緊迫のエピソードなのに、笑いが止まらない!? シリアスなギャグと会話劇でも楽しめる『ガンダム Gのレコンギスタ』

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第13話「月から来た者」

【今週の極私的見どころ!】
 今回の演出を手掛けたのは、『ラブライブ!』『プリティーリズム』シリーズ、『プリパラ』など、アイドルアニメの演出・監督で活躍する機会の多い菱田正和。とはいえ、彼の演出キャリアのごく初期には『∀ガンダム』に参加したこともあることから、キャラの魅力の掘り下げもメカアクションもバッチリなマルチプレイヤーだったりもします。

 そんなわけで、今回は燃えるバトルあり、笑えるシーンもあり、相変わらず姫様はポンコツだったりとエンタメ度高めなエピソードになっています。

【今週のおすすめ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 前回ラストでついに登場した謎の宇宙艦隊。月をバックにMSが展開するビジュアルは、まさに初代『ガンダム』OPのジオン軍侵攻カットのビジュアルそのまま。いきなりニヤリとさせる演出です。「なんかすげえぞ」「御大将!」「いきなり来た!」と視聴者のテンションも、のっけからかなり高めです。

 そして登場した謎の軍人たち。どっしりとした余裕ある佇まいが、強敵感をひしひしと感じさせます。MSのデザインはどことなくザンスカール帝国(『機動戦士Vガンダム』)っぽくもあり、戦国時代の武士を思わせる要素もあり……という今までに見たことがない、しかしいかにも強そうな雰囲気。しかし、そのセリフからは謎の軍もこれまでに戦闘は未経験で、演習だけを繰り返してきた節が見受けられます。『∀ガンダム』のギンガナム艦隊に通じるものがありますね。

 さて、そんな状況に人一倍危機感を感じているのが、ラライヤ(CV:福井裕佳梨)です。誰に言われるでもなく宇宙服を引っ張り出します。アイーダ(CV:嶋村侑)はそのことについて問いただそうとするのですが、ラライヤは逃亡。ラライヤは実は正常なのか? それとも、謎の宇宙艦隊は危険だという情報だけは覚えているのか? 疑問は尽きません。

 一方、グシオン総監(CV:木下浩之)、ウィルミット長官(CV:田中敦子)、クンパ大佐(CV:広瀬彰勇)、法皇(CV:藤真秀)が顔をそろえて政治的駆け引きが行われます。絶対に謎の艦隊はザンクト・ポルトを攻撃しないと言うクンパ大佐、しれっと法皇を自軍の船に案内しようとするグシオン総監、皆がスコード教のタブーに触れてしまったことでヒステリー気味になっているウィルミット長官と、まさにカオス。そんな大人たちをよそに、ベルリ(CV:石井マーク)とアイーダはMSで出撃。クリム(CV:逢坂良太)は、敵将の首を取れば撤退するはずと、好戦的な性格を覗かせます。これには多くの視聴者も「さすが天才さん」とコメント。事態は再び一触即発に。

 結局、謎の艦隊の接近に対し、キャピタル・アーミィ、キャピタル・ガード、アメリア軍の共同戦線を張ることになります。出撃準備をするベルリたちを見て、ここでクンパは「青少年たちに期待するか」と一言。彼もまったく底の知れない男です。さらに、ここで謎の艦隊のパイロット・ロックパイが登場したり、謎の艦隊の指揮官と思しきノウトゥ・ドレット将軍(CV:水野龍司)の名を聞いてラライヤが暴れはじめたりと、事態は同時多発的に進行。また、アメリア軍、キャピタル・ガード、キャピタル・アーミィが合流したことで、ベルリ、ノレド(CV:寿美菜子)、マニィ(CV:高垣彩陽)、マスク(CV:佐藤拓也)……もといルインが一堂に会するという、1話以来の掛け合いが実現。ちょっとした同窓会ムードが流れます。しかし、あくまでマスクはマスク。マニィもマスク先輩の正体には触れてあげないでおくという優しさに、多くの視聴者も感動したはず!

 Bパートが始まると、3勢力の合同MS部隊が一斉に出撃! これまで戦っていた陣営が同時に出撃するシーンは、まるで『スーパーロボット大戦』や歴代ガンダムキャラが総出演する『Gジェネレーション』シリーズのようなゲーム的なワクワク感を憶えます。

 そして、ここからが今回のハイライト。天才クリムは白旗を上げて敵の母艦に接近しつつ油断したところを叩くという大雑把極まりない作戦を立案。それをマスクがオーバーリアクションで煽りまくり、ますますクリムが調子に乗るという会話劇が展開。クリムの扱いがうますぎるマスク大尉に、視聴者も笑いがこらえきれない様子。「こちらは漫才しているのかww」「おい笑わせんなww」「ひでえ作戦w」と大盛り上がりです。「大統領のバカ息子」とマスクは内心、クリムを小馬鹿にしているようですが、「(クリムの作戦について)よっく分かりました」とバララ(CV:中原麻衣)も返答。クリム君、マスクのみならずバララにもバカにされてますよ!

 そんなこんなで相変わらずほのぼのしたノリで謎の艦隊に接近する地球連合軍ですが、「非公式な動きを見せるものは撃墜しろ」とドレット将軍は冷酷に命令。艦隊は情け容赦なくG-セルフたちを砲撃し、撃退します。こいつら、これまでの『Gレコ』世界にはいない「本物の軍人」です! これまでベルリたちがやっていた戦闘は、ただの小競り合いだったことを痛感させてくれます。1クールかけて積み重ねてきたものが、ここにきて物語にいい意味でのギャップを演出しています。

 ザンクト・ポルトに謎の艦隊の交渉団が入港。ここからは再び政治のドラマになります。と、その前にベルリたちパイロットもザンクト・ポルトに帰還します。エレベーターで礼拝堂に向かうのですが、ここでマスクやクリムも同乗するはめになってしまいます。狭いエレベーター内でギュウギュウ詰めの三陣営。呉越同舟なシチュエーションだけでもかなりシュールな光景なのですが、マスク大尉は改めて「通り名のマスク大尉でご容赦願いたい」と自己紹介。バララのウサ耳ヘッドギアを邪魔そうにするあたりの仕草との合わせ技で、どうにも締まりませんね。今回は、こんな感じのシリアスなギャグがポンポン飛び出してきて、緊迫感のあるエピソードのはずなのになぜか腹筋が崩壊するという非常に珍しい回です。

 さて、聖堂では地球側と謎の艦隊……トワサンガの使者との会談が始まっていました。トワサンガが地球のエネルギーを調節することで荒廃した地球復興をコントロールしていたこと、地球での大陸間戦争はここ10年の間に始まったことや、各国の軍備増強がトワサンガの宇宙艦隊の軍備増強にもつながったことが明らかになります。そして、クリムの口から、アメリアと戦争中の国・ゴンドワンの手引きにより、トワサンガは地球への移民「レコンギスタ」を実行しようとしていることが追及されるのです。ここにきて、タイトルが回収されました!

 この追及にキレたのが、トワサンガのパイロット・ロックパイ。「トワサンガが地球にフォトン・バッテリーを送り続けてきたから、貴様たちは地球上でもやしのような歴史を作れたのだぞ!」と絶叫。この一言に、さすがのマスク大尉もムッとした様子。ですが、地球の歴史や人々をまるでモルモットのような実験動物のようなものと見ているのがトワサンガの総意というのは変わりはないようです。今まで信奉していたものや世界がひっくり返るような感覚にウィルミット長官もうろたえるばかり。

 そんな中、アイーダ姫はメガファウナでトワサンガに向かうことを決意します。大人たちの語る机上の話だけで世界を決められてはたまらない。そう思った彼女は、自分の目で世界を知るべく旅立つことを決意するのです。さすが突貫姫! 物語はさらに大きな動きを見せ始めました。富野監督が放映前のインタビューで「冒険もの」と言っていたのは、伊達じゃありませんね。

 というわけで、次回は旅立ち編といった話になるようです。恒例の次回予告の決めゼリフは、「現実を直視しなさいよ!」でした。
(文/受動 明日)

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