ちょっぴりコアな腐女子がオススメする2014年の“名作BLマンガ” 正月明けの暇つぶしに読みたい! 

2015.01.01

 2014年の終わり頃、年も“腐り納め”……ということで腐女子たちが熱いBとLやらについて語り合った「腐女子座談会」(記事はこちら)。今回はその番外編ということで、「2014年のBLマンガ」についてあれやこれやと語りました。先日、宙出版が発行する「このBLがやばい2015」で、中村明日美子の『O.B.』(茜新社)などの話題作が上がった中、世のホモの酸いも甘いも噛み分けてきた腐女子たちが「2014年のBLマンガ」を好きに勝手にオススメします! 年明けの暇な時間に一読してみては?

■「2013年が豊作すぎた……」という声も
 当日は各々に”2014年のベスト・オブ・BL”を持ち寄ってもらいました! 集まったBLマンガを見てみると、中村明日美子の『O.B.』や、桜日梯子の『抱かれたい男1位に脅されています。』(リブレ出版)、腰乃の『新庄くんと笹原くん』(東京漫画社)といった「このBLがやばい2015」でも顔を見せた作品が。中でも名作と呼び声高い『同級生』シリーズのその後を描いた『O.B.』は満場一致で「2014年のベスト・オブ・BL!」という意見に。しかし、その中で「2013年の作品が良すぎて、未だにそれを食って生きている」「2014年はコレ!って作品がちょっと少ない気もした」という声も……(笑)。

「このBLがやばい2014」に目を向けてみると、永井三郎の『スメルズライクグリーンスピリット』(ふゅーじょんぷろだくと)や、トウテムポールの『東京心中』(EDGE COMIX)といった名作、また日高ショーコの人気シリーズ『花は咲くか』(幻冬舎)といった顔ぶれが。しかし2015年度も宝井理人の『テンカウント』(新書館)、秀良子の『日々彩々』(祥伝社)などそうそうたる顔ぶれ。個人的には2014年はエッジの効いた個性的なBLが、2015年は正統派で魂を撃ち抜かれるBLが多かった! と感じています。ではでは腐女子座談会で選ばれたBLとは!?

■「開いて3秒でセックス!!」

☆“軽卒な腐女子にオススメ!”『ヒメ・セメ』
輪子湖わこ作『ヒメ・セメ』(竹書房)。その名のとおり、“姫”のようにかわいい男が“攻め”の作品!! 男子高に通うノンケ主人公は、体型ががっしりしていることなどから“男から”モテまくり、己のケツを守り続ける日々を送る。そんなところに現れたのは見た目も中身もかわいらしい男の子! この子とならヤれる……そう思うのもつかの間、主人公はいつの間にやらその子にパコパコ(※セックスのことだよ!)攻められてしまう。2人の思いが繫がるまでといった、ポエミーチックことはほとんど描かれない、まさに“0ポエム100パコ”な作品。
<腐女子たちの反応>
「『開いて3秒でセックスとはこういうものか!』と思わず叫んだ一品。もうとにかくヤる! 犯す! セックス!! かわいくてちっちゃい攻めが男らしく大きい受けを押し倒してケモノのように盛る怒涛の大展開」
「もう入ったよwwwwww」「パコの星5つ!」
「だいたいBL界は高身長が攻めだと思うけど、これは低身長が攻め。しかも最初から最後までヤリまくっている。センセーショナルすぎ!」
「こういうエロばっかの作品ってたまに読みたくなるよね」
……と腐女子会に空前絶後の笑いと萌えを与えて行きました。

☆“王道、だけど繊細で美しすぎる”『O.B.』
『ヒメ・セメ』が“0ポエム100パコ”なら、こちらは“100ポエム1パコ”。「このBLがやばい2015」の1位になったことでも知られる中村明日美子の名作で、『同級生』『卒業生』の草壁と佐条、『空と原』のハラセンとソラノといった『同級生』シリーズに登場するキャラたちの最終章が描かれています。しかも2冊同時で発売され、読み応えもばっちり! そんな中、「2冊あるのに全然ヤッてない」と、すっかり『ヒメ・セメ』に毒された腐女子たち(笑)。繊細な絵柄で描かれる、心と心を求め合う青年たちの恋。シリーズを通して「2人がくっつくまで」を描き、そして今回は「くっついた2人」のお話でした。
<腐女子たちの反応>
「中村明日美子は100ポエム1パコ! むしろそれがイイ!!」
「シリーズものっても良いよね。今は減少方向にあるし」
「やっぱり巻数を増すごとに深みが出るのがシリーズモノの良いところ」
「チャラ男とメガネ、高校時代からその後を描く……といったある種、よくある流れをこうやって美しく繊細に書けるのは中村明日美子だけ!」

☆“SMのSはサービスのS!”『夜はともだち』
井戸希望作『夜はともだち』(ふゅーじょんぷろだくと)。注目すべきは帯の文言。「いたぶること 唯一ゆるされた 愛しかた」「ノーマル似非S×真性ドM」この文言でちょっとでも揺らいだ女子は間違いなく腐女子!! どこかミステリアスな雰囲気でしかもゲイでドMな飛田が気になる真澄。好奇心から自ら飛田のS役をすることになります。「飛田が真澄の名前を呼んだらプレイ終了」という約束の中、真澄は一線を超えた関係を期待するようになる……という作品。「SMと言えば嫌がる受けをいたぶるスーパー攻め様!?」という概念を見事覆した一品。受けの変態性ごと愛し、愛ゆえに答える攻め。しかしエロばかりではなく心情の揺らぎにも焦点を当てた死角なしの一作!
<腐女子たちの反応>
「SMのSはサービスのSなんだな……って思わせる作品(笑)」
「とりあえず、真性ドMってのが最高」
「これは80ポエム20パコくらい。商業BLではよくある比率」
「表紙が良いなと。あとタイトルに“夜”って付くのが珍しい気が」
「性癖と愛情を別々に書いているのが良い」

 ほかにも『魔法少女 俺』で知られる毛魂一直線の初(ギャグ)BL『そんな目で見ないでくれ』(ふゅーじょんぷろだくと)も話に上がりました。また、桜日梯子の『抱かれたい男1位に脅されています。』では、副題の『ネトラレトライアングル』が高評価。ちなみに『ネトラレトライアングル』は、攻めだと思っていた主人公が受けになるまでを描いた3P・セックス・ストーリーです(はぁと)。なんだかんだ、腐女子ってエロ好きだなあと思ったり。そしてこの腐女子座談会はリバが好き!(笑)

■人気BL作家が一般誌を描くことについて…!?
 前述の「2013年は豊作だった」という意見に続いて話に出たのが、最近よく見る“人気BL作家が一般誌を描くこと”について。2014年ドラマ化もされた『失恋ショコラティエ』の水城せとなも、以前にBL作品を手掛けたことで有名ですが、最近では『昭和元禄落語心中』の雲田はるこ、『BUTTER!!!』のヤマシタトモコ、『きのう何食べた?』のよしながふみといった、人気作家が一般誌も描くといった流れが起きています。

 やっぱり、そういった作家陣の“流出”が今のBLマンガ界の痛手になっているのか!? しかし、腐女子たちは「良いマンガを書いている人はもっといろんなマンガを書いてほしい」「活躍の場を狭めてほしくない」と良心的。だけど「やっぱり悲しいけど」という心の声もぽろり。一般誌でも活躍する中、また名作と言われるようなBL作品を生み出してほしいものです。

――最後に腐女子たちに「2015年に求めるBLマンガは!?」と聞いたところ、「ポエムかパコに特化したもの」(笑)。読ませる作品はじっくりと堪能したい、エロはとことん突き詰めたエロが読みたいとのこと。今年もたくさん萌えたいので、良作が出てくれることに期待しています!
(編)

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