声優誌レビュー「Pick-up Voice」2015年3月号

干しイモだけ削除されていた…「Pick-up Voice」坂本真綾インタビューから透けて見える、声優のイメージ戦略

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

1502_puv.jpgPick-upVoice」(音楽専科社)2015年3月号。

■「Pick-upVoice」2015年3月号
出版社…音楽専科社
発売日…1月26日(毎月26日発売)
価格……1139円+税
創刊……2007年

「Pick-up Voice」3月号は、表表紙&巻頭大特集に“おれパラ(Original Entertainment Paradise)”より小野大輔・鈴村健一・森久保祥太郎・寺島拓篤が登場。昨年12月に東京・神戸で行われた「おれパラ」公演のリポート記事のほか、ホスト役である4人がインタビューに答えている。

 一方、裏表紙&巻末大特集は、声優ユニット・ミルキィホームズだ。もはや説明する必要もないかもしれないが、ミルキィホームズはブシロードのメディアミックス企画『Project MILKY HOLMES』から誕生したユニットで、メンバーは橘田いずみ・佐々木未来・徳井青空・三森すずこの4人。アニメ『ミルキィホームズ』シリーズの主演を務めるほか、同シリーズの主題歌をはじめとした音楽活動も精力的に行っている。

 現在、シリーズ4作目となるアニメ『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』が放送中であり、OPテーマ『ミルキィ A GO GO』のリリースを控えてのインタビューとなったわけだが、彼女たちを見ていると、つくづくブシロードグループは自社コンテンツの使い方が上手だなぁと思う。

 同グループは「カードファイト!! ヴァンガード」などのカードゲームで知られる「ブシロード」、2012年に買収した「新日本プロレス」(以下、新日)、ミルキィホームズが所属する芸能プロ「響」、レコード会社「ブシロードミュージック」などを抱え、エンターテインメント事業を中心に展開している。そして、これらのコンテンツにミルキィホームズら響所属の声優陣がソツなく絡んでいるのだ。

 たとえば新日を買収した翌年には特撮ドラマ『ファイヤーレオン』を制作し、新日レスラーを起用するとともに三森と徳井が実写で出演。また、マンガ雑誌の「月刊ブシロード」(発売元はKADOKAWA)ではイラストが得意な徳井がマンガ連載を持っており、さらに同誌やカードゲームの紹介を兼ねたバラエティ番組『月刊ブシロードTV』のMCを務めるのは、徳井とブシロードミュージック所属の新田恵海である(ちなみに新田は、今作の『ミルキィホームズ TD』でも主演級で出演中)。

 これがベンチャーの強みなのかと実感すると同時に、声優も抱き込んだ新しいエンタメ業界の形を提示されているような気がしてならない。

 そのほかで気になったのは、坂本真綾。今年で音楽デビュー20周年を迎える彼女は、4月からさまざまな記念プロジェクトを行うとのことで、それに先駆けて1月に25枚目となる両A面シングル『幸せについて私が知っている5つの方法/色彩』を発売している。

 同シングルが、「食」をテーマにしたアニメ『幸腹グラフィティ』の主題歌であることから、インタビューは自然と食べ物の話に。ここで「好きな食べ物」を聞かれた際、彼女の語った回答が興味深かった。

 以前から坂本はラジオなどで幾度となく「桃が大好き」と公言しているが、今回のインタビューでは「桃と同じくらい好きなもの」として「干しイモ」を挙げている。記事によれば、10代の頃から「桃と干しイモが好き」と語っていたが、そのたびに当時のプロモーターが“干しイモだけを削除”していたのだとか。

 たしかに「干しイモ好きの少女」と「桃好きの少女」では、だいぶ印象が変わる。坂本自身、記事内で「桃だけが残って、干しイモのイメージはつかなかった」と振り返っているが、やっぱりイメージ戦略って、何かと大事なんだなぁと思った次第なのです。
(文/神楽坂隆)

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