ゲーム『Papers, Please』のリジェクトを撤回! 迷走するアップルのアダルト審査基準

1412_paperplease.jpgPapers, Please公式サイトより。

 架空の共産主義国家の入国審査官となって目の前の旅客を調べあげてジャッジを下すシミュレーションゲーム『Papers, Please』は2013年8月から配信されているインディーズゲームだ。配信開始早々から評判になり人気が拡大、先頃待望のiPadアプリも登場して配信されたばかりである。しかし、今回のiPad版のリリースをめぐってアップルとデベロッパーの間に多少の行き違いがあったことが判明し、業界内で波紋を呼んでいる。

■判断が撤回されてアプリ化が二度度手間に

 入国審査シミュレーションゲーム『Papers, Please』は、プレイヤーが入国審査官となって日々の業務を行なうシミュレーションゲームである。ゲーム内では入国審査の際に、武器や薬物などの物品を隠し持っていないかどうか、あるいは記載されている性別と一致しているかなどを調べるために「全身透視スキャナー」が使用できる。この時にゲーム画面上に表示される「フルヌード画像」(オプションで「フルヌード画像」を表示しないように設定することもできる)をアップル側は問題視し、一度はこの『Papers, Please』のiPadアプリ化を認めなかったということだ。

1412_paperplease2.jpgPapers, Please公式サイトより。

 作者のルーカス・ポープ氏は、アップル側の審査担当者の「ポルノ画像を取り除いたものなら認可されるだろう」という見解に従い、「フルヌード画像」を削除したiPadアプリを作成して申請した。するとすぐさま認可を受けて配信が決定された。

 しかしその直後、アップル側に不可解な動きが起こったのだ。アップル側は最初に『Papers, Please』を不認可としたのは“間違いであった”と表明したのである。これによってポープ氏は急きょ再びPC版と同じ機能のiPad版アプリを作り直すはめになってしまったのだ。まさにデベロッパー泣かせの今回のアップルの判断撤回劇、いったどういうことなのか……。

■厳格化なのか? 緩和化なのか?

「App Store」でも最初は「フルヌード画像」のないアプリがリリースされたのだが、すぐに削除されてPC版と同じ機能のiPad版アプリにバージョンアップされたという。ただし公正を期して言えば、「App Store」の動き以外の今回の一連の経緯は、今のところ作者のルーカス・ポープ氏のツイッター上の発言のみに基づくものであることだ。とはいってもここ最近、アップルの“アダルト審査基準”をめぐる混迷ぶりが各方面から指摘されていることも確かだ。

 今回の『Papers, Please』にしても、そもそもがレトロチックな低解像度のゲーム画面であり、フルヌード画像といってもいたって質素な筆致で描かれエロティック表現とはほど遠いものである。これにすぐさま不許可(リジェクト)の裁定が下されたということは、ポルノ表現を断固拒絶する性格がますます強まったと考えるべきなのか? しかしながらポルノ表現を取り除いたアプリが完成した後になってからでも最初の判断を撤回してきたということは、検閲の基準が緩和された証とみるべきなのだろうか? ますます不可解になってきたといえそうなアップルの審査基準問題には今後も目が離せそうもない。
(文/仲田しんじ)

■『Papers, Please』(「AppStore」内)
https://itunes.apple.com/us/app/papers-please/id935216956?ls=1&mt=8

【参考】
・「Polygon」
http://www.polygon.com/2014/12/12/7384191/papers-please-ios-nudity-patch
・「MCV」
http://www.mcvuk.com/news/read/apple-forced-pixel-nudity-removal-from-papers-please/0142826
ほか

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