Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第25回

リアルに“鬱フラグブレイカー”だった!『コブラ』に救われた職なし時代

―今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

150118_rum.jpg(イラスト/村田らむ)

「週刊少年ジャンプ」で『コブラ』の連載が始まったのは、1978年である。僕はまだ、当時小学校1年生だった。何度も書いて申し訳ないが、小学校低学年の頃は、我が家には『マンガ読んだらアカン令』が出ていたため、当然、『コブラ』も読めないマンガのひとつだっただ。なので、この作品もまた、単行本でまとめて読んだクチだ。

 ただ、小学校高学年の頃、「ジャンプ」誌上で『コブラ』を見た覚えがある。たぶん連載終了間際だったと思う。

「めっちゃくちゃ絵の上手い人がいる。すげえええ」と、とても驚いたのを覚えている。

 今読み返してみると、『コブラ』は連載当初からすでに絵は上手いのだが、回を重ねるごとにどんどんレベルが上がっていたのである。すごい成長速度だ。30年経っても、まったく古く感じない。

「めっちゃくちゃ絵の上手い人がいる。すげえええ」と、30年経った今でも、小学校時代と同じ感想を抱いてしまった。

『コブラ』は、当時の「ジャンプ」マンガの中では異色の存在だったと思う。多くのマンガ作品の場合、たいてい、その源流がわかりやすいものだった。「ああ、この人は、あの人のアシスタントなんだな~」と、絵を見ただけでわかる人もいるし、「この作者はこの作品の大ファンなんだな」とわかる人もいる。わかりやすい例を挙げるなら、石ノ森章太郎の作品には、手塚治虫のタッチが色濃く出ている、といった具合だ。

 しかし、『コブラ』にはそれがない。作者である寺沢武一は手塚治虫の手塚プロダクションでマンガを描いていたのだが、絵的には手塚治虫に影響を受けているとは思えない。

 劇画と言えば、劇画なのだが、当時ほかに連載されていた劇画ともだいぶ違う。

 ちなみに『コブラ』が連載していた時に、「ジャンプ」に載っていた劇画マンガといえば、平松伸二(画)・武論尊(原作)の『ドーベルマン刑事』、本宮ひろ志の『さわやか万太郎』、池沢さとしの『サーキットの狼』といったラインナップだ。

『コブラ』は、アメコミの影響は強く受けていると思うのだが、しかし独自で開発していった部分がとても大きいのではないかと思う。個人的には、コブラの相棒、アーマロイドのレディは、イラストレーターの空山基の影響を受けているんじゃないかな~とも思っている。なんてたって、空山氏が描いたエアロスミスの『ジャスト・プッシュ・プレイ』のアルバムジャケットは、かなり“レディ”っぽい。知らない人はぜひ、ググッてみてほしい。

 とにかく『コブラ』は、とても個性的なマンガだった。あの作品の世界観を実現するにはとても高い絵画力を必要とするため、誰かに真似されることもなかった。

 ただ、個性的なマンガ、オリジナリティーの強いマンガというのは、得てして面白くない場合も多いが、『コブラ』は一枚一枚の絵が芸術の域まで達している上、なおかつ、あくまで面白い少年マンガとして読ませてくれる。

COBRA vol.1

COBRA vol.1

コブラさまさま!

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