『図でわかる!妹に教えたい世界のしくみ』中二病から墓場まで役立つ一冊

 あの小学生の時にみんなが使った学習帳をパロった表紙が目立つ『図でわかる!妹に教えたい世界のしくみ』(笠倉出版)。単なるネタ本かと思いきや、えらく役に立つ情報がいっぱいです。それでいてムックなので、価格はページ数に比べてお値打ちな790円(+税)なんです。これは『広辞苑』(岩波書店)などと一緒に一家に一冊常備しておきたい本ではありませんか。今ドキ『広辞苑』を自宅に常備しているご家庭がどれくらいあるかは知りませんけど。

 この本は、ほぼ全ページが見開き構成の図表で成り立っています。図表を用いることで、子供から大人までわかりやすく世界の仕組みを教えてくれるのです(あくまで“なんとなくわかった気になれ”る程度だそうですが)。

 冒頭の「日本政府のしくみ」では、三権分立と内閣の下に設けられる省庁を図表で解説してくれます。次のページは「アメリカ政府のしくみ」です。「江戸幕府のしくみ」や「日本の政党の系譜」など、中高生の参考書みたいな形で教えてくれます。

 でも、そうした生真面目な記述ばかりじゃありません。この本では、一生使わなそうなしくみやネタも、次々とレクチャーしてくれるのです。

「裏社会のしくみ」では、日本の暴力団だけでなく、シチリアのマフィア。そして、ロシアマフィアの基本的な組織構成まで教えてくれます。うん、お子さんが将来、貿易の仕事でも始めたら役に立つかも。いや、こんなページで目覚めたら「週刊実話」(日本ジャーナル出版)とか「アサヒ芸能」(徳間書店)などなど、アウトローを取り上げる雑誌を熱心に読んで語り始めるウザいマニアになりそうです。

 でも、そうしたネタページのほうが、執筆者の力がこもっています。「日本の鉄道ファンとミリタリーオタクの派閥」「押尾学に至るロックの系譜」「エグザイルトライブの構成と変遷」「七曲署刑事在籍年表」「タモリのレギュラー番組年表」「まんがタイムの家系」「世界の終わりのスケジュール」と併記される「コミケの入稿黙示録」etc……。

 よく調べていることには感嘆しますけど、まったくどこで役に立つのかはわかりません。いったいどんな読者を想定しているのか、わからない本ですけど、おそらく厨二病に感染しつつある少年少女は、大喜びして覚えそうな本だと思います。

「コーヒーの種類」のページでは、エスプレッソやミルクのマニアックな分類も解説されていますが、影響された少年少女が、セガフレード・ザネッティあたりで「エスプレッソ・リストレットに、コン・パンナで!」とか言い出しかねないと危惧してしまいます。

 あ、ダンテの『神曲』をもとに「天国と煉獄と地獄のしくみ」も解説されていますから、厨二病から墓場まで役立ちそうですね!
(文/大居 候)

『図でわかる!妹に教えたい世界のしくみ』中二病から墓場まで役立つ一冊のページです。おたぽるは、書籍ホビーの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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