「ロマンシング佐賀2」始動に、佐賀県民は歓喜? 県を挙げてコラボレーションを推進する佐賀県のエンタメ事情

2015.02.09

「ロマンシング佐賀2」公式サイトより。

 あの「ロマンシング佐賀」が、「ロマンシング佐賀2」として帰ってきた。

 2013年、1989年の『魔界塔士Sa・Ga』からシリーズ25周年を迎え、ゲーム『サ・ガ』と佐賀県のコラボ「ロマンシング佐賀」が実現し、県内外から驚かれた。2013年の特設サイトでは、ドットで描かれた吉野ヶ里遺跡の上空に「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」の気球が浮かぶ。元々「ロマンシング佐賀」は92年のゲーム『ロマンシング サ・ガ』発売当時から、ファンの間で親しまれてきたネタ。アニメ『僕は友達が少ない』にもパロディとして登場している。

「ロマンシング佐賀」特設サイトで公開されている古川康・前佐賀県知事のコメントによると、このコラボについては、ゲームを開発するスクウェア・エニックスは20年前に、佐賀県は10年前に、お互いがアプローチしていたことも明かされていた。こうした積極的なコラボレーションについては、自虐的な内容にも関わらず、古川前知事が03年のヒット曲「佐賀県」のPVに登場していたことを思い出す。

 大規模なコラボレーションの背景には、同13年より佐賀県が開始した企業とのコラボプロジェクト「FACTORY SAGA」があり、「ロマンシング佐賀」もその一環だ。パッケージソフトとしては02年から新作が出ていない「サガ」シリーズにあって、「ロマンシング佐賀」は久しぶりの動きだっただけに、新作の発表がファンから期待されたものの、かなわなかった。しかし、今年の「ロマンシング佐賀2」では、昨年末に新作となる『SAGA2015(仮)』『インペリアル サガ』の2タイトルが発表されたことから、より期待が高まっている。

「ロマンシング佐賀」コラボでは、県の特産でもある有田焼の製品も発売されている。同県有田市には、全国唯一の“陶磁器職人養成校”として知られる県立有田窯業大学校がある。同校は、早ければ16年にも佐賀大学に統合となることで、県内から関心を集めていた。

 佐賀大学は、近年デジタルコンテンツ・クリエーター育成プログラムやデジタル表現技術者養成プログラムを設けるなど、コンテンツ育成にも力を入れている。現在、その文化・教育学部に美術・工芸課程が設置されているものの、16年に一部が教育学部(仮称)と芸術学部(仮称)に改組。先述の有田窯業大学校は、後者の芸術表現コース(仮称)の有田セラミック専攻へと位置づけがかわる予定である。13年には、美術館も完成している。

 佐賀県を舞台とした作品としては、06年の実写映画『佐賀のがばいばあちゃん』が大ヒットしたが、マンガやアニメの観点からすると非常に寂しい。そんな中、同県三養基郡基山町出身のマンガ『キングダム』原作者・原泰久さんが、13年に同町民栄誉賞授与を受けて、ふるさと大使に任命。マンガでは同町に史跡が残る基肄城を参考にしていたり、佐賀県聖地巡礼に一筋の光明を見せる。

 そして、冒頭の「ロマンシング佐賀2」では、今年3月21日からJR唐津線にてラッピング列車が走ることになっている。今年1月11日の県知事選を受け、古川氏から知事が代わったことで、今後のコラボへの影響が気になるところだが、ひとまずは貴重なコラボを楽しみたい。
(文/真狩祐志)

■「ロマンシング佐賀2」
http://romasaga2.jp/

■FACTORY SAGA
https://www.factorysaga.jp/

編集部オススメ記事

注目のインタビュー記事

人気記事ランキング