目指せコンプリート!! 日本マンガ家記念館巡り!! 第3回

サザエさんの家はブルジョワだった? 長谷川町子美術館で知る磯野家とその歴史

 ここはもともと、姉妹社の書庫・流通センターがあった場所に建てられた美術館だという。赤いレンガで建てられた品の良い建物で、外壁にはサザエさんファミリーの絵が貼ってある。

150125_rum04.JPG一家でお出迎え。

一般に、「マンガ家の記念館」というと、人気のあるマンガ家自身を称えて建てられた場合が多い。手塚治虫記念館なんかは、まさしくそうだ。しかし、長谷川町子美術館はちょっと違う。もともとは、長谷川町子と姉の長谷川毬子が集めた美術品を展示するために作られた美術館なのだ。名称も、長谷川町子が亡くなる前は「長谷川美術館」だった。

 そのため、展示されている作品も、サザエさんとは直接関係のない美術作品が大半である。ただ、長谷川町子のファンであれば、長谷川町子が選び楽しんだ作品を見られるのは嬉しいと思う。そもそも、展示されている作品は丁寧に描かれたキレイな具象画が多いので、「絵はあまりわからないんだけどな」という人でも十分楽しめる。

150125_rum03.JPGサザエさんについて行けば大丈夫!

 そして、美術館の2階には、「長谷川町子コーナー」がある。まずはサザエさんの自宅のジオラマがドンと置いてあり、かなりの広さがあることがわかる。それを家族で眺めていた若いお母さんが。

「東京でこんな広い家住めないよね~ブルジョワー」

と、笑いながら愚痴を言っていた。
 
 続く展示コーナーでは、『サザエさん』『エプロンおばさん』『いじわるばあさん』の生原稿を見ることができる。かなり年代物のはずだが、保存状態は非常に良い。同時に、長谷川町子が趣味で描いた絵画や陶芸作品も見ることができる。これがまた、とてもレベルが高い。そのほかこの町子コーナーでは、常時テレビアニメ『サザエさん』が流れており、コミックも読み放題となっており、ついつい長居してしまった。

 1階には、美術館の限定グッズが多数販売されているミュージアム・ショップもあり、『サザエさんぬりえ』『いじわるばあさん絵はがき』などなど、見ているだけで楽しい。

 中でも、僕が衝動買いしてしまったのは、長谷川町子美術館発行の『サザエさん1巻』の復刻版。それも、昭和22年発行の初版本だ。B5横とじという変わった形で作ってしまったため、書店に置いてもらえず、大量の返品があったという有名なエピソードがある。ほとんど現存していないと言われていて、一度見てみたかったのだ。

 1巻なので、サザエさんはまだ結婚しておらず、マスオさんやタラちゃんは登場しない。現在も買える朝日文庫版と同じなのだが、セリフがすべてカタカナだったり、余白部分にイラストが描かれていたりと、初版本ならではの味わいがあって楽しかった。

 みなさんもヒマな日曜日は、長谷川町子美術館でサザエさんづくしの休日を過ごしてみてはいかがでしょうか?
(文/村田らむ)

サザエさん (1)

サザエさん (1)

マスオさんとの結婚前

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