~私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか~ 第4章

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―その“完全燃焼”の少女は、二つの顔を持つ

 水野由結は、ここでは水野由結でしかないのだ。そのギャップがまたBABYMETALに戻ると、あの激しい音楽が鳴り響く中で踊る姿がかっこよく感じられる。当然、「YUIMETALが喋ってる!」という感動も隠せない。BABYMETALのライブはMCがなく、YUIMETALが今何を考えているのか、どう思っているのか想像に任せるしか術がない。

 事実、もう一方の『METAL HAMMER』の側面・YUIMETALは喋らない。昨年12月20日のBABYMETALの約3ヶ月ぶりの日本公演『APOCRYPHA – S』で当然の如く、一言も喋らなかった。唯一挙げるとしたら、終盤の『ギミチョコ!!』で「もっともっとー!」と煽ったくらいで、言葉がない代わりにやはり“完全燃焼”のパフォーマンスで魅了した。

 日本で初披露となった2曲の新曲は、今後のBABYMETALの大きな武器としか思えない完成度。痺れるくらいかっこいい。YUIMETALとMOAMETALが腕で円を作りながら「あわ〜♪あわ〜♪」と歌い、SU-METALがサビで「チュッチュッチュインガーム♪」と歌う。チョコの次はガムだった。耳の残るポップなメロディが途端に重厚なサウンドに変化し、来年、これを引っ提げて世界を回るとしたらまた大きな反響がありそうだ。

 アメリカの少年が動画を撮りながら叫び、多くの人々が熱狂するように、何も喋らなくてもBABYMETALには“共通言語”がある。さくら学院の『未完成シルエット』の歌詞を拝借するならば、「何も言わなくても なぜか伝わるんだ 喜怒哀楽も このキンチョーも」。その通り、世界中に虹色と赤と黒のハーモニーを作っている。「キミの所為でしょ!?」という歌詞をそっくりそのまま返したい。

 きっと、どちらも想いに溢れているに違いない。さくら学院でその一端をうかがい、BABYMETALで想像する。絶対に交わらないはずの『ちゃお』と『METAL HAMMER』が一堂に会する「水野由結/YUIMETAL」。両極端であり、かつ一心同体の関係性がより一層その魅力に拍車をかける。

 これこそが、去年に放送されたNHKの特番のタイトルにちなんで言いあらわすと『YUIMETAL現象~私が熱狂する理由~』である。“メタルレジスタンス”を追いかけるために、どちらも一瞬たりとも見逃せない。もちろん、“レジ”スタンスも含めて。

 さくら学院の水野由結としての『学院日誌』を読めるのも、あと3ヶ月。2015年3月に卒業を控えている。それ以降は、先にさくら学院を卒業したSU-METALのように謎めいた神秘的存在になるのだろうか。いつか、ワン・ダイレクションのメンバーが「Yui Mizuno.」とつぶやく日が来たら、世界は一つになる。きっと輝くパズルのPIECEが集まり、ハートの地球(ほし)になるのだろう。『未完成シルエット』が“完成”されるその日が来るまで、頑張った後はトマトを食べ続けていきたい。
(文/竹内道宏)

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竹内 道宏(a.k.a. たけうちんぐ)ライター/映像作家
様々な媒体で音楽系、映画系、体験系の記事を執筆中。
映像作家として神聖かまってちゃん等のライブ映像を撮影し、YouTubeにアップロードする活動を行っている。
また、映画監督として映画『世界の終わりのいずこねこ』を監督・脚本・編集。2015年3月7日(土)より3週間、新宿K’s Cinemaで上映、全国順次予定。
現在はBABYMETALに身を投じ、命ある限り限界知らずで追いかけるつもりです。
たけうちんぐダイアリー(ブログ)http://takeuching.blogspot.jp/

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