120万円を寄付する謎の“あしながおじさん”も…YouTuberに続け!“ゲーム実況”が職業になる日は近い!?

2015.03.22

 ゲーム好き以外にはなかなかその面白さがわからない世界、それがネット上で配信されている「ゲーム実況」ではないだろうか。普通に考えて、熱心なゲームファンであれば自分のプレイ時間を確保するのが第一で、他人のゲームを観戦している暇はないのでは? と多くは思うところだろう。しかし2011年に発足した、ゲーム実況に特化した配信サービスの「Twitch」は、そんな予想に反しアメリカのインターネット通信量で「Facebook」や「Hulu」「Amazon」に勝るとも劣らない地位を占めている。これは当然、ゲーム実況を日常的に視聴している多くのファンが存在するということにほかならない。このゲーム実況のメジャーコンテンツ化の流れは、日本にも起こるのだろうか――。

■日本でもゲーム実況の“ライブ化”に拍車がかかる

 もちろん日本でもゲーム実況はファンが多いインターネットコンテンツのひとつだ。しかし「Twitch」のようなライブ配信よりも、今のところは「ニコニコ動画」や「YouTube」へ動画を投稿する“実況プレイ動画”がメインだ。

「ニコ生」でのライブ配信も徐々に増えてきている昨今だが、このタイミングで日本でもゲーム実況の“ライブ化”に拍車をかけようというイベントが京都で予定されている。今月29日に開催される「DIEC 京都ゲーム実況フェス」だ。

 意外や、このイベントで実況されるゲームは定評のある有名タイトルではなく、国内外で人気のインディータイトルということだ。中でも地元・京都のインディースデベロッパー「開発室Pixel」の最新作『ケロブラスター』に注目が集まっているという。イベントの模様は「ニコニコ生放送」で配信されるが、当日近場にいるのなら会場(京都リサーチパーク)を訪れて観戦してみてもよいのではないだろうか。予定されている5つの実況の間の休憩時間中は、試遊台エリアで当日行なわれるゲームを体験できるということで訪れる価値はじゅうぶんにありそうだ。

■実況ゲーマーに巨額の寄付をする“アムハイ氏”とは?

 いったん話を「Twitch」に戻そう。ここでゲーム実況を日々行なっている“実況ゲーマー”は「Twitch」側と広告収入を折半している。当然、多くの視聴者を集めたゲーマーは広告収入も増えるのだ。

 これに加えて実況ゲーマーは、中継内容に感銘を受けた視聴者からの寄付金をオンラインで受け取ることができる。このスキームにより、人気の実況ゲーマーの中には、中継による広告の売上と視聴者からの寄付だけで生計を成り立たせている“プロゲーマー”も存在しているのだ。

 視聴者からの寄付はほとんどの場合が5ドル(約600円)以下というささやかな寸志なのだが、ときには巨額の寄付が寄せられることもあるという。

 ここ数年、実況ゲーマーたちに巨額の寄付金を送金することで有名なのがアムハイ(Amhai)氏だ。噂では中東の石油王だともいわれているが、彼の正体は今もまったく謎である。ある実況ゲーマーは合計で5万ドル(約600万円)を受け取ったといわれ、ほかにも3万ドル(約360万円)、2万2000ドル(約266万円)受け取ったというゲーマーがいることが判明している。

 アムハイ氏は、目をつけた実況ゲーマーに最初は1000ドル(12万円)程度の寄付をして様子を伺うといわれている。これでゲーマーが俄然やる気になって実況に熱を入れ、期待通りのパフォーマンスを見せれば徐々に寄付金を増やしていき、一度に1万ドル(約120万円)の寄付をすることもあるということだ。いまだ正体は不明なアムハイ氏だが、ここまで噂が広まった今、実況ゲーマーの面々にとって彼の存在は大きなインセンティブになっていそうである。

 ひるがえって、今年も盛況に幕を閉じすっかり恒例行事となったniconico主催の“ゲーム大会とゲーム実況の祭典”「闘会議」に続き、今月末に行なわれる「京都ゲーム実況フェス」と、にわかに活況を呈しはじめてきた国内のゲーム実況をめぐる動きは、はたしてここで一気に加速してくるのかどうか……。予断を許さぬ分野だけに今後も注目していきたい。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・The Daily Dot
http://www.dailydot.com/esports/twitch-amhai-donor-warcraft/

・DIEC 京都ゲーム実況フェス
http://kyoto-game.com/
ほか

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