『ジョゼフィーヌ!』ペネロープ・バジュー インタビュー「エレガントで完璧でスマートなパリジェンヌなんて…いません」

――11月19日に行われた、北九州漫画ミュージアムでのトークイベントの際には、今回の訪日が「巡礼の最後にたどり着いた旅のようだ」とお話しされたそうですが、これはどういう意味だったのでしょうか?

ペネロープ 私自身、テレビで日本のアニメをたくさん観て育った世代です。『ドラゴンボール』をはじめ、日本のアニメは我々の世代の基礎教養になっています。子供の頃に観たアニメでたくさんの日本を見てきました。そして、今回初めて本物の日本に来た。そんな気持ちを述べたのです。私にとって、初めて見た日本にはがっかりさせられることはありませんでした。けれど、(『ジョゼフィーヌ!』を読むと)パリに憧れた日本人はまったく違う結果になるのではないでしょうか(笑)。

――秋葉原には行かれましたか?

ペネロープ 残念ながら、今回は時間がなくて。自由行動日が一日だけあるんですが、ジブリ美術館に行きます(笑)

――日本人の多くがイメージするパリは、洗練された男女の住む街のイメージが強いです。しかし、日本人が『ジョゼフィーヌ!』を読むと相当驚くのではないかと。

1412_penelope.jpgペネロープ・バジュー氏。

ペネロープ 私の作品は日本以外でも各国で出版されているのですが、その時に他国の人々がパリに対して持っているイメージを初めて知りました。それまで、(私の中で)パリジェンヌのイメージというのは、特にありませんでした。唯一、フランス国内のパリ以外に住む人々が(プライドが高いと評価される)パリジャン・パリジェンヌを嫌っていることしか知りませんでした。

 ところが、イギリスやアメリカで翻訳出版された際に取材を受けた時にも、今の質問と同じようなことを言われました。なので、パリジャンやパリジェンヌへのイメージを聞いてみると「エレガントで完璧でスマート」といわれるのです。でも、私の周りには、そんな人は一人もいません。私の周りの女性はオシャレの仕方もろくに知らないし、10年も15年もずっとダイエットして結果が出ていない人ばかりです。

 本当のパリジェンヌを知りたかったら、私を見てください。私はパリ生まれのパリ育ちですが、今日はこんななり【編註:写真参照】ですよ(笑)。

 おそらく東京の女性に対する海外のイメージを聞いたら、日本人も驚かれるんじゃないでしょうか。

――最後に、ペネロープさんは名を成したとはいえ、まだ年齢もお若い。まだ残りのほうが長い人生の中で、今後どのような作品を描いていく予定でしょうか?

ペネロープ 日本のマンガと違って、バンドデシネは制作にとても時間がかかるので、あと10作品描けたらいいなと思っています。すでに頭の中にあるアイデアを作品にしたいというのが、正直な思いです。私はそんなに描くのが早くないので。

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 時折ユーモアをみせながら、飾らない態度でインタビューに応じてくれたペネロープ氏。今回の作品は、タイトル故に「女性向け?」という印象を持つかもしれない。けれども、作品中に登場するジョセフィーヌの同僚にはゲイっぽい人が混じっているし、彼氏を両親に紹介したら「ユダヤ系かしら?」という台詞があったり、パリの人々がどんな世界観の中に生きているかをリアルに知ることができる。「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」というわけで、この本からパリの日常を感じてみてほしい。
(取材・文/昼間 たかし)

■Penelope Bagieu(ペネロープ・バジュー)
1982年パリ生まれ。イラストレーター・コミック作家。
アラサー女子である自身の日常をユーモアたっぷりにコミックで綴ったブログが爆発的人気を博し、2008年に単行本化、作家デビュー。初BD作品『Josephine』が20万部を超えるベストセラーとなり、2013年には実写映画化。コミック作家として活躍する一方、新聞や雑誌など、さまざまなメディアで活躍中。仏・国内では社会に影響力のある女性100人に選出されるなど、オピニオンリーダー的存在となっている。

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