元・夢追い人が綴る“俳優奮闘雑記” 第6回

舞台への情熱が強いほど恋心は芽生える!? すぐにコロリと落ちる俳優たちの恋愛事情

 そんな衝撃からしばらくして、東京である舞台に出演したときのことです。稽古が終わると、共演者同士で頻繁に飲みに行く機会がありました。その時、ある俳優が「俺、A(共演者の女優さんです)のことまじで好き! 告白するわ!」と、割と早い段階で宣言したんです。まぁ好きで告白するのは別に構わないのですが、もし振られたりでもしたら、稽古場の空気がぎくしゃくするだろうなぁと思っていました。

 しばらくして、また稽古終わりの飲み会があり、その後の経過が話題に上がったのです。その俳優は、Aから「舞台が終わるまでは考えられないです」と、あっさり振られていました。それを聞いて、私も変に意識してしまったというか……結局、それからの稽古場はぎくしゃくした空気になっていました。まるで、同じクラスのカップルが別れた後の中学校の教室内みたいです。

 ……と、いうのも、実は私は、稽古期間中、Aとよく朝までメールをしたりしていて、「舞台が終わったら、どこどこに遊びに行こう」なんて話をしていたのです。なので、そんな話を聞いてしまって、その俳優にちょっとした罪悪感を覚えたんです(苦笑)。ほんと、思い返すと恐ろしい話です。

 映画にせよ、舞台にせよ、俳優という仕事はスタッフさんを含めて、いわゆる“出会い”というのがとても多い職業だと思います。女優さんは当然美人で、社交的な人が多い。しかしその企画が終われば、何かの縁でもない限り、二度と出会うことはありません。それに本番が近づく緊張感や不安というのは、かかわっている全員が感じるものです。極限にまで追い詰められている時、ふと隣を見ると美人な共演者がいたら……コロリと恋に落ちてしまう、そんなことはよくあります。

 仕事の性質上、共演者とは一期一会なので「ここぞ!」という時であろうとなかろうと、いい人を見つけたらとりあえずアタックをかける! いや、もちろん仕事には集中してますが……仕事のベクトルが強ければ強いほど、恋心というのは生まれてしまうものなのです。……と、言い訳も兼ねて、私は思っています。

●SHINOBU
1983年、兵庫県生まれ。信州大学卒。「劇団山脈」出身の元俳優。同劇団では、脚本、演出も担当した。震災をテーマにした「関西少年」が話題となり、地元のテレビや新聞に取り上げられる。出演した主な舞台に、『水の話』(演出:中嶋しゅう)『血の婚礼』(演出:門井均)「黄金の刻」(演出:なかにし礼)「アセンション・ミロク」(演出:上杉祥三)など。

女優激場

女優激場

恋愛もドラマチック!

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