アニメ業界人が語る、ひそひそ秘話 【第4回】

婚活なんかやってるヒマはない!? 『SHIROBAKO』を通して見る、アニメ制作現場で働くリアル“女子事情”

――日夜アニメが放送・放映され、盛り上がりを見せるアニメ文化。そんな中、アニメに関する事件や風聞、ムーブメントが話題になることも数知れず。それでは、実際にアニメの“中の人”はそんな万物事象をどう見ているのか? アニメ業界に身を置く安康頂一(仮名)が、大きな声ではいえないあんなこと、こんなことをひそひそと語ります。

1412_hisohiso4.jpgイメージ画像:SHIROBAKOBlu-ray第1巻より。

 アニメ業界をテーマに据えて放送中のテレビアニメ『SHIROBAKO』が好評を博しています。“アニメ業界人あるあるネタ”が満載ながら内輪ウケにとどまらず、むしろなかなかうかがい知れない制作現場事情を活写したエンターテインメントとして成立しています。水島努監督の面目躍如たるおもしろさです。

 アニメ業界でそれぞれ夢を描いて働く女の子たちの『SHIROBAKO』、さらに古くはOVA『アニメーション制作進行くろみちゃん』、現在「コミックフラッパー」(KADOKAWA・メディアファクトリー)で連載中のマンガ『これだからアニメってやつは!』など、リアリティを標榜したフィクション作品に登場する“アニメ業界で働く女子”――さて実際のところ、これらの描写はどこまで真に迫っているのでしょうか。

 今回はアニメ制作現場の女子事情を、ギョーカイの隅っこに身を置く者として少し語らせてもらおうと思います。

■業界で働く女性の職種

 女性がアニメ現場を志望することは、なんら珍しいことではありません。とりわけ現在、「制作進行」になる女性の絶対数は確実に増えてきています(詳しくは次項で)。

 アナログセルアニメの時代は、制作現場で女性の多い職種といえば、仕上げ=彩色が一番でした。線画が転写された透明シート=セルに、指定された色を絵筆で置いていく作業は、手先がこまやかとされる女性の得意分野だったのです。また、今ではほとんど見られませんが、在宅でのパート仕事としてもアニメの彩色作業は行われていました。

 仕上げを専門とする会社の近くに住む奥さんが、朝の家事をこなし夫や子供を送り出したあと、カット袋を受け取りに行く。昼間の時間を使って彩色をし、夕方にまた会社に納品に行く。そこで次の仕事を受け取ることもある――1枚いくらの単価仕事です。そして、子供とポケモンを見ながら「あ、ここお母さんが塗ったんだよー」なんて言いながら晩ご飯をとるわけです。なんとも牧歌的な風景ですね。

 デジタル化した現在では、初期投資がかかることもあり、そうした在宅パートという形態はほとんどなくなりました。しかし、仕上げさんの女性率は依然高いままです。どこのスタジオでも、仕上げ部屋はたくさんのパソコンの前に座った女性たちが一日黙々とクリック音を響かせているものです。

 ほかの職種はどうでしょうか? 女性アニメーターも増えてきています。アニメーターは適性さえあれば性別は関係ない仕事ですが、女性のタイプにはいくつかあります。ねじり鉢巻きも辞さない気合の入った男勝りなタイプ。絵の上手い人らしく、ファッションセンスの高いおしゃれなタイプ。腐女子タイプ、天然タイプ。既婚者も子持ちもいます。いずれも個性的な人物揃いです。大量の画を量産する必要があり、激務であることは間違いないため、それに耐えうる体力とメンタルを持ち合わせているのは男女とも変わりません。というか、そうでなければ続けていけないのがこの仕事なのです。

三鷹の森ジブリ美術館ファンブック―迷子になろうよ、いっしょに。 (ロマンアルバム)

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宮崎駿さんも、仕上げ女性と作画男性の出会いが少なくなったって嘆いてました。

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