姫乃たまの耳の痛い話 第24回

月30万円で「事務所所属タレントが愛人」のステータスを手に入れた38歳素人童貞の悲哀

 しかし、中絶したあたりから彼女の精神は徐々に不安定になり、地下アイドルとしても思ったように人気が出なかったことも重なって、大学を中退したことへの不満をもらすようになりました。久しぶりにデートをしても、筋の通らない不平不満ばかりを口にします。すっかり愛人感は薄れていましたが、なぜかたびたび妊娠をしてくる彼女に、もう何も言わず、中絶費用を渡すようになっていました。

 複数回に渡る中絶は精神的ダメージが大きかったようで、彼女はますます不安定になっていったといいます。そして、いつもの愚痴の延長で、ふと、愛人契約を結んでいた彼以外の人たちから見捨てられたことを聞かされたのです。

「そんな予感はしていたのですが、僕が何も言わないので、足元を見られていたのかもしれません」

 部外者の私が言うのも申し訳ないのですが、そうだと思います。

 愛人契約の相手は、彼が怪しんでいた通り、自称テレビ関係者と、インディーズアイドルを始めてから知り合ったライブハウスの店長、そしてファン数人でした。あの居心地の悪い空間に自分と同じような立場の人間がいたのかと思うと、さすがに彼も耐えられなくなり、発狂してしまいました。会社が軌道に乗る前にも経験のない、発狂でした。触発された彼女も発狂し、デート場所はおそらくこの世に存在する地獄と化しました。

 以降、彼女は音信不通となり、住居を尋ねると、もうそこには誰も住んでいませんでした。こうして2年も経たないうちに、30万円の愛人は彼の前から姿を消したのです。

 あれから5年が経ち、だいぶ傷も薄れてきた最近のこと。会社のパソコンでTwitterを眺めていると、よく見知った裸体の写真が流れてきました。

「この子は結局、過激なことをしてちやほやされる道しか選べなかったのかって知って、いたたまれなかったですね」

 私の目の前で「このこと、どうしても誰かに話したかったんです」と、素人(地下アイドルを除く)童貞の40代男性は言いました。

★姫乃たまの「耳の痛い話」では、読者の皆さん(地下アイドルの皆様、運営スタッフの方々、アイドルファンの方々)からのお悩みを募集します! 姫乃たまがインタビューをさせていただき、当連載にてご紹介させてください。

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。地下アイドル/ライター。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで開始した地下アイドルを経て、ライター業を開始。アイドルとアダルトを中心に、幅広い分野を手掛ける。以降、地下アイドルとしてのライブ活動を中心に、文章を書きながら、モデル、DJ、司会などを30点くらいでこなす。ゆるく、ながく、推されることを望んでいる。

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中途半端にやってるわけじゃないんすよ!

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