『ナイショの戸黒さん』今度は「ねばねば少女」に萌えろ!! 上級者向けの“萌え”が連続

2015.04.02

 第二次性徴まっただ中の中学生は、人生において最も性欲が昂る時期である。そんな時代にこんな体験をしちゃったら、どうなるのか……?

 詩原ヒロ氏の『ナイショの戸黒さん』第一巻(新潮社)を読むと、そんな心配が募る。中学校入学早々、主人公・東海林信博の隣の席になったのは、いつもマフラーを身につけているミステリアスな少女・戸黒マイ。この娘、ミステリアスというよりは不思議すぎる少女である。マフラーは「さむいから」と、給食の時も外さない。おまけに、給食の時にいきなり吐いてしまうなど、ミステリアスとも虚弱体質とも違う“何か”。おまけに、口の中は青い色をしているし、全身のあちこちからねばねばの液体を出していたりする。

 拾ってもらった消しゴムに、彼女のねばねばの液体が付着しているのに気づいた東海林。我慢できずに、不思議な“それ”を口に含むと、性器を触ってもないのに射精してしまう!

 そんな経験を経て、東海林はより彼女に興味をもってしまうわけだが、戸黒さんにはさらなる謎があった。常に自身の身体に這わせているカタツムリが「本体」だと言い出して、さらに二重人格でもある。

 普段は、舌っ足らずな口調で誘ってるようにしか見えない仕草と言動をしてくる。なにせ第一話で「うばいたいの……マイのしょじょ……」と言ってくるのだから。そんな彼女のもうひとつの人格は乱暴で、「甘い言葉を弄して処女を奪うつもりだな」と、攻撃的なセリフを吐く。その切り替わりのスイッチがどこにあるのか、よくわからないから、やっぱりミステリアスかも。

 ――と、ここまで書いてみて改めて考えたが、この作品、上級者向けの“萌え”の連続である。

 なにしろ普段の人格では、主人公と一緒になったことをうれしがる素直なヒロイン。それが次の瞬間、2人の関係は「友達以上ではない」と戒めるなど、怖い性格に入れ替わってしまうのだ。そんな女の子と過ごす日々がドキドキなのは当然。オマケに「カタツムリが本体」とか、厨二病が悪化しすぎているみたいで、さらに萌える。そんな処女……いや、少女が粘液まみれどころか、自分から粘液を出しちゃうわけである! もはや、歩くローションフェチ以外の何者であるか? しかも、そのねばねば女子は第二次性徴が始まった中学生という設定。これで興奮しない人がいるとは思えない!

 ねばねばは傷を治すことができたりと、便利この上ないミステリアスな戸黒さん。中学生ゆえに、なかなか恋愛に発展しない、もどかしさも萌える傑作である。
(文/ビーラー・ホラ)

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