『ガンダム Gのレコンギスタ』第22話 勢いだけじゃない! すべての点が線でつながり、物語は佳境へ

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第22話「地球圏再会」

【今週の極私的見どころ!】
  金星行きの目的であった「レイハントン家とヘルメス財団の関係」を聞こうと思っていたら、ものごとはそんなシンプルなものじゃなく、人類全体の種としての問題にぶち当たってしまった……!

 そんな感じの伏線回収と、長旅を終えた子供の成長。女の戦いの集結など、これまで積み重ねてきたエピソードをうまく消化していった感のある今回。見終わった後、きっと誰もが「今まで見てきて良かった!」と思うことでしょう。まあ、相変わらず読み解きにかなり集中力が要されるのですが……。

【今週のおすすめ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 前回、結果的に英雄的戦死を遂げたキア・ムベッキ(CV:中井和哉)の遺志を継いだ(元々は自分でメディスペシーに穴を開けたわけで……)ジット・ラボとテン・ポリスの一部は、フルムーン・シップと共に地球圏へのレコンギスタ(帰還)作戦を開始。満艦飾で追悼するシーンではシンフォニックなBGMで盛り上げますが、ことの経緯を知っていると「なんだかなあ」という感じがぬぐえません。

 一方、メガファウナではジット・ラボから奪取したMA・ジーラッハをノレド(CV:寿美菜子)とマニィ(CV:高垣彩陽)がテスト飛行。前回のG-ルシファ―から引き続き、二人も戦闘に参加する気満々です。特にノレドは自分の立ち位置について模索していましたが、まさかこのままMSパイロットになるつもりなんでしょうか。マニィの“カテジナ化”【注:主人公と敵対し悲劇を迎えるようになる、といった意】の件も含めて、なんだかこの二人が『機動戦士Zガンダム』のエマとレコアみたく、後に女のバトルを展開したりして……と、そこはかとない不安が頭をよぎります。

 さて、その頃アイーダ(CV:嶋村侑)はラ・グー総裁(CV:子安武人)と会談。ここではかねてよりの目的であった「レイハントン家とヘルメス財団」の関係について明かされます。

 が! いつも以上に濃度の高い“富野言語”での会話であるため、多くの視聴者がこのシーンの重要度を見落としていた様子。実況や放送後のSNSなどでの発言を見ても、このシーンをラ・グー脱ぎ脱ぎシーンくらいとしか認識していない視聴者が少なくなかったので、ここで整理してみましょう。

 ビーナス・グロゥブは、現時点での人類の最先端の技術を持つ集団である。その技術をもってすれば外宇宙へと移民することも可能である。しかし、ジット団を見ればわかるように、技術だけが進歩したとしても人の本質そのものはそうたやすくは変革しないのだ。それを「人類の劣化」と理解したクンパ・ルシータ(CV:広瀬彰勇)ことピアニ・カルータは、地球に残る人類に弱肉強食の戦いをさせて強化する必要があると宣言した――というようなことが、ラ・グー総裁の口から明かされました。その後は、これまでの物語で示された通り。クンパは月へ渡り、レイハントン家とドレット家の争いに介入。ベルリ(CV:石井マーク)とアイーダを地球に亡命させ、その後、自身はキャピタル・アーミィの設立にかかわったというわけです。

 つまり、『Gのレコンギスタ』の物語はクンパ大佐、もといピアニ・カルータという、人類に絶望した男の引き起こした騒乱の物語だったのです。その後、ラ・グー総裁はクンパの絶望を裏付けるように、ボディ・スーツというサポート器具でなんとか自立できているミイラのような自身の体を晒します。技術の進歩と利便性を追求し続けた果てが、この姿……。そこにアイーダもショックを受けるばかり。レイハントン家が技術やエネルギーを制限したことの理由がそこにありました。

 あれ? 元々の目的だったヘルメス財団の話が一個も出てきませんでしたが、財団もビーナス・グロゥブの組織の一つと考えるとすべての点が線でつながった、と言えなくもありません。これにてミッションコンプリート! しかし、こうやって解体すると『Gレコ』の物語が何を言おうとしているかわかるのですが、かなり説明不足のような気もします。読み取り切れなかった視聴者がいるのも仕方がない……と言ったところでしょうか。ただ、これだけは言っておきます。『Gレコ』は勢いだけじゃないからな!

 その後、メガファウナ一行はクレッセント・シップと共に地球圏へと帰還。往路と同じく、音楽とカットのつなぎで時間経過を演出します。船内ではジット団から接収したMSの整備が行われています……が、ここで要注意人物のロルッカ(CV:谷昌樹)が「アメリア軍に提供するのはどうか」と怪しげな提案を。いや~な予感がします。G-セルフもパーフェクトバックパックを装備。地球圏での決戦に向けて、着々と準備が進められている感じです。ちなみにメカデザインを担当した安田朗氏によると、パーフェクトバックパックは「全部載せ」らしいのですが、果たして……。

 また、日常シーンも短いながらも生き生きと描かれています。特に体重を聞いて、うんざりするノレドの表情がかわいくてたまりませんな! 日常系富野アニメってのも、一度見てみたいもんです。

 舞台は代わって地球圏。久々の故郷ですが、相変わらず緊張状態は続いているみたいです。メガファウナMSも一斉に出撃、各陣営の偵察に動き始めます。BGMも相まって、テンションがじわじわと上がってきます。こういうシーンを見ると、やっぱり『ガンダム』だな~って感じがしますね。

 そこにキャピタル・アーミィが迎撃に出てきますが、パーフェクトバックパック強すぎじゃないですかね。G-セルフがフォトン・トルピードという光球を放つと、接触した敵機を空間ごとえぐり取ってしまいます。ノリは『蒼穹のファフナー』の敵・フェストゥムです。さすがにこの性能に視聴者も「えええええええ」「これアカン奴や」「強すぎだろwww」と驚きを隠せない様子。中には「月光蝶?」と∀ガンダムとの関連にも期待する人もいたり。ここまで強いガンダムってこれまでにもなかった気がします。

 キャピタル・アーミィを退けたベルリたちは、なんとかキャピタルタワーのリング・ワンジラへと侵入。義母・ウィルミット(CV:田中敦子)と久方ぶりの再会をします。ここも今回の見どころです。

 ウィルミットはベルリを優しく抱きしめますが、同時に「タブー破りはさせない」と言い放ちます。それを聞いたベルリは、母を受け入れることができなくなってしまうのです。さまざまな世界を見てきたベルリは、スコード教の教義に縛られる母とはもう価値観を共有することができなくなっていたのです。

 その一方で、脱出するベルリたちは自分たちの親について冷静な批評を交わし合います。彼らは金星までの冒険を経て、自分たちの親を一人の人間として見られるまでに成長したのです。混乱する大人たちと、冷静に事態を見守る子供達。そこに『Gレコ』の物語が言わんとしていることが集約されているようにも思えます。

 また、ドレット艦隊は法皇を捕えたものの、マスク(CV:佐藤拓也)がカシーバ・ミコシを占拠したことで救出された……というとんでもない事件が起きていたことも、クンパ大佐の口から明かされます(たぶん、このあたりのエピソードは4クールあったらしっかりと描かれていたんだろうなあ……)。事態は、そもそもの火付け役でもあるクンパの思惑をはるかに超えた状況に突入しつつある模様です。

 結局、メガファウナはアメリア艦隊の旗艦・ラトルパイソンに合流することになりました。

 また、マニィはジーラッハのテスト飛行に出たと見せかけて、メガファウナからキャピタル・アーミィに合流。マスクの元へと駆けつけます。一度は敵機と認識されるものの、マスクことルインだけは、光信号のメッセージからマニィが操縦していると判断。彼女の受け入れを決断します。無事に再会した二人は、人目もはばからずがっちりハグ! そりゃバララ(CV:中原麻衣)も急に冷たい態度を取りますわな。また、ここでのバララのセリフがたまりませんな。「あっ、こいつマスクのこと諦めたな」ってわかる感じですから。これは演じる中原麻衣の演技力の賜物でしょう。ここまでの物語の積み重ねと、作画、演技のすべてが見事に結集した名場面と言えます。リア充爆発しろ!

 最終決戦を目前に控えてタメの回と思われた今回ですが、今まで張ってきた伏線を一気に回収し、なおかつ作品のテーマに接近する人間ドラマをたっぷり盛り込むという非常に見応えのあるエピソードでした。次回は久々にドレット艦隊の面々が登場する模様ですが、何よりもサブタイトル「ニュータイプの音」というのが気になります。あの「チリチリーン!」というニュータイプ音が久々にテレビから流れるのでしょうか? 次回予告のセリフは「バッテリー・チャージ!」でしたが、こちらも気合を入れてテレビの前で正座をして見たいと思います!
(文/受動 明日)

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