『艦隊これくしょん -艦これ-』第5話 このままキャラ萌え雰囲気アニメになってしまうのか!?

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『艦隊これくしょん -艦これ-』
第5話「五航戦の子なんかと一緒にしないで!」

 
【今週の極私的見どころ!】
 EDが本編みたいな気がしてきた。

 無駄にキャラを出しまくるOPに比べてEDのほうが安定していることもあり、心底ホッとします。ED曲『吹雪』を歌ってる西沢幸奏は、2014年の「第一回フライングドッグ・オーディション」でグランプリを獲得した現役高校3年生。「巧い」にカテゴライズされる歌声が、ED映像とちゃんとハマっております。今後の成長を見守りたいところですね。

【今週のオススメ度】
★★☆☆☆
(前回のあらすじはこちら

 さて、前回から一週間。その間に、「切った(=見るのを止めた)」という声も聞きました。でもね、艦が気に入らないといっても海の上で降りるわけにはいかないでしょ。そんな気持ちで、今回もスタート。

 今回、冒頭で長門(CV:佐倉綾音)から第三水雷戦隊は解散し、再編されることが告げられます。

 吹雪ちゃん(CV:上坂すみれ)は「どうして再編成になったんだろう」と、自分の毎度のドジが原因じゃあないかと、いきなりネガティブです。夕立(CV:タニベユミ)すら「怖い人と一緒だったらどうしよう」と言っているくらいだから、相当不安なようです。でも、赤城先輩(CV:藤田咲)と一緒だったらと想像した途端に、アヘ顔になっちゃう吹雪ちゃん。夕立から「ちょっとキモいっぽい」と言われてます。

 こうして、着任以来の第三水雷戦隊も最後の夜。睦月ちゃん(CV:日高里菜)は、ベッドの上の段から「こうやって、吹雪ちゃんの上で寝るの好きだったよ」と語りかけます。それに「一緒の艦隊になれてよかった」と応える吹雪ちゃん。ええ、この娘らは心底兵隊に向かない優しい娘たちなんですね。

 そして、眠れない二人は月夜の散歩に出かけます。「二人だけずるいっぽい」と、夕立も、そして川内型三姉妹も合流。みんなは手を繋ぎ、神通(CV:佐倉綾音)は「別々の艦隊になっても、この第三水雷戦隊で培った水雷魂はずっと持ち続けていきましょう」と語り、決意を新たにするのでした。

 翌朝は、順番に人事の発表。ここで「次、軽巡洋艦 夕張」と告げられ「はい」っと声が。夕張(CV:ブリドカット セーラ 恵美)は声だけ……声だけ……声……。まあ、ちゃんとエンディングのクレジットにいたから、よいとしましょう。

 新たに吹雪ちゃんが配属されたのは、第五遊撃部隊。睦月曰く新しく編成された特別部隊だそうです。

 編成が変わると、部屋も移動。やってきた第四艦隊のドアを開ければ、大井(CV:大坪由佳)と北上(CV:大坪由佳)が。大井は「ここに私の写真を貼ってとか」「何があっても、二人は離れられない運命」と、百合モード全開でノリノリ。まったく入れない雰囲気……どころか、隣の部屋に行けと追い出されました。

 先行きの暗さを感じながら隣のドアを開ければ、今度は、同室の加賀さん(CV:井口裕香)と瑞鶴(CV:野水伊織)がすでに不穏な雰囲気です。今回のタイトルにもなっている加賀さんの定番セリフ「五航戦の子なんかと一緒にしないで」。そもそも、艦の能力だけみれば、瑞鶴は加賀よりも上です。けれども、加賀・赤城の第一航空戦隊(一航戦)に対して、翔鶴姉さん(CV:野水伊織)と瑞鶴からなる第五航空戦隊(五航戦)は、搭乗員の練度が劣っていて、史実でも一航戦から「妾の子」などと小馬鹿にされていたわけです。でも、加賀と赤城がミッドウェー海戦で沈んだ後は、翔鶴と瑞鶴が新たな一航戦となって、沈むまでマリアナ、レイテまで戦い抜いたわけなんですけどね。何より、翔鶴は南太平洋海戦では米空母ホーネットを撃沈、エンタープライズを大破させているわけで、実質、加賀よりも活躍しております。艦の魂を宿した艦娘たちですから、そうした史実を反映した複雑な思いも、彼女らの中には受け継がれているのでしょう。

 最初からとげとげしい瑞鶴ですが、部屋に入ってきた翔鶴は加賀にも丁寧です。先の戦いで勝利を拾ったのも、加賀たちがいてくれたおかげだというのですが……。

「すべて随伴艦のみんなが頑張ってくれたおかげ」と、加賀を随伴艦扱いしていることを隠さないので、さらに火に油。翔鶴も「よろしくお願いします、随伴艦さん」と容赦ありません。

 出撃する前に、弾は前から飛んでくるとは限らない、と心配しなくちゃいけないような新編成。そこにもう一艦配置されていたのは、金剛(CV:東山奈央)でした。空母の随伴艦としてはもってこいの高速戦艦なわけですが、性能はともかくとして、空気の読めない娘です。部屋割りをめぐり不穏な空気の中で「ティータイムにしませんか」と言い出します。なにせ、鎮守府は三人で一部屋なのですが、加賀さんと瑞鶴は互いに部屋を別にしろと言うし、大井は「北上さんと別の部屋にしたら……」と、周囲に殺気を振りまく。そんな空気の中で「相撲でウィナーを決めるといいですね?」と言い出す金剛は、鉄の心臓の持ち主です。

 こんな雰囲気なので、吹雪ちゃんは教室ではぐったり。睦月ちゃんは「最上さん(CV:洲崎綾)が優しい」、夕立は「那珂ちゃん(CV:佐倉綾音)と一緒」と言うので、よけいにうらやましさが募ります。おまけに、二人は新艦隊の親睦会があるとかで、吹雪ちゃんは一人で間宮でアイスクリーム。そこで出会った赤城先輩は、この新編成の理由を語ります。

 なんでも南方に確認されている深海棲艦の生地を攻撃する、FS作戦が影響しているようです。FS作戦といえば、日本軍による太平洋戦争前段の戦略構想。これに基づけば、ラバウルから先、フィジーやサモア、ニューカレドニアを占領しオーストラリアを脱落させるというものです。当時でも、補給線が追いつかない無理のありすぎな構想です。この構想の結果、ガダルカナル島の占領と、その後の泥沼が始まったわけですが……もう不穏な空気しかないですね。前段の、夜の散歩で友情を育む光景も少し先に向けてのフラグなのでしょう。

 けれども、正直者の吹雪ちゃんは「作戦を成功させるためには、練度を高める必要があるのだそうです」と言われ、「周りをうらやましがって、落ち込んで場合じゃない」と、気持ちを改めるのです。

 でも、部屋に戻れば再び不穏な空気が! 揉めている理由は、誰が旗艦になるか。加賀さんは「みんなのレベルに合わせた指示を出せる自信がありません」と上から目線。瑞鶴が「じゃあ私が」と言うと「それは反対」と返す。瑞鶴に「軽巡」と揶揄された重雷装巡洋艦の大井は「甲板娘」と言い返し、さらに事態は混迷を。しようがないので、金剛の提案でとりあえず出撃して一人ずつ旗艦をやってみて、MVPを取った艦娘が旗艦ということに。

 なんだかわからんが、順番にやるたびに全員入渠です。加賀さんの「北上中心の輪形陣に一体なんの意味があったのでしょう」という言葉が重いです。あのね、入渠したら資源を消費するんだよ! 資源だって無限じゃないんだよ。

 こうして吹雪の番を待つまでもなく、みんなは「提督に再編成を進言」する気になります。でも、入渠中に加賀さんが赤城さんから教わったという、タオルを折ったウサギの作り方を試してみた吹雪ちゃん。経緯を知らない瑞鶴が「それ、可愛いね」と言うのを見て、吹雪ちゃんは何かの希望を見いだしたのでした。

 そこへ響くのは、鎮守府近海への敵艦隊の接近警報。どれだけ戦局がヤバイのか不安になりますが、ともかく出撃です。

 ここでも勝手に攻撃に入ろうとするみんなを止めたのは、吹雪ちゃんです。それぞれに的確な役割を分担し「私が引きつけますから、みんなで攻撃を」と、突撃した吹雪ちゃん。その努力の成果もあり、損害を受けることなく戦いは勝利に終わりました。

 そして、視聴していた大方の提督の予想と同じように、案の定というか、吹雪ちゃんが旗艦となることが決まり、話は丸く収まるのでした。

 第三話を思い出し、アニメ提督に対して、最初からこの編成にしろよ! と新たな怒りがわき上がる第五話。おまけに、一発喰らえば沈む可能性も大いにある駆逐艦を旗艦にするなんて、彼女らには厭戦気分の自殺願望でも芽生えているとしか思えません。さっさと、任務から外して後送することを進言したいですよ! 実況でも「なんでいきなり吹雪が有能旗艦ポジになってるんですか」とテレビの前で唖然とする提督がいるのも当然でしょう。

 少々、苦言を申し立てさせていただきますと、吹雪ちゃん、指揮できてませんよ! そもそも空母がいるのに輪形陣を組んでいません。おまけに、索敵機を飛ばしているのに、敵が見える距離にいるじゃないですか。空母がいる以上は、アウトレンジ戦法が必然です。空母を用いたアウトレンジ戦法とは、敵が見えない距離から飛行機を飛ばして敵艦隊を叩くというヤツです。もっとも、1944年のマリアナ沖海戦で、この戦法を使って勝利を狙った日本海軍は、練度の低さに加えて、移動距離の長さによる疲労やら何やらで大敗北を喫したんですけど……妖精さんはそんなことないから成功しそうなのに、何をやっているんでしょうか?

 今後の戦局を考えると不安しかないわけですが、シナリオが破綻した前話を経験している以上、最悪よりはマシな回でした。でも、次回は第六駆逐隊がメインになる様子。このまま、中盤は各話ごとにメイン艦娘を絞ってのキャラ萌え雰囲気アニメになるみたいです。『アニメンタリー 決断』みたいにやれとは言いませんけど……やっぱりなんか間違っているような。個人的に『艦隊これくしょん -艦これ-』は、扱っている題材が題材だけに、これまで数多く制作された先達の戦記モノに学び、戦争を描いてもらいたいと思います。キャッキャウフフするだけでなく、もうちょっと戦争ってものを、艦娘にもわかってもらいたいですね。もう筆者には、しんみりと「さ~ら~ばラバウルよ~」(ラバウル小唄)と歌っていることしかできません。もうさ、今からでも遅くないから、脚本家を総取っ替えしようよ。
(文/昼間 たかし)

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