『魔法少女オーバーエイジ』魔法少女ものライトノベル! メディアミックス展開を見せる本作が、府中市を盛り上げる!?

2015.02.25

『魔法少女オーバーエイジ「私たち、もう変身したくありません」』(ポニーキャニオン)は、昨年のニコニコ超会議3で発表されたボーカロイド楽曲集『魔法少女OverAge 仮想:主題歌集』に始まる作品です。その後、昨年のコミックマーケット86では花澤香菜さん、柿原徹也さん、洲崎綾さんといった人気声優が参加する『魔法少女OverAge 歌唱:主題歌集』が頒布されました。

 いやいや、このメンバーで同人って(笑)と、コミックマーケットにおける同人サークルの触れてはならない暗黙の了解を新たに知った気もしますが、このたびいよいよ商業展開も始まりました。それが今回紹介するライトノベルと、同じく発売中のCD『魔法少女オーバーエイジ-kawaii songs collection-』です。今後、どのようにメディアミックス展開をしていくのかはわかりませんが、この作品の仕掛け人である砂守岳央氏(ニコニコ動画界隈では「沙P」と呼ばれてます)の執筆するこのラノベは、かなり引き込まれる内容です。

 まず、この作品の舞台は、東京都府中市のようです。カバーにある作者・砂守岳央さんの前書きにもそう書かれています。ただし、このように書かれているのです。

※※以下、引用※※

この作品は東京都府中市を舞台にしています。
渡航費が出なかったので、府中には行ったことがありませんが僕もいち府中ファンとして府中を盛り上げるべくこの作品を書きました。
府中はとても素晴らしい街です。

※※引用、終わり※※

 この前書きにとても共感しました。なぜなら、筆者も長らく東京に暮らしているにもかかわらず、府中に行ったことがありません。何年か前に国領駅で降りたなぁ……と思いましたが、あそこは府中市じゃなくて調布市だと、今、確認して知りました。しかし、作者が行ったこともないのに「とても素晴らしい街」というくらいなので、読み終わった時には聖地巡礼したくなる街のはず……。そう思って読み始めました。

 物語は、魔法少女が実際に存在する世界。なので、テレビで放送している「魔法少女もの」番組はドキュメンタリーです。どれくらい魔法がメジャーな世界か? といえば、作品中の記述では「魔法が使える女性の割合=甲子園に出場する男性の割合」「まあ、ちょっとした隠し芸、といった扱いだろうか。忘年会などでは活躍するが、しばらくすれば飽きられる、というぐらいの」だそうです。魔法はかなりメジャーなようですが、人々に害をなす「害獣(ガイスト)」を退治するために実戦で通用する魔法が使えるのは数十万人に一人くらい。なので、女子は小学校高学年で「魔力検査(オーディション)」を受けて訓練校に入り、「司令官(プロデューサー)」の指示の下で戦うのだそうです。

 ヒロインの桐野さくらは、そうして選抜された魔法少女……プロジェクト名「ルミナス☆クライシス」の一員。だいたい中学生を過ぎるころから魔力は減退するそうですが、さくらたちはまったく減退しません。ところが、「普通の女の子に戻りたい」とばかりに、さくらたちは一般人に混じって高校生活を送ることに。でも、入学早々、クラスメイト・伊藤ましろの前に突如出現した害獣を退治してしまったのです!

 要するに、この物語は「いつまでも魔法少女なんてやってられない!」と引退を決意したヒロインたちが、やっぱり元の世界に戻っちゃう物語。80年代にアイドル歌謡を席巻していたポニーキャニオンからこんな作品が刊行されるなんて、なんとも意味深いです。魔法がメジャーな世界なのに、魔法少女であることが周囲に知られてはいけない……という設定に一瞬「?」がともりましたが、きっと、魔法少女が妙齢の痛いコスプレにならないようにする予防線に違いない! と、勝手に妄想を膨らませて読んでいます。

 今回は、物語に登場する「ルミナス☆クライシス」のメンバー5人がようやく揃ったところまで。この先、どんな展開になっていくのかも気になります。

 なお、府中が素晴らしい街かどうかは……結局、読んでもわかりませんでした。
(文/大居候)

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