安田理央の「特殊古書店ダリオ堂」 第13回

身をよじる麿赤兒、吠える麿赤兒、睨む麿赤兒……ポーズ集『HYPER ANGLE』の怪人編が想像以上の濃さだった!

――ようこそ、「特殊古書店ダリオ堂」へ。当店では、ちょっと変わった本たちを皆様にご紹介していきましょう。

150307_rio01.jpg『HYPER ANGLE PHANTOM』(創美社/2011年)

 神保町の特殊古書店「マニタ書房」店主でライターのとみさわ昭仁、特殊翻訳家で映画評論家の柳下毅一郎という特殊な友人2人と連れ立って、年に何回か「せんべろ古本ツアー」というのをやっています。要するに、3人で飲み屋と古本屋をハシゴしまくるんですね。

 今回は、武蔵小山の素晴らしい立ち飲み屋「晩杯屋」で集合して、西小山、洗足、大岡山、旗の台、長原、蓮沼、蒲田と、電車と徒歩で古本屋11軒、飲食店4軒を周りました。今回は行ったけど閉店していたり、通販専門になっていたりで空振りに終わった店も多くて、ちょっと不完全燃焼なツアーになってしまったんですが、その中でも印象に残ったのが洗足にあった某店です。

150307_rio02.JPGなかなか入りにくい入り口でした。

 まず店頭を覆うように自動販売機がずらりと並んでいて、そこに古本屋があることもわかりづらいんですが、さらに入り口のガラス戸には、「立ち読みダメ 断ります」「図書館ではないので長居しないでください」「大きい袋 大きいバック持参の方、断る」なんて張り紙がベタベタ。そんな、非常に入りにくい店だったんですが、店主さんは意外にいい人でした(笑)。

 さて、僕はこの店では伝説の美少女アニメ『くりぃむレモン』のメモリアルムック『亜美・それから 思い出のすべて』や、日本初の純粋脚フェチ写真集(モデルの顔が一切写っていない)『レッグビジュアリズム』などの80年代、90年代の掘り出し物を見つけてホクホクしていたのですが、中でも一番インパクトがあったのが、この『HYPER ANGLE PHANTOM』です。

 2011年発行と、この連載で取り上げるには新しすぎるんですが、とにかく強烈なので、ぜひ紹介したいと思ったのですよ。

 ポーズ写真集というのは、最近密かに盛り上がっているジャンルなんですね。本来は絵を描く人の参考用なわけですが、つぼみちゃんとか上原亜衣ちゃんみたいな人気のAV女優を起用して、単純にヌード写真集としても楽しめる作りになっていたりします。超人気熟女AV女優の風間ゆみさんや翔田千里さんを起用した『グラマー裸婦ポーズBOOK』なんて、実にムチムチと生々しくてよかったですね。

 この『HYPER ANGLE』は、そういうよこしまな意図は少ない、真面目なポーズ写真集のようで、真上からや真下からといった日常では見ることのない珍しいアングルやポーズを中心に収録したシリーズです。マンガやイラストを描く人向きなんですね。

 女性編、男性編、男性&女性編などが出ているわけですが、本作は「怪人編」。つまり怪人、敵役、化物を描くためのポーズ集なんです。そして、そのモデルはなんと、あの麿赤兒さん! 日本を代表するアングラ舞踏家ですよ。もう表紙からその強烈な個性がビンビン伝わってきますね。

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