ロボアニメ界のムッシュに直撃インタビュー!【後編】

月に2000枚描いたことも……鍛えられてきたベテランアニメーター・吉田徹が見る現在のアニメ業界

 
――デジタル化は、アニメ業界も助けてるんですね。

吉田 実際、絵を描く時でも、携帯で「ちょっと動いてみて」って人を動かして、写真撮って、すぐに仕事ができる。だから、資料なんかなくてもすぐに描けるんだよ。
 
――僕ら素人には、絵は「真似をしてはいけない!」みたいな思いが少しあるので……資料を見ること自体、いいのかな? という思いもありますが。

吉田 「モノマネはよくない」なんていうけど、モノマネができないと何もできないんだよ。しかも、絵っていうのは、一旦自分のフィルターを通るから、絶対モノマネにはならない。さらに、それを動きにするわけで、ちゃんとオリジナルになるよ。僕らはデザイナーじゃないから、オリジナリティよりも、まずは正しく描かなければいけない。だから、見たままを描くのが当然一番いいんですよ。「メガネを描け」なんて言われても、想像で描くと所詮想像。だから、「鼻の部分の部品のビスの入ってる角度」なんてものは、見ないと描けないでしょ? 想像では、細かいところは見えないからね。
 
――確かに、真似しなければそもそも描けないですよね。

吉田 そう、だから細かいところを描くのは絶対に見ないと描けない。だって、レオナルド・ダ・ヴィンチですら、解剖して、解剖した絵とかを描いてるんだから。
 
――何も見ずに描いてるっていうのは、結局「見てないことすらわかってない」ってことなんですね。

吉田 そう。けど、見て描いてるうちに、見なくても描けるようにはなるから。
 
――そういった経験がないと、オリジナルではなくただの間違いになりますもんね。しかし、ハードなアニメの業界。いつまでこの仕事はやってると思いますか?

吉田 うちの社長も70越えてるしね。うーん、死ぬまでやってるのかも。気がついたら今だし、定年もないからね。
(構成/B・カシワギ)
 
【註1】金田伊功さん
『サイボーグ009』のオープニングアニメをはじめとし、ロボットアニメ界に「金田パース」と呼ばれるスタイルなどを生み出した名アニメーター。09年に逝去。

●吉田徹(よしだ・とおる)
作画監督、演出、レイアウト、絵コンテと幅広くこなすアニメーター。アニメアール第1スタジオ所属。アミューズメントメディア総合学院大阪校講師。

★関連作品
メカ作監:『機動戦士ガンダムSEED』『蒼き流星SPTレイズナー』『機甲界ガリアン』『勇者王ガオガイガー』『ガサラキ』『装甲騎兵ボトムズザ・ラストレッドショルダー』『機動戦士ガンダム第08MS小隊』『機動戦士ガンダム0083』『ジオンの残光』、ほか多数

●B・カシワギ
大阪のライブシアター「なんば白鯨」、「なんば紅鶴」店長。科学ポッドキャスト『青春あるでひど』をはじめ、ポッドキャスト連盟「もっこもこパレード」主宰。その他、東京、大阪で「大阪おもしろマップ」「今昔科学語」「新漫画党編集会議」「鼻フック研究室」「たのしいたべもの」などのイベントを主宰、出演。2014年末より魔女術者としての活動も行っている。

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