コンセプトは“盲目のエヴァ”! 荒牧伸志監督が描く『エヴァンゲリオン』制作の背景とは?

2015.02.12

©カラー ©nihon animator mihonichi LLP.

 ドワンゴとスタジオカラーが企画した「日本アニメ(―ター)見本市」は、オリジナル企画・スピンオフ企画・プロモーション映像などなど、ジャンルを問わず愛と勢いで創りきる数々のオムニバスアニメーションを紹介していくというもの。将来を見据えて映像制作の可能性を探るWEB配信アニメーションシリーズである。ニコニコ動画と連携して2014年11月よりスタートした本企画、毎週新作短編アニメ紹介してきたわけだが第12話で、第1シーズン終了となる。第1シーズン最終話となったのが、予告編のリリースと同時に異様な盛り上がりを見せた『evangelion:Another Impact(Confidential)』である。

 これまでの見本市で発表された作品は、従来のアニメーション作品と同じく2Dを基本としたものが多かった。一方で、本作は3DCG作品。お題は『新世紀エヴァンゲリオン』、しかも監督は荒牧伸志なのだ。荒牧監督といえば、現在公開中の『アップルシード アルファ』をはじめとする、日本における3Dアニメーションのパイオニア的存在だ。荒牧監督が描くエヴァに期待するな、というほうが難しい。

 そんな荒牧監督は、どのようなことを考えながら『エヴァンゲリオン』を描いたのか?

 2月6日に作品が公開され、同9日にはニコニコ動画の生放送番組『日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-』にて、本作の制作秘話が紹介された。番組レポートと共に、荒牧監督のインタビューを紹介していくこととしよう。

 番組のゲストは荒牧伸志監督、CGディレクターの松本勝、プロデューサーの石井朋彦の3名。制作の経緯については、スタジオカラーの緒方智幸プロデューサーから、石井プロデューサー経由で荒牧監督に打診があったという。日本発信の『ゴジラ』のような特撮作品、ロボットアニメが海外で影響を与えて『パシフィック・リム』やレジェンダリー版『GODZILLA ゴジラ』という形で、日本へとフィードバックされてくる。「これ自体は素晴らしいことなんだけど、作り手として、果たして喜んでるだけでいいのかという思いもありました。日本人の意地を見せられれば」(荒牧監督)、そんな思いから今回の案件を引き受けたという。

 荒牧監督と庵野秀明監督は、荒牧監督の監督デビュー作『メタルスキンパニック MADOX-01』(1988年)のOPシーンを庵野監督に依頼、反対に『トップをねらえ!』(88年)ではガンバスターのコクピットデザインを一部、荒牧監督が担当するなど、20年来の旧知の仲。「題材としてエヴァンゲリオンはどうだろう?」との荒牧監督の提案を、庵野監督は「ノーチェックで大丈夫」と快諾してくれたという。

「ノーチェックというほうが非常にプレッシャーでしたね」(荒牧監督)

 パラレル世界のエヴァンゲリオン「Anotehr No.=無号機」がヒトの制御を離れ、暴走する姿を描く本作。肝心要のエヴァンゲリオンをデザインしたのは、竹内敦志さん。“盲目のエヴァ”をキーワードに、新たなエヴァを生み出した。

©カラー ©nihon animator mihonichi LLP.

 以降、番組では、ベースとなるモーションキャプチャーに動きを付加して演出する方法や、「エヴァが破壊するビル内部の密度がリアルさに比例する」といったメソッドなど、3DCGの制作過程が紹介されていく。

 CGディレクターの松本さんの「僕らの扱う(CGの)世界は、整理された綺麗すぎる世界。そこにノイズ(カメラレンズ越しの映像であるといった加工など)を加えて、リアルな方向に持っていく。常にどうやったら自然な感じに見えるのかは考えている」という言葉も印象的だった。

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