Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第30回

光源氏と頭中将たちの会話の内容は、まるで朝方のホストのよう!? 『あさきゆめみし』が教えてくれた普遍の法則

―今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

150323_rum.jpg(イラスト/村田らむ)

『あさきゆめみし』の連載が始まったのは1979年、掲載誌は、今はなき「mimi」(講談社)だった。

『あさきゆめみし』の原作は、ご存知『源氏物語』。『源氏物語』の初出は1008年だと言われているから、約1000年の時を超えてのマンガ化である。それだけでもう、ロマンティックである。

 作者は大和和紀。『はいからさんが通る』や『ヨコハマ物語』など、大人気作品を持つ少女マンガ家だ。

 僕が初めて『あさきゆめみし』を読んだのは、高校の時だった。古典でもよく登場する『源氏物語』のストーリーを把握するには、とても便利なマンガだったのである。僕が高校生の時には、同世代の多くが読んでいた。

 さすがにそれから20年以上、今の若い子は勉強のために『あさきゆめみし』を読む文化はなくなったかな? と思ったが、青春書道マンガ『とめはねっ! 鈴里高校書道部』(小学館)を読んでいたら、ヒロインが過去に『あさきゆめみし』を読んでいたというエピソードが出てきた。原典同様、「長く読み継がれているのだな」と思ったら、少しうれしくなった。

 ただ、僕が『あさきゆめみし』を読んだ高校生の頃には、この作品はまだ、完結していなかった。連載は、1993年まで続いたのである。そのため、最終巻まで読んだのは、実は今回が初めてだった。

 読み始めてすぐ、僕は高校時代のことを思い出した。当時は少女マンガをあまり読んでいなかったので、大和和紀の描く、極めて丁寧なタッチに衝撃を受けた。そして、それ以上に、源氏物語のストーリーに壊滅的な衝撃を受けていた。

 僕が高校生の頃は、絶好調にモテない時期であった。いや、別に大学に行っても、フリーランスになっても別にモテやしなかったのだが、高校時代とは、「モテないことが痛い」時期である。学校や塾にいるだけのモテない高校生にとって、『あさきゆめみし』はなかなか傷つくマンガだったのだ。

『あさきゆめみし』は、基本的にとても忠実に『源氏物語』の54帖をマンガ化している。もちろん、視覚化するにあたって現代人にわかりやすいよう表現されている部分はあるが、ストーリーラインはほぼそのままである。簡単に言えば、桐壺帝の第二皇子、光り輝くように美しい男性、光源氏がさまざまな恋をしていく話だ。

 顔が素晴らしくかっこよくて、育ちもメチャクチャいい男性がモテまくる……というのは、いかにも女性が描く物語である。1000年後に少女マンガ化されることを想定して作ったんじゃないか、と思えるほどだ。いや、結構濡れ場が多いから、レディースコミックかもしれない。

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