殻を破り、未来を彩る。“始まり”とはつまり、そういうこと。 武藤彩未ワンマンライブ[OWARI WA HAJIMARI]レポ

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「熱いですね。今年一番のライブになったんじゃない? いやぁ、幸せ……」

 ライブ本編が残すところあと一曲になり、これまでの活動を振り返る。「4月にデビューさせていただいて、初めての経験をたくさんさせていただきました。でも、やっぱりソロって簡単じゃないなって実感しています。だからこそ、デビュー時に思ったソロで一番を目指すって気持ちはもっともっと強くなっています。大人数でこなすことを一人でこなすというか、私にしかできることをこれからやってきたいと思います。」「自分の道を信じる」という言葉に、会場は大きな拍手と声援に包まれる。ソロアイドルの活動に誠実に向き合うその姿勢。彼女を照らすスポットライトがその道標に見えた。

 小さい身体なのに、歌によって存在感が大きく浮かび上がる。強い光を受けた時、その影が大きく映し出される。その光景こそ“武藤彩未”を象徴しているようで、ステージセットのみならず、観客の熱い視線が注がせれることによってその主人公の存在をより大きくさせている。

 演出はもちろんだが、元より“かわいい”が最もな視覚効果であることを忘れてはならない。別の次元へと超えていく。これはアイドル界の『インターステラー』。たとえば、映画が初めて3Dを手にした時もこんな感じだったのだろうか? ただでさえ立体的な情景の奥行きが迫り、その迫力が奥ゆかしい。

「(振りを完璧にしてから)振りをやめてまで、お客さんに近づきたい。」

 ライブ前、メディア向けの囲み取材で“目指すもの”を聞かれた武藤が語っていた意気込み。それが客席との距離を縮める。より一層3D感を出していく。その証拠に、本編最後の「明日の風」ではサビの「ららら~♪」で観客の合唱を聴くためにイヤモニを外す。一体感を優先するその姿が印象的だった。ステージにいるそのアイドルだけが武藤彩未じゃない。会場全体を“彩未ワールド”に染めていく。小さな身体では想像できないくらい、大きくて強い意志が感じられる。

「今日が私の新たなスタートです。2015年、もっともっと多くの人に私の歌を届けられるように頑張ります。今日は本当に、ありがとうございました!」

 客席から「AYAMI!」コールが鳴り止まない。アンコールで武藤は再びステージに戻り、ライブTシャツをリメイクしたワンピースに、靴の底が光るスニーカーを身に付けて登場。

「年末なんで、とってもスペシャルな報告を持ってきました!」

 2ndアルバム『I-POP』を来年2月25日に発売することが告げられる。そのタイトルには「多くの人に愛されるように」という意味と、「アイ・アム・ポップ」という武藤自身のアイデンティティが込められているという。そして、大事なのは“アイドル”の“I”。「あと、私アイドルだから」と照れながらもサラッと告げるところが潔く、かっこいい。

 さらに重要なお知らせを告げる。来年、4月29日に東京・渋谷公会堂でワンマンライブ『BIRTH』が決定。そのタイトルの通り、この日は武藤の10代最後の誕生日という、人生で一度しかない記念すべきライブになる。

「でも、このままだと正直、満席にできるかどうかわかりません。でも、今日来てくださった皆さんが一人でも友達とか家族を連れてきてくれたら、絶対に埋まります。だから、皆さんの力を貸してください!まだまだ5カ月間あるので、私も一人でも多くの人に来てもらえるよう頑張っていきます!」

 アンコール1曲目はこの日のライブタイトルにもなった、新曲「OWARI WA HAJIMARI」。曲が始まる前に武藤が紹介した通り、何かスタートを予感させるようなロック色が強いナンバー。終わりを見せない盛り上がりのまま、「永遠と瞬間」「女神のサジェスチョン」と続く。始まりから終わりまでテンションは最高潮で、アンコールが終了。

 しかし、客席の拍手は鳴り止まない。やがて武藤とバンドメンバーが再びステージに戻ってきて、まさかのダブルアンコール。再び「OWARI WA HAJIMARI」を披露し、約2時間に及ぶワンマンライブの幕が閉じる。

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「今年の集大成」と本人が語るように、来年の道標まで示すようなライブだった。むしろ、彼女の中ではすでに2015年が始まっている。武藤は今年を忘れることはおろか、来年を待つことだってできないようだ。ライブ後に毎回配布されるA4の一枚の紙『AYAMIDIA』には、本人直筆のメッセージとイラストが描かれている。手書きの文章は温かみ、いやそれ以上の熱さを感じさせる。

「一度きりの人生、後悔したくないから限界を越えるとこまでいってみたい。」

 思わず目頭が熱くなる。前日、本人のTwitterに「明日のライブで殻を破壊しますから」とあった。殻を破り、未来を彩る。そうすることで、“始まり”が告げられる。そんな彼女の来年の野望を追いかける、というより一緒にその景色を見たい。ライブ本編のみならず、帰り道までそんな気持ちにさせてくれる。とはいえ、その文章が書かれているのは猫(?)が首からぶら下げる鈴(?)いや、小判(?)のイラストの中。せっかく熱い気持ちになったのに、どうしてもかわいらしさが和ませてくれる。

 囲み取材では、“来年挑戦してみたいこと”に「ファッションショー」と答えた。「さくら学院で同期だった松井愛莉と三吉彩花がモデルとしても頑張っているのを見て、いつか共演したいなって」と。「さくら学院のメンバーとは共演したい?」という記者の問いに、「もう、それはいつでもです。昨日もBABYMETALを『Mステ』(『ミュージックステーション』)で見ました。私もいつか『Mステ』とか音楽番組で共演して、一緒に出られることが夢です」と語った。そんな日が来れば、どれほど美しい光景が広がるのだろう。今回のライブ前日、武藤はTwitterで「ベビメタからいいバトンをもらい、明日は私の番だ」とツイートしていた。彼女が12年に卒業したさくら学院は、時間が経つにつれて、ますます“凄い人・発祥の地”になっていく。それは現メンバーの励みにも勇気にもなるに違いない。母校の存在をいつまでも大事にする姿勢が彼女をより大きなステージに導いてくれるだろうし、そうあってほしいと願う。

 来年4月29日のワンマンライブのチケット代は19歳の誕生日にちなんで、なんと1900円。太っ腹! これは友達を誘いやすいし、観やすい。そこから“彩未ワールド”にハマれば、心地よい沼にズブズブと浸かっていく人続出だろう。

 今日のライブを期末テストの点数で表すなら、「100点満点!」と誰もが大きな丸をつけるに違いない。なんなら、推薦入試でそのまま日本武道館までお願いします。さくら学院という名門校出身なのだから、それは夢で終わらないでしょう。と思いながら、帰り道はさっそく『ツムツム』をダウンロードした。
(文/竹内道宏)

■Special Live「BIRTH」
【日時】2015年4月29日(水・祝) OPEN 17:15 / START 18:00
【会場】渋谷公会堂
【チケット料金】スペシャル価格 1900円(全席指定/税込)
【チケット一般発売日】2015年4月4日(土)12:00~

■2nd Album「I-POP」
【発売日】2015年2月25日(水)

■[OWARI WA HAJIMARI]セットリスト
01、A.Y.M.
02、Seventeen
03、Doki Doki
04、桜 ロマンス
05、宙
06、とうめいしょうじょ
07、ミラクリエイション
08、パラレルワールド
09、RUN RUN RUN
10、交信曲第1番変口長調
11、彩りの夏
12、明日の風
<アンコール>
13、OWARI WA HAJIMARI
14、永遠と瞬間
15、女神のサジェスチョン
<ダブルアンコール>
16、OWARI WA HAJIMARI

竹内 道宏(a.k.a. たけうちんぐ)
ライター/映像作家。様々な媒体で音楽系、映画系、体験系の記事を執筆中。映像作家として神聖かまってちゃん等のライブ映像を撮影し、YouTubeにアップロードする活動を行っている。また、映画監督として映画『世界の終わりのいずこねこ』を監督・脚本・編集。2015年3月7日(土)より3週間、新宿K’s Cinemaで上映、全国順次予定。現在はBABYMETALに身を投じ、命ある限り限界知らずで追いかけるつもりです。
たけうちんぐダイアリー(ブログ)http://takeuching.blogspot.jp/

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