アニメ2期に劇場版、舞台化を前に…ゴールデンウィークに振り返りたい、笑えて泣けて忙しいマンガ『ハイキュー!!』

 2014年春~秋にはアニメも放送されたバレーボールマンガ『ハイキュー!!』(作:古舘春一/集英社)。大人気のうちに放送を終えたアニメ第1期の総集編がこの夏、前後編で劇場版として公開、秋には舞台化も決定している。5月1日には最新刊16巻が発売となり、すでにファンだという人も原作を未読の人も、劇場版とアニメ第2期に備えて、このゴールデンウィークにでも原作をしっかり読んで、アニメ第1期分を振り返ってみるのをオススメしたい!

『ハイキュー!!』の主人公は、バレーの強豪・烏野高校で“小さな巨人”と呼ばれるエースに憧れる中学三年生・日向翔陽。162.8センチと身体の小さい日向は、低い背丈で活躍をする“小さな巨人”を目標とする。しかし、日向の中学ではバレー部の活動は盛んではなかった。寄せ集めのメンバーながら、中学三年生最後、念願の中学の公式戦に出場する日向だったが、初戦敗退。そこで“コート上の王様”と呼ばれる、他校の天才セッターの影山飛雄と出会う。「影山に勝つ」と誓った日向は憧れの烏野高校に進学。しかし、烏野高校が強豪だったのも今は昔、“小さな巨人”がいなくなった今、弱小チームに成り下がってしまい、“落ちた強豪”と呼ばれるまでになっていた。ともあれ真っ先にバレー部に入部届けを出して、日向が体育館に向かうと──「なんで居る!?」そう、そこにはライバル・影山の姿があったのだ。同じチームになったのに、口の悪い影山と挑発に乗りやすい日向は、犬猿の仲に。いがみ合う2人を、主将の澤村大地は、「互いがチームメイトだって自覚するまで、部活には一切参加させない」と、体育館から放り出す。

 開始早々ドタバタ劇が続き、先輩たちを巻き込んでの朝練や勝負を越え、主人公である日向と影山が、なんとかバレー部の練習に参加させてもらえる過程も面白い。ところが、ようやくまとまってきた日向と影山の次は、リベロの西谷夕とエースの東峰旭の問題と直面することに! ガラスのハートの東峰は、過去の試合での失敗を悔やみ、コートに戻れないでいた。そんな東峰を引き止めるために騒ぎを起こした西谷は、しばらく謹慎処分になっていた。やはりバレー部が気になる東峰をなんとか捕まえて出場させた、町内会OBとの練習試合で、西谷が床まで2センチのボールを上げ、東峰に「もう一度トスを呼んでくれ!!」と叫ぶシーンは感涙モノ。ようやく烏野高校バレー部のメンバー全員が揃い、全国への切符を目指して戦っていくのだった(原作ではここまで3巻)。

 ヒロイン的キャラクターは、無口だが心の強い女子マネージャーの潔子さん、高校3年生。2年の田中龍之介と西谷の憧れの女子で、いつもちょっかいをかけては冷たくあしらわれて、2人はドMな感覚を堪能している。そんなクールな潔子さんだが、原作5巻の伊達工業戦の時に選手たちを送り出した際の名セリフ「がんばれ」は超破壊的! ほとんど話すことがないヒロインだが、存在感は抜群だ。アニメ第2期・原作9巻からは1年生女子マネ・谷地仁花ちゃんも加入するはずなので、そちらにも期待したい。潔子さんとはまったく違うタイプの谷地ちゃんだが、日向と気が合い、かわいらしい。今から言っておくと、原作9巻のエピソード、日向の前向きさと谷地ちゃんの家族愛が光る「村人B」の回では必ず泣くと思う。

 アニメ第1期の終わりでは、ライバルの及川徹率いる青葉城西高校に負けてしまった烏野高校(原作では8巻)。負けたままで終わるはずもなく、アニメ第2期放送は想定の範囲内だろうが、このアニメ1期最終試合の中にも感動シーンが盛りだくさん。特に、影山が入る前までは正セッターだった3年の菅原孝支が見せる、“先輩の背中”は頼もしい。チームのムードメーカー的存在でもあり、この試合で高校でのバレーが終わってしまう菅原の言葉のひとつ一つに重みがある。やがて青葉城西との試合を終え、次の大会を目指す烏野メンバーたち。引退するはずだった3年生たちがそこで選んだ道は、春の高校バレー大会に出場することだった! 受験を控えた澤村、東峰、菅原、潔子さんの4人は、教師から止められても春高までバレー部に残ると決意する。

 バレーボールなんてルールがわからない、という方も安心。バレーに疎い烏野の顧問の先生のためにベンチメンバーが解説を入れてくれるので、バレーの試合の流れを読みながら理解できるようになっている。そして『ハイキュー!!』がただの暑苦しいスポ根マンガに終わらないのは、キャラクターが多いのに、それぞれの個性が際立っているところや、“変人速攻”などのマンガ的なネーミングの技を使いながらも、その技自体は実現可能なリアリティのあるものだったりするところ、そしてコメディ要素が要所に散らばっているところだろう。読んでいて笑えたり泣けたりと、忙しいマンガだ。

 もちろんアニメ第2期で行われるであろう青葉城西との二度目の公式対決も見逃せないが、それまでに日向たちが経験を積み、強くまとまっていくプロセスにも注目したい。原作に忠実だったアニメ、劇場版前編は7月3日公開、後編は9月18日公開、今からストーリーが楽しみな舞台は11月から東京・大阪・宮城で順次公演予定だ。スケジュールを組んでチケットも押さえたい。改めて原作マンガを読んで予習・復習をしたら、“地に落ちた烏”がもう一度飛ぶ姿をしっかり目に焼き付けよう!
(文/桜木尚矢)

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