『ガンダム Gのレコンギスタ』第21話 出色の戦闘に下ネタ・コメディシーンも!? 富野アニメのエンタメ要素が前面化

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第21話「海の重さ」

【今週の極私的見どころ!】
 ハイクオリティーな作画で展開する戦闘シーンは、近年のロボットアニメの中でも出色! また、下ネタスレスレのコメディシーンもあり、ということで、富野アニメのエンタメ要素が特に強く出た感のある今回。ただ見ているだけでも楽しめます!

【今週のおすすめ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 金星にたどり着いたものの、地球へのレコンギスタ(帰還)作戦を強行しようと企むジット団の攻撃で戦闘状態に入ったメガファウナ一行。ベルリ(CV:石井マーク)はジット団のキア・ムベッキ(CV:中井和哉)操るジャイオーンとの戦いのさなか、居住施設・メディスペシーに穴を開けてしまい、そこから内部に侵入してしまいます。そこはなんと、青空と海が広がる大自然が広がっていたのです。

 驚くベルリ。一方、自分たちの生活空間に致命的なダメージを与えてしまったことに動揺を隠せないキア。しかし「とんでもないことをしてしまった」と言ったそばから、バンバンとビームライフルでG-セルフを攻撃するキアに、いきなり視聴者から「おいおい」「反省してないな」とするどいツッコミが。意外とドジッ子なキアさんです。激しいバトルを展開するG-セルフとジャイオーンですが、そこにチッカラ(CV:杉浦慶子)の乗るジャスティマも登場!

 冒頭からスピード感がすごいです。メカがグリグリ動きます。作画がとんでもないことになっています。前回、ちょっと作画枚数が少ないかな~と思っていたのですが、ひょっとして今回のために色々と温存していたってところでしょうか。のっけから目が離せない21話です。

 一方、メガファウナのブリッジではミラジ(CV:梅津秀行)と操舵手ギゼラ(CV:佐竹海莉)のラブコメイベントが発生。いきなり肩をミラジに触られたギゼラは、顔を真っ赤にしてしどろもどろ。突然メスの顔を見せてくれます。ラブコメの波動を感じる展開ですが、まったくフォローもなく場面はチェンジ。この二人のフラグがクライマックスの鍵を握る……なんてことはないでしょうね。絶対に。

 また、前回キアに人間爆弾にされてしまったクレッセント・シップの船長と副長ですが、実はその爆弾はオモチャだったことが判明。意外とお茶目なところがあるキアさんです。
 
 やっぱりこの世界の人たちは、真面目に殺し合いをするとかそういう発想がないようですね。緊張感がないというか。その不真面目さの延長線上に戦争をしていて、たまたま人が死んでしまった……。そんな印象があります。そこに現代人へのちょっとした皮肉を感じつつ、メガファウナ勢もメディスペシーに潜入。ここで今回最大の問題シーンが!

 ラライヤ(CV:福井裕佳梨)の乗るネオドゥの股間からロープが垂れている、ということでケルベス(CV:須田祐介)がそれを引っ張ると、隠れていたマニィとノレドの姿が。どうやら一緒にジット・ラボに潜入しようという意図があったようですが、これ、どうみてもタンポンの糸を引っ張るの図ですよね。富野監督!(しかも、その後ロープの先につながったままの二人をブンブン振り回して遊ぶ始末)「今の引いちゃいけないアレ」「意味深」「おい」「たんぽん?」「あのなぁ…」と、視聴者も若干引き気味の様子ですよ! こういうシーンでも今回の作画は超安定。それどころか見ようによっては劇場アニメクオリティともいえるレベルだから、また困ります。『Gレコ』、色々とすごいです。

 さて、メディスペシーに補修不可能なほどの穴が空いてしまったことや、G-セルフ、メガファウナ侵入のためにますます混乱する状況の中、見た目は『機動新世紀ガンダムX』のパトゥーリアで運用方法は『機動戦士ガンダム0083』に出てくるデンドロビウムを思わせる大型MA・コンキュデベヌスや、リーゼントヘアーのオカマという濃すぎるキャラのパイロット・ローゼンタール(CV:諏訪部順一)が乗る水陸両用MS・ズゴッギー(この名前もすごいが……)といった、ジット団の新勢力が登場。状況はさらに混迷の度合いを深めていきます。

「次から次へと、何だっていうんだよ」

 まさに我々視聴者の気持ちを代弁するようなセリフを吐くベルリに、思わず失笑です。

 Bパートに入り、ノレド(CV:寿美菜子)とマニィ(CV:高垣彩陽)はジット・ラボへ潜入。どうやらこのジット・ラボがMS生産の大元締めということらしいです。ということは、ここから何者かが地球圏に「ヘルメスの薔薇の設計図」を横流ししていた、ということですかね(その張本人がフラミニア[CV:玉川砂記子]ということでしょうか)。

 その頃、ジャイオーンをコンキュデベヌスにドッキングさせてG-セルフと戦うキアは、「メディスペシーの穴をふさぐために、コンキュデベヌスの機体を沈める」という作戦を実行しようとします。部下のクン・スーン(CV:小清水亜美)も手助けしようとしますが、リーダーとしての責任感が彼女の手助けを許しません。結局、こいつも敵ではあるんだけど、「悪い奴」じゃないんだよなあ。

 結局、宇宙用MSは水圧に弱いという弱点のためにジャイオーンは脱出が不可能となり、そのままキアはおそらく溺死……。カーヒル(CV:森川智之)、デレンセン(CV:小山剛志)に続いて、ベルリとかかわった勢力のリーダー3人目の犠牲者が出ました。なんだかすっきりしないまま戦闘は終了しますが、ここでなんだかよくわからない流れでG-ルシファーをゲットしたノレド&マニィが登場。“ガンダムは盗まれる運命”とはいえ、まったく緊張感のない奪取シーンです(一応、リンゴ[CV:浅沼晋太郎]やケルベス、ラライヤの協力で捕獲したとノレドが発言しているので、きっと何かしらやりとりがあったのでしょうが)。

 操縦はマニィの模様。「やった~マスク!」と遠く離れた恋人の名を叫びます。マスク(CV:佐藤拓也)のためにMS操縦をマスターしたことが彼女の口から語られます。表情を見せず、髪をかきあげる仕草に不穏な空気を感じますね。そうそう忘れていましたが、彼女は物語当初より、主人公と敵対しながら悲劇を迎える“カテジナ枠”ヒロインとして、フラグを立て続けていたのでした。この展開に「マニィお前…」「これは死んだなwww」「どう見ても敵になる」など、不安半分期待半分なコメントも多数ネットに上がっています。

 さて、メガファウナ一行はビーナス・グロゥブの指導者ラ・グー(CV:子安武人)に会うべくロザリオ・テンに向かいますが、その表面にはなんと巨大な薔薇のオブジェが。「ヘルメスの薔薇」の由来はこれでしょうが、同時に宇宙世紀ガンダムシリーズでしばしば登場した宇宙ステーション「ラビアン・ローズ」も薔薇がモチーフだったということもあり、両者の関係が気になるところです。もともとラビアン・ローズは宇宙世紀のコングロマリット企業・アナハイムの所持する施設でした。ということは、もしかしたらアナハイムの末裔がビーナス・グロゥブでは……? 特に劇中にそのような解説はありませんでしたが、いかようにも深読みできる描写は「さすが」といったところでしょうか。

 ついに姿を現したラ・グー総裁。やたらドジッ子な秘書がなんだかわいいのですが、肝心のラ・グーは、『ガンダム』シリーズでは欠かせない子安武人が担当。富野アニメではギム・ギンガナムやアスハム・ブーンなど、テンション高めなキャラの印象が強いのですが、今回は指導者らしく落ち着いた声。しかし、若々しい見た目ながら突然変異という意味の「ムタチオン」(“mutation”ということでしょうか)という現象のために100歳を超えているとのこと。金星での生活の中で人類の生態も変化し始めたということでしょうか。たしかに異なる環境に長い間定着してしまえば、徐々に変化していくのが生物というもの。では、異なる身体能力を獲得してしまった人類は、果たして同じ「人類」と呼べるのでしょうか。地味にSF的な問題を提起しつつ、21話は幕を下ろします。

 残り5話となった『Gレコ』。最近の展開は「ああ、これ、本当は4クールやりたかったんだろうなあ」と思わせるような伏線や、思わせぶりなシナリオの省略があったりしますね。もし本当にそうなら、ちゃんと4クール使った『Gレコ』を見てみたい気もしますが、2クールだからこそのドライブ感もあるのだろうと思うと、なかなかどっちが良かったのか、判断が難しいところです。

 次回は再び地球圏での物語の模様。ジット団が地球へ向かうということで、全勢力が地球圏に集結するわけです。最終決戦に向けて、急展開はあるのか、期待したいところです。恒例の次回予告の決めゼリフは「バッテリーはフル!」でした。
(文/受動 明日)

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