オタクも無関係ではいられない? “表現の自由”“著作権法の非親告罪化”が心配なら、まずは選挙へ!

2015.04.20

※イメージ画像:クニミツの政(講談社文庫)

 19日に告示された第18回統一地方選の後半戦。近年、“聖地巡礼”や“ご当地フェス”など、全国各地でコンテンツを使った地域振興のブームもあってか、マンガやアニメに造詣の深い候補者も目立つようになってきている。2010年の東京都青少年不健全条例改定問題、昨年の児童ポルノ法改定問題など、コンテンツも政治とは無関係ではいられないことは、徐々に浸透してきている。とはいえ、区市町村レベルの選挙が“表現の自由”の問題と関わるのかといわれれば、ちょっとピンとこないところ。

 しかし“表現の自由”を守るためには、むしろ区市町村レベルの選挙のほうが重要。そんな見方をする人もいる。数々の“表現の自由”をめぐる問題に携わってきた山田太郎参議院議員(日本を元気にする会)も、その一人だ。

「直近の懸念している問題として、『青少年健全育成基本法案』と“著作権法の非親告罪化”の問題があります。特に前者は区市町村、あるいは都道府県のレベルの条例で行われていくものです。そうしたローカルでの規制の強化を訴える動きが、やがて国政に反映されていくことは必然でしょう」

 それと共に、山田議員はマンガ・アニメ・ゲーム愛好者の多くの部分を占める若者たちの声が、まったく現実の政治には反映されていないことへの危機感を語る。

「前回の参議院選挙でも、投票者数のうち30代の割合は12.49%にすぎません。ただでさえ出生率が下がって有権者数における30代以下の割合が減り、若者の意見が反映されなくなっているのに、これでは選挙を意識した議員が若者の意見を反映することはありえません」

 山田議員は「“表現の自由”をめぐる問題は、世代間闘争の面も否めないもの」だと看破する。まずは若者が選挙に行くことで、“表現の自由”や“著作権法の非親告罪化”の問題を地方レベルでも考える気運を醸成することが大事なポイントとなるようだ。その言葉を実現するかのように、山田議員の所属する日本を元気にする会でも、新宿区議選に立候補している伊藤陽平氏(キャッチコピーは「27歳若手社長」)など、立候補者は若手が目立つ。マンガやアニメをはじめとする大衆文化が当たり前の中で育ってきた若い世代の候補者に投票することそのものが、一つの突破口になりそうだ。

 実のところ、地方選で“表現の自由”を旗印に掲げている候補はさすがに見当たらない。

 とはいえ「実は“表現の自由”の問題に興味を持っている」という立候補者は、けっこういるもの。豊島区議選に立候補している中田だいさく氏もその一人。これまで、オタクイベントでの献血応援イベントや企業ブースの立ち上げなど、社会活動とコンテンツビジネスを結びつける活動などを行ってきた中田氏は、「豊島区全部がトキワ荘計画」を掲げる人物。いったい、どんな計画なのかと話を聞いてみると、こんな答えが。

「豊島区自体を大きなトキワ荘と見なして、コンテンツ企業や個人事業主への減税を実施し、コンテンツに関わる企業や人を集積して、オタク経済特区を目指します。増えた税収で、治安維持から子育て支援まで公共サービスを充実させるという計画です」

 単に、最近のマンガ・アニメでの町おこしに乗っかった政策かと思いきや「“表現の自由”は守らなくてはならないし、“著作権法の非親告罪化”は止めなくてはならない」とキッパリ。やはり地方選において“表現の自由”を大々的に掲げるのは難しいものの、「それ(“表現の自由”を守ること)は、当然のこと」(中田氏)として理解しているよう。なにより、こうした主張と同時に「お年寄りの寝たきりを防止するために、スクワット体操を促進し、参加者には地域の特産物を配布する」という政策を掲げているのも面白い。

 中田氏に限らず、地域に一人くらいは必ずマンガ・アニメ文化の保護や振興に耳を傾けてくれる候補者もいるはずだ。まずは絶望せずに選挙に行ってみるといいだろう。
(取材・文/特別取材班)

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