――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――
■「Pick-up Voice」2015年5月号
「Pick-up Voice」2015年5月号
出版社…音楽専科社
発売日…3月26日(毎月26日発売)
価格……1139円+税
創刊……2007年
「Pick-up Voice」5月号の表紙&巻頭大特集は、1stアルバム「Strawberry JAM」をリリースした小倉唯。アルバム名に合わせ、スイーツの小物をふんだんに用いたグラビアが、彼女の雰囲気とよくマッチしている。
ほかにも、田村ゆかり、宮野真守、茅原実里、高橋直純……など、同誌にはお馴染みのラインナップとなったが、今月号で最も気になったのは広告ページである。
同誌58ページに、6人組女性声優ユニットの広告があったのだが、その名も「声優連盟うたうたい」。聞き慣れないユニットだなぁ……と思い、調べてみると、所属事務所はスペルバウンド──2013年に倒産した声優事務所ラムズの鹿志村聡氏が、新たに起ち上げた事務所である。
「声連たい(せいれんたい)」こと声優連盟うたうたいは、スペルバウンド所属の新人声優3人(津久井彩文、長谷川歩美、宮本琴未)とユニット発足によって研修生から昇格された3人(河田華奈、久保田恵美、高橋イクミ)の声優アイドルユニットだ。
声優ファンからもアイドルファンからも評価されるユニットを目指す、自称「ハイブリットアイドル声優ユニット(※「ハイブリット」は公式の表記ママ)」で、一番のこだわりは“歌”とのこと。
なんと彼女たち、今年3月から毎週土曜日にAKIBAエンタメ☆ステージにて定期ライブを開催しているというから驚きである。ライブではコールのみならず「セリフの掛け合い」があるそうで、通常のアイドルとは異なる、声優ならではの試みも興味深い。
ただし、これってどうなんでしょう? 声優としての目立ったキャリアがないにもかかわらず、「声優ユニット」の肩書きで定期ライブ……。先にやるべきことがあるんじゃないかと思いたくなるが、これもひとつの「声優のムーブメント」と捉えるべきか。
彼女たちの活動は、「人気声優」でもなく「アイドル」でもなく、単なる「声優」という肩書き──キャラクター性──が、ひとつの売りとなっている。ひと昔前だったら「あり得ない」だけに、時代の変遷を感じずにはいられない。
まだ彼女たちのステージパフォーマンスを見ていないので、ユニットとしての魅力に触れることはできない。ただ、4月30日からはニコニコ生放送でラジオ番組「声連たいラジオ(仮)」の配信もスタートするというから気になるところ。
声優ながらも、現状ではアイドル活動が先行しているイメージの「声連たい」だが、果たして彼女たちは何者なのか? とりあえず、ニコ生の初回放送に注目したい。
(文/神楽坂隆)
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