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さくら学院 2014年度〜卒業までの道のり〜

今世紀最大の学園ドラマ『劇場版 さくら学院』が今、スクリーンに放たれる【さくら学院卒業までの道のり】

2015.03.29

■泣くのは“まだ”早い? 雨を止ませて空を晴らす、これぞファンタジー映画の真骨頂!

“トマト君”の誕生は事件だった。それは3月5日、タワーレコードのストリーミング配信メディア『南波一海のアイドル三十六房』がきっかけだった。タワーレコード嶺脇社長から趣味を生かした物真似を無茶ぶりされた水野。そこで謎の生物“トマト君”を披露したのだ。

「卒業まであと24日。時間は待ってくれないんで、後輩に伝えたいことは伝えて頑張りたいと思います」と、低い声でクールに喋る水野に会場は爆笑の渦に。笑いながらも、『LoGiRL』でも初回からガチガチに緊張していた水野から想像できない柔軟さに感動を覚える。しかしこの後、彼(?)のライバル“ほうれん草君”が誕生するとは誰も予想しなかった――

 7日、公開授業イベント「書の授業2」が神奈川・はまぎんホールヴィアマーレで開催された。書家としても活躍する矢野きよ実先生の指導のもと、1限目と2限目に分かれてメンバー10人が思いの丈を大きな筆で書き綴った。

 最初は森ハヤシ先生に果敢に挑んで笑いに走っていたメンバーも、次第に本音がこぼれ始める。白井の“離れていても心は一つ”という文字から卒業を意識してしまい、感傷モードに。メンバーも客席の父兄も目に涙を浮かべそうになるが、菊地が“まだ”という文字で食い止める。そこで突然“ほうれん草君”なる生物を生み出し、トマト君に対抗した。これが「FRIENDS」で歌われる「ライバルと親友と野菜(←NEW!)の顔を持つ2人」の姿なのか……?

「“まだ”泣くなよ。今卒業っぽいこと書いてるけど、“まだ”だから」と、低い声でニコ生の中継カメラ目線で訴えかける菊地。その字は紙が破れんばかりの筆圧で、菊地は今にも泣きそうな気持ちを誤魔化しているようだった。さらに追い討ちをかけるように白井はメンバー全員の名前を書く。さくら学院のメンバーに元・父兄がいることは大きい。一人のファンとしての目線に父兄は共感を抱く。白井は全てのファンの想いを代弁するかのように、メンバーの涙腺を刺激し続けていた。

 そんな中でも磯野莉音はマイペースに書き綴り、“完ぺき”という文字に「ぺきって漢字がわからなかった」と自然体の彼女らしく告げるが、その後の発言にハッとさせられる。「莉音は“完ぺき”はないと思うけど、自分が思う“完ぺき”に近づけるようになりたいなって思うから、ここで書いたらやるしかないじゃないですか」……さすがメンバーから“天才”と呼ばれる磯野。たしかに何ごとも完璧に上手くいくとは限らない。翌日8日、ららぽーと豊洲のシーサイドデッキメインステージに降り注いだ雨もその一つだろう。

 この日はDVDシングル「仰げば尊し〜from さくら学院2014〜」のリリースイベント。朝から不安視された天候によって、残念ながら第一部が雨で中止に。それでも第二部はリハーサルから太陽が顔を覗かせた。ステージに光が差し込み、昨年は雪で中止になった会場で文字通り“雪”辱戦を晴らした。

 だが、雨が止んだ代わりに「マシュマロ色の君と」で音響トラブルに見舞われて音が止む。ライブは“完ぺき”ではなかったが、そこからさくら学院メンバーと父兄が一緒になってしばらくアカペラで合唱する展開が美しく、ららぽーとだけでなくて心にも光が差し込んだ。

 その中で、中3たちを送り出すかのように、「仰げば尊し」の歌の途中で偶然鳩が飛び立つ。屋外特有のミラクルがファンタジー映画のような光景を生み出した。何も自転車のカゴに異星人が乗るわけではないし、何もUFOが攻めてくるわけでも隕石が落ちてくるわけでもないが、そんなカタルシスなどなくても真っ直ぐに夢に向かう彼女たちを見るだけでその映画は成り立つ。VFX要らずのファンタジーに父兄の目はますます潤んでいく。

 四方八方父兄に囲まれているシーサイドデッキ。ミニパティの登場に向かい側に立つ父兄が満面の笑みを浮かべ、最後の「Jump Up〜ちいさな勇気〜」では涙ぐむ。それを見る父兄もまた同じ表情をしている。まるで写し鏡のように互いの表情を見せるが、菊地最愛a.k.a.ほうれん草君の“まだ”という言葉を思い浮かべて我に返らせる。

その通り、“まだ”なのだ。卒業まであと22日、猶予がある。

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