Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第29回

SF中のSF作品! 冨樫義博の才能を再確認させられる『レベルE』を見よ

2015.03.08

―今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

(イラスト/村田らむ)

『レベルE』は、1995年から週刊少年ジャンプに掲載されたマンガだ。

 冨樫義博の作品としては、大ヒット作品となった『幽☆遊☆白書』に次ぐ人気作品である。「週刊少年ジャンプ」なのに月1掲載という、非常に珍しい形で連載された作品だった。

 これは個人的な見解なのだが、『幽☆遊☆白書』は回を重ねるうちにドンドン面白くなる作品で、『仙水編』『魔界編』にいたった頃には、猛烈に面白くなった。『幽☆遊☆白書』は人気がなくなって終わったワケではなく、まだまだ人気絶頂だった時に連載が終わった作品だ。

 そんな『レベルE』は高い期待をされながら始まり、期待を裏切ることなく、とても評価の高い作品だった。連載開始から15年以上経った2011年には、テレビアニメにもなった。

『レベルE』は、宇宙人をテーマにしたSF作品である。宇宙人が出てくる作品は、「ジャンプ」に限っても『キン肉マン』『ドラゴンボール』『銀魂』といろいろある。ただ『レベルE』は、とても“キチンとSFしている”作品だ。

 ドグラ星からやってきたドグラ星第1王子、バカ=キ=エル・ドグラことバカ王子が巻き起こす、騒動をオムニバス形式で描いた作品である。オムニバス形式なので、各エピソードごとに登場人物がかぶったり、ストーリーに関連性があるが、基本的には1作1作が独立した話だ。

 章ごとにネタバレにならない程度に解説すると、

●高校で一人暮らしをするために引っ越してきた筒井雪隆の部屋に、記憶を失った宇宙人を名乗る男性がいた。追いだそうとするが、結局同棲をするハメになる。そして、研究機関の人たち、宇宙人の護衛の者や、好戦的な宇宙人などがからみあい、混迷を深めていくという話。

●林間学校の最中に、同じ学校の何者かが同級生をまるごとを食べる様子を見てしまった4人組が、自衛のために犯人(犯宇宙人)を探していく話。

●一章で地球に来た宇宙人、バカ王子が、5人組の小学生を無理やり変身ヒーローに改造してしまうという話。

●メスだけで構成されたマクバク族が地球にやってきていることが判明する。彼女たちは、他星人と生殖して子孫を作るが、交配の対象になった種は遠からず絶滅してしまう。バカ王子の護衛たちが、恋路を邪魔するために奮闘する話。

●あと一戦勝てば甲子園というところまで来た筒井雪隆。彼の所属する野球チームが乗車するバスが突然姿を消して、異様な世界に飛ばされてしまう話。

●小学生変身ヒーローの続きの話。絶滅寸前のマーメイドとの交流が描かれる。

●バカ王子が、はげしく結婚を求める許嫁から逃げようとする話。

●バカ王子が、とある星で誘拐テロ集団に攫われてしまう話。

の8つの章で構成されている。

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