村田らむ的2014年のマンガ選!

虫に取り憑かれるコミュ障の『ムシヌユン』から転生して罪を償い続ける『懲役339年』まで!2014年良マンガ

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 4冊目は『地球戦争』(小原愼司/小学館)。

 そもそもこの作品は、1898年に発表されたH.G.ウェルズの古典的SF小説『宇宙戦争』の世界をモチーフに描かれたマンガである。

 舞台は、19世紀のイギリス・ロンドン。突然攻めてきた3本足の機械に世界が蹂躙される中、孤児院暮らしのオリバー、上流階級のアリスら少年少女が、生き残るための旅に出る。

『地球戦争』は、とても丁寧に描かれた作品だと思う。アクションでドンドン話を進めていくというより、1話1話、しっかりとストーリーを紡いでいる感じ。宇宙人との戦いと同時に、人間同士の争いや、戦後の野望なども垣間見られる。とても先が楽しみな作品である。

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 そして5冊目は、『懲役339年』(伊勢ともか/小学館)。

 こちらは輪廻が信じられている世界の話。大罪人・ハローに課せられた339年の懲役を、“ハローが転生した”と認定された人たちが、生まれ変わって一生を監獄で償っていく物語だ。あらすじを読んだだけで、

「うお~!! 読みてえ!!」

と身悶えしてしまった。とても素晴らしいアイデアだと思う。

 少し癖のある絵だが、読みにくいわけではない。1巻では、4代目のハローまでの物語が語られた。今後、どのように展開していくのか、とても楽しみな作品である。

 最後は、マンガ誌ではなく画集なので、番外編として紹介したい。『上條淳士画集「1983」』(上條淳士)である。

 僕には、見るだけで絵が上手くなる画集(上手くなったような気になる画集)というのがある。

 少し例を挙げるなら、鳥山明『鳥山明 THE WORLD―鳥山明スペシャルイラストレーションズ 』、寺田克也『寺田克也ラクガキング』、田中達之『CANNABIS WORKS―田中達之作品集』、江口寿史『WORKS』、大友克洋『大友克洋アートワーク KABA』、山本 タカト『ヘルマフロディトゥスの肋骨―山本タカト画集』、多賀新『多賀新全作品集―1971~1983』……などなどである。これらの画集を見ると、絵が上手くなる(ような気がする)ので、仕事でイラストを描く前はパラパラと眺める。

 そんな『絵が上手くなる画集』の最新の1冊が、『上條淳士画集「1983」』である。『TO-Y』や『SEX』の作者、上條淳士の初のアートブックである。

 ただ単にリアルな絵というわけではなく、とても慎重に、かつ大胆に選んだ“線”で描かれたマンガ&イラスト群は、確実に見る側のセンスを上げる。絵を描く人も、そうでない人も、見て欲しい画集である。同時に、さまざまな有名人の寄せ書きコメントがあって、それもまた楽しい。

 ……と、今年もまた、読んだマンガを5作品を紹介させてもらった。来年もよいマンガライフが送れるよう、これからも精進していきたいと思います!

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

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