腐女子ライターの「もう世の中BLにしか見えない!」番外編

今年の萌えは今年のうちに!“萌え充”ライターが勝手に選ぶ2014年に読んだベストBL

──アニメ見ても、少年マンガを読んでも、海外ドラマを見ても! 「もう世の中全部がBLにしか見えない」腐女子ライターによる、腐女子のための、コンテンツの“愛し方”。今回は2014年の総まとめをお届けします!

 みなさん、2014年も“萌え充”しましたでしょうか。私の2014年は、前半は『Free!』の真琴、後半は『ジョジョの奇妙な冒険』の承太郎に振り回された年でした。ツイッターでは「イキ顔見たい……」botとなり、公式やKブックスのATMとなり……。萌え充がお金と時間に比例するのなら、たぶん私はかなりの萌え充です。

 もちろん、商業BLでも萌え充しました。

 今回は番外編として、そんな萌え充ライターの私が2014年のベスト作品を勝手にセレクト。今年の萌えは、今年のうちに読んじゃいましょう!

* * * * *

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『STAY GOLD』
(秀良子/一迅社/14年)

13歳の男のコが叔父さんに「誰かにとられるくらいなら、いっそ殺して俺も死のうと思った」と苦しそうに伝える。これだけでもう、胸が苦しくなりませんか?

そんな告白を受けた優士(ゆうじ)は、義理の姉の子どもである中2の駿人(はやと)、その妹の菊花(きっか)、そして弟のコウとの4人暮らし。平穏な暮らしのはずが、ある日突然、駿人が髪を金色に染め、前述の告白をしてくる……。
金髪に染めたのは何か決意の表れなのでしょうか。それ以降、優士に対してグイグイ押していく駿人。13歳らしい一直線ぶりが初々しい。けれど、初めてキスを奪ったときは、クールな表情をしながらもひとりになったとき「やった!」とふるえる手を握りしめガッツポーズ。

あ~思春期なんだな~ととても胸が苦しくなる。

一生懸命で、不器用。できないことが多くてもどかしい。自分が世界の中心じゃないと気づきはじめる年齢。だけど、自分の世界を構築し始める年齢。

BLとしてもちろん萌えるけど、自分の思春期を思い出してより胸が苦しくなる名作です。



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『O.B.』
(中村明日美子/茜新社/14年)

草壁(くさかべ)と佐条(さじょう)、ハラセンと空乃(そらの)、有坂(ありさか)&響(ひびき)など、商業BLの名作『同級生』シリーズのその後を描いた『O.B』。

遠距離となった佐条の元へ草壁が訪れるところから物語はスタート。大きなハプニングがおこるわけでもなく、一緒に寝て、料理して、だべって、きゅんとして……。これからもこの2人は、こうして暮らしていくんだろうなぁと思える、そんな日常が描かれています。

私的にとくに読み応えがあったのが、有坂と響のその後。『同級生』シリーズのカップルのなかでは、一番前途多難な印象があったので……。完璧なハピーエンドとはいかずとも、幸せな未来が思い描けるストーリーとなっていて、少し泣きました。特にクールな響が製菓の道に入るきっかけを描いた過去のシーンは秀逸! 高校生らしいまっすぐさと切ない恋心に胸が締め付けられること間違いナシです!



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『年々彩々』
(秀良子/祥伝社/13年)

暴力をふるうわけでもないし、金を巻き上げるわけでもない。でも“なんかダメな男”を描いたら当代随一である秀良子先生の魅力が十二分に発揮された作品。貧乏神(のちに死神になる)の男性が、江戸時代と現代、2人の男性を愛するお話。

まず江戸時代のストーリーは、働かないダメな男・与平(よへい)のもとに貧乏神が訪れるところからスタート。与平は今日は腰が痛い、腹が痛いと仕事に行かず、たまに仕事に行っても家に帰るまでに使い切る……ととんでもないダメな男。そんな与平に貧乏神は「働いてください」と懇願するも、与平はヘラヘラ笑っているだけ。こんなダメな男と本当にラブが発展するの!?とお思いでしょうが、そこはダメ男作家・秀良子先生の技量の見せ所。「きれいだろう」とお米代で金魚を買ってきてしまう与平のだらしなさに、なぜか貧乏神ともどもキュンときてしまう。これはすごいことですよ! こんなダメ男にきゅんきゅんさせられるのは、秀良子先生だけです。

後半は、寿限無の名前をつけられた不死の男が主人公。こちらもいい感じにダメな男なので、ぜひその目でご確認ください!



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『スキニーレッド』
(たなと/祥伝社/13年)

フリーターの三崎(みさき)は、バイト帰りのある日、ヤンキー・釧路(くしろ)に絡まれる。ボコボコに殴られる三崎の目に、“期待”のようなものを感じた釧路は、その後も三崎に絡み、ついには暴力的に犯す……。

“ぼこり愛”を描いた本作。でも、暴力描写は前半部分だけなので「痛いのは苦手」という腐女子にもオススメ! 私的に見所は、釧路が三崎を好きになってから、三崎が満足いくような暴力をふるうことに心を痛めるところ。そりゃ好きな人にひどいことしたら心が痛むよね……というあたりまえのことに気づかせてもらいました(笑)。ぼこり愛って二次同人でたまに見かけますが、そこから発展した後も、ずーっと殴るわけにはいかないもんなぁと。
ぼこり愛が好きな同人腐女子は、こちらの作品を参考にぼこり愛のその後を描いてみたらどうでしょうか。きっと作品に厚みが出ると思います!



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『美しい野菜』
(松本ミーコハウス/祥伝社/13年)

「女だったらど淫乱になってるね、これ……」の帯が印象的な本作。スランプ中の小説家・太郎(たろう)は、ある日元気いっぱいな八百屋・治樹(はるき)に勧められ、野菜を買ってしまう。調理の仕方がわからず持て余していたところに、偶然治樹と再会して……!?

腐女子的に野菜といったら「突っ込むもんだろ!?」とお思いかもしれませんが、本作でお野菜プレイは出てきません。きちんと調理されます。けど、充分エロい! 普段は「清く正しくありたい」と自制して生活している太郎が、治樹によって「ど淫乱」になる姿はかなりグッとくるものがあります。

言葉攻め、目隠し、手錠、ローター、放置プレイと、久々にしっかりとしたSMを読みました。しかも、ちゃーんと愛があるし、Sの治樹は優しいし、Mの太郎はしっかり楽しんでいるので「エロいのはいいけど、ハードなSMはちょっと……」というわがままな腐女子も納得の作品になっています!

* * * * *

 今回上げた5作は、すべてやさしい絵柄なので、「BLはちょっと苦手」という女子にも、ぜひオススメしたい作品となっています。とくに『O.B.』含む中村明日美子さんの『同級生』シリーズは、腐女子の登竜門に最適の作品。「こいつをどうにか腐女子道に引き入れたい……」というお友達に貸し出すにはうってつけです。私はそれでひとり引きずり込みました。今では一緒にKブックスに通う仲!

 名作商業BLでお友達を洗脳して、2015年は腐女子友達をいっぱい増やせばいいんじゃないかな! それではみなさま、良いお年を!
(にほちん)

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