ガンダム、ボトムズ…メカニックデザイナー・大河原邦男 技術立国日本の想像力を支えた、偉大なる足跡をたどる展覧会が開催!

1503_okawara1.jpg『メカニックデザイナー 大河原邦男展』開催発表会にて。
大河原邦男氏(写真右)と、監修を務める五十嵐浩司氏(写真左)。

 70年代から現在に至るまで、数えきれないほど多くのヒーローロボットをデザインしてきた、日本を代表するメカニックデザイナー・大河原邦男。

『ガッチャマン』を皮切りに、『タイムボカン』シリーズ、『機動戦士ガンダム』、『装甲騎兵ボトムズ』、『勇者』シリーズなどなど、SFマインド溢れるマシンからコミカルなロボット、ヒロイックなスーパーロボットといった具合に、その仕事ぶりは枚挙にいとまがない。誤解を恐れずにいうならば、日本人のロボット観は大河原邦男によって規定されたと言ってもいいだろう。

 今や、その仕事はアニメ、ゲームなどサブカルチャーの枠を飛び越え、地方自治体や工業メーカーとのコラボレーションまで広がりをみせている。そんな、40年以上にわたり第一線で活躍し続ける大河原邦男がこれまで描いたイラストや設定資料などを一堂に集め、その歴史と足跡をたどる展覧会「メカニックデザイナー大河原邦男展」が、今年8月8日から9月27日にかけて東京・上野の森美術館で開催されるということで、その記者発表会が3月17日、東京国際フォーラムにて行われた。

 発表会に登壇したのは、大河原邦男氏と当展覧会を監修したアニメ研究家・五十嵐浩司氏。まず大河原氏は、いかにしてメカニックデザイナーという職に至ったのかについて語り始めた。東京造形大学の一期生だった大河原は、工業デザインへの憧れを胸に秘めつつ、服飾デザインの世界に足を踏み入れたそうだ。しかし、結婚を機にアニメ制作会社・タツノコプロの求人に応募。見事採用され、アニメの世界に身を投じることになったという。そこからなんだかんだとメカニックデザイナーとしてのデビュー。フリーランスへの転身など、さまざまな転機を経て、近年は自身の地元・稲城市のゆるキャラ「稲城なしのすけ」や「古谷機械製作所次世代消防車コンセプトイラスト」など、アニメ、ゲームなどに捉われず、ますます精力的に活躍している。この動きについては「メカデザインの仕事を職業として定着させようと思い、60歳までがむしゃらに仕事をしてきた」「60歳からのほうが忙しい」と、まさに「人に人生あり」と言うようなエピソードを、独特の深みある口調でコメントした。

1503_okawara2.jpg大河原邦男/展覧会ポスター「機動戦士ガンダム」/©創通・サンライズ

 今回の展覧会では、そんな彼のキャリアを一望できる展示が行われるという。監修を務めた五十嵐浩司氏は、時系列に沿って全4章に大河原のキャリアを分類して解説を行った。

 まず70年代、キャリア初期のタツノコ時代が中心の第1章。ガンダムをはじめ、メカニックデザイナーとしてもっとも多くの作品に携わった80年代を第2章。幅広い年齢層を対象に、様座なキャラクターを生み出した90年代を第3章。そして、先述の通り地方自治体や工業メーカーとのコラボレーションを通じて、世代を超えて愛されるデザインを世に浸透させている00年代から現在までを第4章と定義。代表的なキャラクターのイラストを交えつつ、今回の展覧会でもこの4分類に基づいた展示を行うことが明かされた。

 また、今回の展覧会の見どころについて、五十嵐氏は「歴史」と語る。40年以上にわたって活躍してきた大河原氏の活躍を、メジャー、マイナー問わずまとめ、さらにこれまでマスメディアには公開されなかった秘蔵の作品も展示されるとのこと。

 加えて、会場には大河原氏がデザインを手掛ける小型モビリティ「エクスマキナ」の、スペシャルペイントバージョンを展示。『機動戦士ガンダム』に出てくるスペースコロニー内で使用される電気自動車「エレカ」をイメージしたというペイントが施されたエクスマキナも、展覧会に登場するとのことなので、こちらも注目だ。

 そのほか、展覧会では会場限定ガンプラ(『ガンダム』のプラモデル)、7月18日から9月27日に開催される「機動戦士ガンダム展」や、お台場に常設されている「ガンダムフロント東京」との相互割引サービスや抽選でのプレゼント企画。展覧会自体も11月7日の岩手県・盛岡での開催を皮切りに2016年以降も日本各地を順次巡回していくことも発表された。

 現在、第一線で活躍する科学者やクリエイターの多くが、「ガンダム」をはじめとする大河原メカに影響を受けたことを公言する機会が増えている。そんな日本の技術発展や想像力に多大な影響を与えた大河原邦男ワークスを、ぜひその目で確かめてほしい。
(取材・文/有田俊[シティ・コネクション])

■メカニックデザイナー 大河原邦男展
会期:2015年8月8日(土)~ 9月27日(日)
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
開館時間:午前10時~午後5時(入館は閉館の30 分前まで)
http://www.okawara-ten.com/

美術手帖 2015年 02月号

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ロボットデザインブームが来てる感。

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