラビアの撮影現場から、女性ファッション誌の現場へ。さらには、「ジャンプ」史上最も有名な“あの編集者”が登場予定だという。出版不況が叫ばれ、「りぼん」のみならず「ジャンプ」も発行部数約242万部(一般社団法人 日本雑誌協会)にまで落ち込む中で、奮闘を続ける集英社のマンガ誌制作の裏側にさらなる注目が集まりそうだ。

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