クラウドファンディングはゲーム界に光明を示すのか? ゲームとクラウドファンディングを見る

2015.02.14

『NightCry』のキャンペーンサイト(CAMPFIRE内)より。

クラウドファンディングはゲーム界に光明を示すのだろうか――

 最近よく耳にする“クラウドファンディング”。クラウドファンディングとは、ネット上で資金を募り、目標金額を達成するとその資金が手に入るというシステムで、アメリカの「KickStarter」や日本の「CAMPFIRE」といったサイトが知られている。今、さまざまなジャンルにおいてクラウドファンディングが実施されているが、その中で盛んなジャンルのひとつが“ゲーム”だ。今回はその現状を概観する。

 2月25日に発売される『ゲームの今 ゲーム業界を見通す20のキーワード』(SBクリエイティブ)という書籍のキーワードの一つにもクラウドファンディングが見られるように、ゲームとクラウドファンディングの関係は今や切っても切れないものになっている。ゲーム業界では主にゲーム製作の資金調達に使われることが多く、少し前に話題になったのが、元カプコンのゲームクリエイター・稲船敬二氏開発の『Mighty No.9』。2013年9月、稲船氏が代表取締役を務める会社・コンセプトが日本国内のゲーム会社として初めて「KickStarter」でクラウドファンディングを実施し、4億円もの資金を集めたことが記憶に新しい。そのころから、ゲーム界でクラウドファンディングが注目されるようになった。ほかにも、セガネットワークスとフジテレビが運営するゲーム特化型クラウドファンディング「Crowdrive」が昨年9月にスタートするといった動きもあった。

 その中で、最近クラウドファンディングを開始し注目を集めているのがヌードメーカーの新作ホラーゲーム『NightCry』。本作は、伝説的なホラーゲーム『クロックタワー』の生みの親・河野一二三氏が製作を手がける話題作だ。2月11日放送のクラウドファンディングに迫った番組『NONFIX』(フジテレビ系)に出演した河野氏。番組で河野氏は『クロックタワー』以降、目立ったホラーゲームを製作しなかったことについて「ホラーゲームに出資してくれるところがなかった」と語る。続いて、現況できる資金集めとしてはこれ以上の方法はないことからクラウドファンディングに踏み切ったとしていた。現在『NightCry』は、「KickStarter」で14万565ドル(目標金額は30万ドル)、「CAMPFIRE」で188万6000円(目標金額300万円)が集まっている状況(13日現在)。残り期間もあとわずかというところで、どのような結果になるか注目が集まる。

 河野氏が語るように、クラウドファンディングは資金を集める方法としては画期的なのかもしれない。しかし、前出の『ゲームの今 ゲーム業界を見通す20のキーワード』でクラウドファンディングについて説明するブロガーで投資家の山本一郎氏が、自身の連載(外部参照)で語るように、日米ともに一時期より資金が集まらなくなっているという声もある。

 現状、「KickStarter」などを見ると、期間終了間近にもかかわらず目標資金の半分も集まっていないゲーム企画が散見される状態だ。クラウドファンディングがゲーム界を明るくするのか、『NightCry』の結果含め、今後も注目していきたい。

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